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第二章 最終話 ~いざ新天地へ~

エンディアス最西端の港町コストロ。

中央大陸であるエグドラシアに最も近いこの港は大昔から栄えてきたらしい。

それを裏付けるように港には所狭しと並ぶ商船と交易品であろう見た事も無い道具が山積みにされている。

通りには露店が建ち並び波のように歩いていく住人の中に混じりこれから港、あるいはこの大陸の各地に行く巨大な荷車が次から次へと通っていく。

どこからどう見てもエンディアスの港町とは大違いだ。


「「………ほえ~」」


そんな光景を宿屋の二階から目を丸くして見ている俺とレナ。

城か城下町しか行っていないレナにとっては新鮮な光景だろうな~とか思いながら俺も食い入るように窓の外を見つめている。

やっぱ珍しいもん。ってか昔あったらいいな、行けたらいいなとか思って夢見てたロープレの世界そのものだし。


「そんなに窓の外の光景が新鮮かい?田舎者だね二人とも~…あ、これもいいな~…ポイッと!」


そんな俺達を見ながらも手際よくレナの袋の中のお宝を自分のリュックに詰めていく牡丹。


「それでお二人さんはどこへ行くつもりなんだい?港に来たって事は何処かへ行くんだろ?」

「ああ、俺は取りあえずアルマストレアって所に行こうとしてる」

「私は翔に付いてくつもりだよ~」

「アルマストレアか……そっち方向じゃあたしは付いてけないな………残念」


悲しそうに肩を落とす牡丹、


「………レナ達だったらお宝見つけたら分けてくれそうだし」


やっぱりそこか。


「……所で牡丹はこれからどこ行くんだ?」

「う~ん……場所は秘密、あたしの仲間に無事ですよ~って言いに行こうと思ってる」

「ふ~ん」


何処だろ?人に言えない場所にあるんだろうか。


「まあその事は深く考えないでおいて!」


たはは!と笑いながらお宝が詰まったリュックを担ぐ牡丹。

ま、どうでもいいか。


「それじゃあたしはここで失礼するね!縁があったらまた会お!」


そう言って牡丹は部屋を出て行った。


………さて、そろそろ俺達も此処から出るか。


「おいレナ!俺達もこっから出よう。アルマストレア行きの船に乗らなくちゃいけないからな」

「オッケー!」


レナは軽く返事をすると自分の武器を担ぐ。

その他の荷物?無論俺が全部持ってますよ?それが何か?

俺とレナは準備を済ませると部屋を後にした。



………その後、宿を出るとき牡丹が自分の宿賃を払っていなかった事が発覚した。

………畜生、きっちり押収しておくんだった。









「エンディアスギルドへようこそ!」

気合いの入った声と共に扉が開く。

今俺とレナはエンディアスのギルドに寄っている。


理由は簡単だ。船にタダ乗りする為である。


ギルドの任務の一つに護衛任務がある。俺はその中の一つである船の護衛に目を付けたのだ。


他の護衛任務とは違い船の護衛の場合は報酬を金では無く運賃に立て替える事が出来るのだ。


しかも三食付き、三食付きだ。これで何も出なければ何の苦労もなく目的地に行けると言うことだ。

こんなおいしい話は無い。


………まあ総合的に見ると報酬の方が高いんだけどね。行って帰ってまた行くのってメンドいじゃん。


早速俺は受付へと行く。


「え~と、ゴムールでギルドに入った風見翔と言う者ですけれども…」

「はい!ゴムールギルドの風見翔様ですね!それでは指輪をお見せ下さい!」


妙に気合いの入った猫顔の受付に若干引きながらも指輪を見せる。


「あ、私のもお願い」


そう言ってレナも指輪を……ってゑ?


「何でレナ持ってんの?」

「偽名使って登録した」


………即答かよ+何やってんだレナ。


「これでも五、六回魔物の討伐とかやってるんだよ?」


………ガルテリアさんが聞いたら発狂しそうなネタだな。しかも偽名使って許されるんだギルドって。


「…お二人様の確認完了致しました!それで今回はどのような任務をご所望でしょうか?」


おい大丈夫か今チラッと見ただけだったぞコイツ!?確認ちゃんと出来てんのか?


「ご心配なく!指輪の紋章を見れば本物か偽物かは一瞬で分かりますので!」


心を読まれた!?いや、顔に出てたか……


「それじゃあエグドラシア行きの船の護衛をやりたいんですけど……」

「はい!それでしたら今日の昼に出発する商船が募集しています!それでよろしいでしょうか?」

「あ、はいオッケーです。」

「それでは報酬はどのようになさいますか?」

「船の運賃で」

「かしこまりました!それではこの紙を持って港にあるセレヌ•フィツネン号に行って下さい!」


なぜ俺達がエグドラシアへ行くのかと言うとアルマストレア行きの船が無くエグドラシアを経由しないといけないからだ。


一応下調べのために港へ行ったらマッチョな亜人種の水夫さんが親切に答えてくれた。


「で、君達が俺の船の護衛か!これも何かの運命か?ハハハハハハハハ!」

で、運命なのかどうだか知らないが俺とレナはさっき港で質問した水夫さん(俺の船って事は船長か)の船に来ていた。

船名は……セレヌ•フィツネン…うん、間違い無い。


「さぁーて!護衛も来たことだしちょっと早いが船出すか!」


そう言うと船長は俺とレナを船に乗せるとテキパキと五人程の水夫と共に準備をし始めた。


「お二人さん!報酬は運賃なんだろ?それじゃあこの大陸ともお別れだぜ!しっかりと目に焼き付けときな!」


そう言って船長は船のもやいを解く。


ゆっくりと動き出す船、少しづつ離れていく大地。

俺とレナはだんだんと小さくなっていく大地を何も言わず見ていた。















「「おえぇぇぇぇぇぇぇ!」」

「ちょっ!?」


速攻で船酔いした俺とレナだった。

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