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第二章 十三話 ~日記~

長いです、笑い無しです。しかしこれがないと話が進まないんです。駄文ご了承下さい

次の日の朝、俺は人目につかない書庫の片隅で先日貰ったノートを持って立っていた。


「…………よし、誰もいないよな?」

右、左と周りを見回す。司書さんは居るけれども本を読んでるしここは死角なので見つからないだろう。


「よし、それじゃあ見てみますか………」


そう言って本に巻かれている布をはがして最初のページを開く。


既に紙はボロボロで文字も薄れてはいたものの何とか読めそうだ。


それでは読んでいこう…………







……このノート、いや日記を読んでいるという事はあなたは何らかの形で我が敬愛する魔王様の魂を体に宿した人間なのだろう。

私の名はケーダイン•ロマニコフ。元魔王軍黒魔術部隊の総統で今はこの聖堂の神官をしている元人間。リッチだ。

………もっともこれを読んでいるという事は私はこの世に既に居ないという事なのだろうが。


多分貴方はこの世界の事をあまり知らない……と言うより全く知らないだろう。なので私が生き抜いてきた間の事、そしてこれを読んでいる貴方がしなければならない事をここに書き記しておく。




この世界の王が死んで三日が経った。

今までは彼が放っていた大いなる光により我々は抑制され。動きを一切封じられてきた。

しかし王が消えた事によりその光も小さく分裂して世界に散らばった。


今こそ我ら闇の軍勢の決起の時だ。


王の息子である彼らはそれぞれの大陸に散り光を灯しているがその光は最早我らを抑えきれる物ではない。


既に最も深い闇の国であり我らの聖地であるバクアシレルにて我らが信仰するこの世界の闇の支配者である魔王様が動きを見せ始めた。

各地に散った王の息子や娘も魔王を名乗ってはいるがあれは偽物だ。真の魔王は彼しか居ない!

早速私も向かわねば!






私は魔王様の配下に加わりその実力から暗黒魔術部隊の総統になるようにと言われた。


総統と聞いたとき私は首を傾げた。そんな位聞いた事が無い。

総と付くのだから何かのまとめ役なのは分かる。部隊長か何かの意味だろうか?


私的には死霊術の方が得意だったので出来れば死霊術師の総統?になりたかったのだが上からの命令なので仕方がない。我慢しよう。






自分にあてがわれた部屋を見て分かった。私の仕事は重大だ。総統とは部隊長ではない。将軍職らしい。調べてみると魔王軍では上から三番目の位。魔王様に謁見する事が普通に出来る位だった。


………リッチになってから何も食べていないのに胃が痛い。おそらくプレッシャーのせいだろう。

この位を下さった魔王様の為に頑張らねば






戦争が始まってもう二年が経った。

我が暗黒魔術部隊の戦果は上々で我らだけで滅ぼした国は今や十三。

全魔王軍の中で一番の働きを見せている。

既に世界の三分の二は我らの物。王の子らは運良く助かっているものの、最早彼らの全滅も時間の問題だ。






非常事態だ!何たることだろう。敵の軍勢に非常に強い精鋭部隊が現れた!

情報ではその精鋭部隊はたったの数名らしい。

最初はたった数人になんと面目ない事かと思っていたがここまで被害が広がっては何も言えない。

他の部隊の総統も部隊を潰されたと言っていた。


これでは私の元へ…いや、魔王様の元へと辿り着くのも時間の問題だ!速急に対策を練らねば!






今日魔王城にて緊急の軍議が開かれた。


最早敵軍の少数精鋭部隊……いや、勇者一行の勢いは止められないものとなっており、十人居た総統の何名かは既に勇者によって滅ぼされ、今や空席の方が多くなってしまった。


私の部隊も今や魔王決起の時の五分の一、士気もかなり落ちていた。


そこで我らを集めた魔王様は驚くべき作戦を展開する事に決めた。


勇者を魔王城に引き入れた後結界を張り出られないようにした後、魔王様自ら敵軍の総本山、エグドラシアへ乗り込み敵を滅ぼすというのだ。


その作戦には全員が反対したが魔王様が「これしかない、分かってくれ」と頭を下げてこの案を無理矢理通した。





私の任務は重大だ。この城に結界を張る役だ。私の他にもう一人。魔王親衛隊長で私と同じリッチのレミエル(女性)がこの役に付く事となった。


正直私はこの作戦に乗り気ではない。

作戦決行は勇者が来ると思われる二日後。悪い事が起こらなければいいが






…………やっとこの日記を見つけた。大部分が焼け焦げて無くなってしまっていたがまあ大丈夫だろう。


結局私は勇者に敗北した。勇者の一撃で肉体は滅び骨格だけになって気絶していたそうだ。


そして瓦礫の山となった魔王城でレミエルに解放されたと言うわけだ。


……作戦は失敗した。

私が倒れた後レミエルは結界を一人で勇者と戦いながら支え続けていたのだが予想だにしない事が起きたのだ。


レミエルが言うには魔王様がエグドラシアに乗り込まれた後、何と王の子達が謎の力を使い魔王様の肉体と魂を引き剥がしてしまったというのだ!


その後魔王様の魂は結晶化しこの世界を創った神に献上され、肉体は何処か分からない所へ封印されたらしい。


更に我らの上に位置していた天界に行ける五人の強大な力を持っていた堕天使も封印されてしまったというのだ。


これでは神に献上されたという魂を持ち帰ることも出来ない。

我ら闇の軍勢の復活はもう無理だろう。


余談だが魔王様の魂が結晶化する時魂の欠片が世界に降り注ぎ魔王の力を持った上位種のさらに上、魔王の位を持つ獣が生まれたらしい。

魂の欠片で魔物をそこまで強化できるとは………流石魔王様。






今日、魔王軍で生き残った者達にレミエルから衝撃的な事を聞いた。

五人の堕天使の一人、時を見る堕天使ジェルフストンが魔王の魂を持った者がいつかは分からないがこの世界に再び舞い降りるとレミエルの前に現れ予言したそうだ。


そして堕天使五人を祭る聖堂を建てて待てと言われたと言うのだ。


そして話し合いの結果。私はエンディアスに行きレスティアス様を祭る事となった。勿論魔王軍の配下だった事を隠し、異教の神として祭る事となった。

さて、明日から忙しくなりそうだ。






ここ一年日記を書いていなかった。

今の現状はと言うと………微妙だ。

一応聖堂は完成し、参拝者もそこそこだが来ている。それにレスティアスの部下であった三人が私の世話をしてくれるので退屈もしない。もうこの日記も大した事が無かったら書くこともないだろう。戸棚にしまっておくことにする。






やれやれ、二百年ぶりに出した日記はもう表紙がボロボロだ。この書いている紙が破れないか心配だな。

兎に角、かなり久しぶりにレミエルからの手紙が来たので読んでみると興味深いことが書いてあったのでここに書いておく。


彼女ら一派は今は魔王城を再建し、バクアシレルで貴族になって王の子孫の監視をしているとの事。

そこで分かった事が重要だった。

彼らの中の光の力が徐々に弱まっているという事だ。この先何千年かかるか分からないが確実に彼らは力を失い弱り死に絶えるだろうと言うことだった。

多分魔王様の肉体と魂を引き剥がす時に魔王様が何らかの呪いをかけたのだろう。

流石魔王様。ただではやられないお方だ!






この頃買い出しに行っているレダニールが人間の数が減ってきていると言っていた。何故だろう?そう言えばこの聖堂に来ている人間も減っている。

原因は何だろう?






人間の数が減っている原因が分かった。

どうやら原因は彼らにしか感染しない病気が原因のようだ。それもすごい勢いで広がっているとの事。多分絶滅はしないだろう。






街から人間が消えた。いや、消えたのでは無い。皆死んだのだ。

何と言う事だろう。我ら人間は絶滅の道を辿ったと言うのか?

この頃私の体の調子も悪い。体がいやにきしんだり、動かなかったりするのだ。


何故だ?私は不死身になった身。リッチだというのに………






私の後継者が来た。コレロントと言う名前のリッチだ。いや、魔力が少ないからスケルトンと言った方がいいかもしれない。

もう私の体は殆ど動かない。動かない理由も分からない。

ゆっくりとしか動かない片腕で辛うじて字を書いている。

これが私の最後の日記となるだろう。

私が生きた二千四百と二百三十二日、

もう眠るとしよう。私は疲れた。コレロントと三人の堕天使には私が眠ってからこの聖堂に来た最初に来た人間を予言の子として暖かく迎えろと言っておいてある。


………この本はどうしよう?コレロントに後のページを埋めるように言っておくか…………






「これで最後のページか………長かったな」


取りあえず分かった事が三つ。

一つは俺の変身状態はこの本に書かれていた魔王の魂の姿で、あのハデスに飲まされた不思議な塊がまさに結晶化した魂だった訳で、

もう一つ、王族が次々と力を失って行ったのはこの魔王がかけた呪い(?)のせいだと。


そして最後に、この世界を創った神に献上したって事はこの世界を創ったのはハデスだって事だ。


「でも何で?」


ハデスは王族の力が弱まってる理由を知らなかった。

それに俺に魔王の魂を渡すんだったら何であんな問題みたいなの出したんだ?


ちょっと考えてみる。


「それはね?私がてきと~だからだよ翔君!」


うん、これだな、これ以外あり得ん。


「ん?」


最後のページをめくると小さな紙切れが落ちた。不思議に思って拾い上げるとその紙切れにも何か書いてあった。





この本を読み終わりそしてこの紙切れを読んでいる魔王の魂を持ちし者よ。どうか我らが果たせなかった悲願を果たして欲しい。

これを読んでいるのが私が眠りについた何百年、何千年後かは分からないが……。

兎に角先ずは五人の堕天使の封印を解いて欲しい。私がいた聖堂のレスティアスが封印されているのはこの聖堂から西へ行ったパレミア山脈にある神殿だ。彼女を助け出せば魔王が復活した事を全世界が知り。魔王に忠誠を誓った者達の子孫が君の助けになるだろう。


………………魔王の魂を持つ者に暗黒の導きがありますよう。






「…………なんだこのゲーム展開は」


俺は一人紙切れを持って立ち尽くすのだった。

これを読み終わって「?」となった方!


とりあえず感想ページへゴー!

多分大体の疑問は解消されると思います。

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