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第二章 九話 ~プリンは魔族を呼ぶ~

いい匂いって生き物を呼びますよね。

特に甘い物に関しては。


今回はそんなお話。

何もかも普通。


それは裏を返せば何でもそつなくこなせる万能型と言うことだ。


ぶっちゃけこれが俺の才能なんじゃないだろうか?


なんて思いながら




俺は城の厨房でお菓子を作っている。






「ねえ翔~その“ぷりん”って言うのいつ出来るの~?」


俺の隣で椅子に座っているレナがそう聞いてくる。


全く、お前に食わせるために作っているんじゃないってのにこのハイエナめ。


「う~ん、お昼過ぎぐらいには出来るんじゃないか?」

「ふ~ん、結構時間かかるんだね」

「ま、そうだな」


俺はそう言って鍋をかき回す。


この世界、結構俺の元居た世界に似ている食材が多数あったのでそれで元の世界の料理が作れるのかという実験目的も兼ねて作らせて貰っている。


「うぁ~いい匂い~」


そして作っていたらこのハイエナが入り込んで来た訳だ。お陰で一人分だった材料が二人分に増えてしまった。


ここの料理長になんて言おうか………

「王女様が来て食べたいって言ったんで作りました」


…………オーケーコレで行こう。


「ん?何かいい匂い……………翔さん?」

「あ、どうも司書さん」


珍しい。司書さんが書庫を離れてこんな所に来るなんて………


「ふぁぁ…いい匂い…………何を作っているんですか?」


トテトテとかわいらしく走ってきて鍋の中をのぞき込む司書さん。


あぁ何か抱き締めた………ハッ!止めろ俺!そんな事をしたら俺はティールと同じレベルにまで下がってしまう!



「ぶえっくし!」


「………どうしたティール、鼻にゴミでも入ったか?」

「い………いや、違うぞアンダル、これは何処かで私の噂をしてる奴が居るんです!違いありません!」

「…………一端頭冷やそう、な?ティール」

「ちょっ!?何でそんな悲しい目で私を見るんですか!?」




ティール今頃クシャミでもしてるかなぁと思って鍋をかき回していたら


俺の後ろに椅子が一つ増えて、その上に司書さんが座っていた。


「それで?翔さんが作っているお菓子というのは?」

「うん“ぷりん”って言う翔の故郷のお菓子らしいよ!とっても甘くて口の中でとろけるような食感らしいよ!」

「それは楽しみです!」


…………あの、お二人さん何をお話になっているので?


「あ、翔!司書さんの分も作ってあげて頂戴!」




「…………ゑ?」




と、言うわけで材料を継ぎ足しをする訳にもいかず鍋が一つ増えたまでは良かったのだが…………


「ん?いい匂いが………」

「料理長!厨房からいい匂いがします!」

「………ふむ、確かに!少し覗いて見るか」

「あれ?いい匂いがしますぅ~」

「ん?なんだこの匂いは?」

「旨そうな匂いがする!」

「ふぁぁぁ……いい匂い」

「この甘美な匂いは何でありますか?」


「………もう助けて」


流石は動物大国、ありとあらゆる魔物•動物のハーフ種の皆さんの鋭い嗅覚が厨房に人を集めに集め今やレナ、司書さん、厨房の料理人、料理長、メイドさん、執事さん、大臣、衛兵など計三十八名様が厨房にごった返している状況です。


もはやこの数になると普通の鍋では入り切らないので大きい鍋に…………って料理長、アンタ止めろよ。


それにここに来た奴ら仕事しろよ。


「ん?何だこの匂いは………って何じゃこりゃぁぁ!お前ら仕事しろぉぉ!!」


あぁエアリスさん………マトモな反応ありがとうございます。


「翔がね!“ぷりん”ってお菓子をみんなに作ってくれてるからみんなで待ってるんだよ!」


コラレナァァァァ!何て事を言うんだ!そんな事を言ったら怒られ……


「そうなのか?………それなら私も…」


なんですとぉぉぉぉ!?アンタレナの教育係だろうがぁぁ!止めるとか止めるとか止めるとかしろよ!子供を甘やかしちゃいけません!


「翔!エリアスの分も!」

「済まないが……………頼む」


ジーザーーーーーース!神は私を見捨てたか!


「エリアスは無類の甘党なんだよ~」

チクショー!気合いだ!気合いで頑張るんだ翔!そう、これは試練だと考えるんだ!神々が俺を試してるんだ!この試練を乗り越えて見せよと!


「う………うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」







…………その後俺は腕を痛めたが見事三十九人分のプリンを作り上げみんなに振る舞い「何故私を呼んでくれなかった!」とガルテリアさんに怒られた。


怒った後寂しそうに去っていく彼を見て今度彼だけに最高のお菓子を作ってあげようと思った俺だった。

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