表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/129

第二章 十八話 ~神殿の中の蜘蛛~

「以外と広いな」


神殿の中は薄暗く土砂や崩れ落ちたた柱や天井等で一杯だった。

まあ予想通りって言えば予想通りだ。それに生き物の気配も無いっぽい。

問題点っていえば瓦礫やそこら辺に転がってる五メートルぐらいある戦士の石像が道を塞いでて迷路みたくなってて進みずらいって事ぐらいだ。

と言うか石像全てが行き倒れになったかのような姿で倒れているのは何故だろう?


「で?どこに居るんだ大天使は?……よっと」


瓦礫や石像を飛び越えながら近くにいたドエヌに質問する。……そういやレナはどこ行ったんだ?


「確かこの神殿の一番奥の石像に封印されている……筈だよ、多分」

「曖昧だなドエヌ」

「当たり前だよ、この神殿が機能してる間は入れる筈無かったんだし」

「ふ~ん、所でこの神殿の機能って「翔!ドエヌ!誰か倒れてるよ!」」


突然聞こえてきたレナの大声。どうやらレナは正面にそびえ立つ瓦礫の山の向こうにいるらしい。

……どうやって行ったんだ?まあ兎に角倒れている人(魔族?)の安否を確認しなければ。


「待ってろすぐ行くから!」


俺はそう言って正面の瓦礫をよじ登る。


「すぐ行くからね!」


そう言ってひょーいと飛んで瓦礫の山を飛び越えるドエヌ。

…………悔しいなんて思ってないよ?光線でこの山吹っ飛ばせば良かったんじゃね?なんて思ってないよ?思ってても頑張って中腹辺りまで登ってきたっていうのに今更降りて瓦礫の山を崩して進んだらなんか負けなような気がするんだ!

だから俺、頑張って登るよ!ハハッ!






「ふう、で?何処にいるんだ?」

「「ここ」」


五分後、ようやく瓦礫の山を登り終えた俺はレナとドエヌが居るところへ着いた。

彼女達の目の前には巨大な建造物が置いてありその目の前にレナが発見した誰かがうつ伏せで倒れていた。どうやら息はしているらしい。


「で?何で倒れてたんだ?」

「いやそれが何を聞いても「水、ご飯」としか言わなくて……」

「食料持ちである俺を待っていたと」

コクリと頷くレナ。因みに俺が食料持ちなのは見た目では俺が一番年長だからである。実際は俺よりも力があるレナに半分持たせたかったのだが“男のプライド”という下らない理論が頭の中をよぎったせいで俺一人が三人分の食料を運んでいるのである。

まぁ兎に角何か食べさせてやらないと……


「おい、大丈夫か?」

「みずぅ……………ごはん……………みずぅ………」


あ、こりゃ重症だ。白目むいて水とご飯をを連呼してる。


「ほら!水だぞ元気出せ」


俺はそう言って水筒を差し出す。しかし反応ナシ。どうやら気絶していて無意識に喋っているようだ。


「仕方ないなぁ………よっ!」


うつ伏せになっていたのをひっくり返して仰向けにする。………女性だったのか。声が枯れてて分からんかった。

「水流し込むぞ~」


そう言って俺は彼女の口を開き水を流し込む。


「ゴボッ!?……ゴクゴクゴクゴク」

突然水を口から入れられたので彼女の体が一瞬ビクッとするがすぐに口に流し込まれた気絶したまま水を飲み始めた。

水筒一杯の水を飲ませると俺は今度はリュックから前の町で買ったリンゴのような(正式名称ケリリア)木の実を近づけてみる。


「クンクン………[ガブッ]」


口に近づけられた木の実を一端嗅ぐとすぐに食いついた。


「モグモグ………[ゴクン]」


飲み込むとまた木の実を近づける、食いつく、また近づける、食いつく

これを五、六度繰り返すと顔に近づけても食いつかなくなった。もうお腹が一杯と言うことだろう。

………というかこんなやり方で上手く行った自分に驚いている。


「気絶したまま木の実食べてたよ……」

「生命の神秘ってやつだね」


俺の後ろでレナとドエヌは唖然とした顔でそんな事を言っていた。


~一分後~


「ぐふぉあぁぁぁぁぁっ!ふっかぁぁぁぁぁつっ!」

「「「うぉぉっ!?」」」


水と食事を与えて僅か一分足らず、彼女は大声と共に蘇せ……目を覚ました。


「よっこいせっと……助けてくれてありがとね!私は冒険者兼トレジャーハンターのヤマト大陸生まれの土蜘蛛、五馬姫いつまひめ 牡丹ぼたんだよ!気軽に“牡丹”って呼んでね!」


彼女……牡丹は立ち上がると満面の笑みで俺に自己紹介をした。


「ああ……はいどうも……俺は風見翔と言います」

「アハハ……あたしはドエヌ、よろしくね」

「私はレナ。どうぞ宜しく」


蘇生の早さ、そしてテンションの高さに若干気圧されつつも俺達は自己紹介をした。


「いや~私偶然此処を見つけちゃって何かお宝無いかなーと思ってたらこの装置を見つけた訳」


そう言って自分の隣にある謎の建造物をぺしぺしと叩く。


「何かのスイッチっぽいんだけど少し解除に手間取ってたらご飯が無くなっちゃって……」

「此処で行き倒れ……と」

「えへへ………せいかーい。」

「それで一縷の望みをかけてたら君達が来たんだよ!いや~助かった助かった!これで作業が再開できるよ!」


そう言って牡丹は謎の建造物をいじくり始めた。


「う~ん、やっぱ下のには以上は無いし……やっぱ上か……」


牡丹は何か呟くと背中から足のようなものを四本出して建造物を登って……って待てぇぇぇぇぇ!!


「背中から生えてるの何!?足?足ですか!?」


思わず大声で叫んでしまった。いやだって誰も某ゾンビゲームの村長みたいに背中から足生やすなんて想像出来なかったんだもん!


「え?……あぁこれね、もちろん足よ?あたし元が蜘蛛そのものだから足が八本なの。人に化けたら手足揃えても四本でしょ?だからよ?………まあ初めて見る人にはショッキングな事でしょうけど」

「当たり前だ!心臓止まるかと思ったよ!なあドエヌ?」


しかしドエヌはと言うと


「久しぶりに見たけど相変わらずヤマト大陸の変化は凄いね。元の姿と人の姿を両立させることが出来るなんて装飾品の変身じゃ調節できないし」


感心していた。畜生!しかも説明口調ですよ!………所でヤマト大陸って……名前的に日本じゃね?そういや牡丹も日本名っぽいし……。


「なあレナこの世界っていった…」

「人から足が人から足が人から足が……」


ああそうだった。レナは怖いもの(グロ含む)が苦手なんだっけ……


「此処をこうしてはめ込めば…[ガコン……ヴイィィィィン]やった!完成!」


そうこうやってる内に牡丹はスイッチとやらを起動させたようだ。さっきまでくすんでいた建造物が緑色の光の筋で出来た幾何学模様で光輝いている。


「これで何かが起こる筈っ!」


牡丹は四本の足を使って綺麗に着地すると期待の眼差しで建造物を見る。


[ヴヴヴヴヴヴン]


ゆっくりと建造物は床に沈み込んでいく。そして完全に沈み込むと辺り一面が一気に明るくなった。


「やっぱり!これはこの神殿のスイッチだったんだ!」


ひゃっほう!と喜ぶ牡丹、しかし周りを見た俺とドエヌはそれ所じゃなかった。


「なあドエヌ。おまえの言ってた“機能”ってアレか?」

「うん、多分そうだよ……実際見た事無いけど」

「いや、見ただけで分かる。アレだな」


多分あの装置は魔力供給のブレーカーみたいな物だったのだろう。

俺達の目の前にいる物………それは……


神殿に沢山転がっていた石像達だった。

~パレミア神殿~


世界統一後に建てられたとされる神殿。

一般には邪悪なる天使が封印されていると言われておりその正確な位置を知る者は世界統一後から生きている者だけである。

入り口には結界が張られている上に中には強固な番人達がいるとされ近づく者は居なかった。

しかし数千年前の大規模な山崩れで神殿が埋まった為今では伝説となってしまった。

今は砂に埋もれた一部が無くなり入り口だけを覗かせている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ