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第一章 二話 ~山賊と俺と傭兵と~

どうも~まえがき担当のハデスで~す!


さて、異世界に降り立った森の中で出会う謎の種族の女性、ジェミィ。

何でこの娘翔君が異世界から来たってのにあんま驚かなかったんでしょ~ね~不思議ですね~。

ともかくついて来いと言うので付いて行っちゃう事になった翔君。これからどんなお話が始まるんでしょ~か?

それでは本編どうぞ!




あれから暫くしてジェミルさんを先頭に森の中を進んでいた。

……しかしこの森は人工物と思われるもの……石畳やら折れた柱やら石造などが結構点在している。まあ全部苔やら草やらが生えて朽ちかけてはいるんだが……昔はここに建造物が立ち並んでいたのだろう。


「あ、そうだ。私の事はジェミィでいいぞ、と言うかそう呼んでくれ」


ふいにジェミィさんが思いだしたと言わんばかりの顔で振り返り俺に向かってそう言った。


「あ、はい。分かりましたジェミィさん……一応聞きたいんですけど何でですか?」

「私の故郷の言葉ではジェミルってのは不吉な言葉なんだ……」


そう言うと彼女は寂しげな顔をして俯いてしまった……うわぁ、聞かなきゃよかった。

それにしても不吉な言葉ねぇ、それなら呼ばれたくないってのも分かるけど何でそんな名前を付けられたんだ?何か理由が……


……いや、変な詮索は止そう。知った所で俺にも彼女にも何かいい事が起こる訳でも無いし彼女の聞かれたくない事事であったら場の雰囲気を悪くしてしまうだけだ。

それにこの状況で彼女との仲が悪くなったら色々と面倒だしな……


「と、所でもう一つ聞きたいんですけどここはどういう所なんですかジェミィさん?俺ここの事よく分からなくて…」


と言う訳で俺は何か重くなってしまった空気を打破すべくなるべく明るい声で質問した。まあ声が若干引きつってしまったが。


「そうだな……一応簡単に説明しておこう。それともう少し楽に話してくれ。堅苦しい感じで話されるのは嫌いだ」

「そ、そうですか……こんな感じでいい?」

「ああ、十分だ」


ジェミィはニコッと笑うとこの場所、そして現状についての説明を始めた。


まず俺が居る場所に付いて。この土地は大陸ゴムールという場所で昔は巨大な大陸だったのだが大昔に起きた地殻変動の際に大地の一部が海に沈み今は巨大な島国になっている事。

そして俺達が居るのはその数々の島の中心となる最も巨大な島である事。

そしてゴムールを治める王族……魔王の一族が死に絶えた事により地方の島国の辺境伯や有力貴族達が次々と独立し内乱が巻き起こり、今はディアトリア家とティアリア家の二大貴族が大陸を巡り争っている事。

そして優勢であるディアトリア側の統制が中途半端な事もあり政治が腐敗を始め更にティアリアと同盟を結ぶか戦うかでディアトリア側が揉めている時に農民の反乱がおこったらしい。

この国では農業や漁業が盛んな為農民の数が兵士に比べて圧倒的に多い上統制がとれていない為に動かせる兵が少ないディアトリアは緊急的な措置として傭兵を募る事にしたのである。


そして傭兵であるジェミィはここに来た……と言う事らしい。


「しかし何でディアトリアは腐敗してんのに優勢なんだ?」

「ディアトリア家は貴族の中で最も領地が多く金もたくさん持っていた。金でその土地の領主を傘下に収めて領地を広くして一大勢力を築いたんだ……金だけで下に付く奴らなんて所詮はクズって事だ」

「ふ~ん……で?ティアリアはどういう所なんだ?」

「さぁね……一応ディアトリアの治安よりはマシだって事は分かってる。詳しくは知らない」


ゲームとかだとディアトリアって典型的な敵国になるケースなんだけどなぁ。

いや、まぁこれはゲームじゃ無いし正義と悪なんてバッサリと割り切れるほど簡単じゃあないよな…


「…!おい翔!こっちに来い!」

「へ?……うわっ!」


いきなりジェミィさんに腕を掴まれそのまま木陰に引きずり込まれた

まだ回想の途中だったのに………


「え…ちょっと何でムゴッ!」

「しっ!喋るな!」


静かにして待っていると、近くの茂みがガサガサと動き、七~八体の小柄な人型の魔物が出てきた。身長は百四十から百五十。小学生ぐらいの身長で粗末な服に申し訳程度の粗末な防具を付け手にはナイフやこん棒を持っていた。

緑の皮膚に鍵鼻、そして尖った耳に獣のような目……あれってもしかしてゴブリンか?


木陰からゴブリン達にばれないようにこっそりと覗くと奴らは笑いながら何か話しているようだった。


「ヒヒッ、今日の獲物は簡単だったな」

「結構な物も持ってたしな!今日はツイてるぜ」

「この森の中でボーっとしてるたぁ不用心な野郎だぜ!」

「ホントにな、ギャハハハハ!」


それぞれ高笑いしながら盗品であろう剣や鎧や荷物袋を担いで歩いている。どうやら全く周りの事を警戒していないようだ。どっちが不用心なんだか……

まああいつらと絡む必要は微塵も無いな。武器持ってるし襲いかかられて怪我でもしたら嫌だし…


「なんだ、ゴブリンか」

「やっぱゴブリンですか」


俺と同じくひょこりと木陰から顔を出して様子を見ていたジェミィさんが呟いた。

ところでなんで悪人顔してるんですかジェミィさん?まさかあのゴブリン達が持ってるものぶん盗ろうって考えてるんじゃあ無いですよね?いくらなんでもジェミィさんがそんな事……


「ちょうどいいか、奴らをプチッとやって奴らが盗った品を頂こう」

「そうですね、ここでやり過ごしましょ……ってえぇ!?」


うわぁぁぁ!?予想通りになって欲しくない予想が当たってしまったぁぁぁ!


「んじゃ、前の四人頼む、私は後ろの四人やるから」

「え?ちょ!?俺も参加かよ!」

「これで今晩のお前の飯と路金に変えられる物が手に入るぞ!」


そう言うが早いかジェミィさんは茂みから飛び出し、どこに隠していたのか杖を取り出すとゴブリンに踊りかかっていった。


「ちょっとは俺の意見も……あぁもうっ!」


行っちゃったよジェミィさん……もうどうにでもなれっ!

半ばヤケクソになって俺も剣を抜きゴブリン達の居る方へと駆け出して行った。

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