第二章 五話 ~お城の生活~
翔君が回復して数日後、城の皆様方と馴染み始めた頃の話です。
体が回復した数日後、俺はこの城の書庫にこもって色々と調べていた。
まぁ調べると言っても暇つぶし程度なのだが………今日はこの大陸について調べてみよう。
~エンディアス~
この世界で最も巨大な大陸、ディアトリア王国有するゴムール大陸との差が面積にして約八倍。国の数も多く大陸名と同じエンディアス王国を中心として七つの国がある。そしてその全ての国がエンディアス王国の傘下に入っている。
国名が大陸名と同じなのはそれが理由らしい。
近くにある大陸としては南に獄炎の大陸スペルム、南西には世界樹の大陸エグドラシア、北には暗黒大陸バクアシレルがある。
因みにゴムール大陸に行くには大陸を四つほど経由して行かなければならず、最低でも三ヶ月はかか……
「バカじゃねえの!?」
俺は絶叫した。
三ヶ月?三ヶ月ですか!?何ソレ!?三ヶ月も旅しろってか?冗談じゃない!
「あの、静かにして下さ…」
そして俺の奇声をきいて書庫のカウンターからひょっこりと現れた小柄の司書さんだが
「黙れインテリメガネ司書!」
俺は怒りに任せて罵声を浴びせた。
「ひうっ!………ごめんなさい…………」
ハッ、イラついた勢いでこの書庫の司書さん(メガネ+幼女)にキレてしまった………
「ううっ………ごめんなさぁい………」
そう言って涙目になる司書さん。正直幼女(カワイイ系)の涙目は卑怯だと俺は思う。だってそうだろ!?あの衝動物みたいな目!エロゲの主人公じゃなくても惚れるぞ!
「あ、あの………ゴメン」
「はい……次からは気をつけて下さいね」
俺が謝ると司書さんは持っていた巨大な本を広げるとまた読み始めた。
因みにさっき幼女と言ったが彼女はとっくに成人している、というかアラフォーである。幼女に見えるのは彼女の種族がノームだからだろう。
その後、俺と司書さん以外人が居ない書庫でゆっくりと時間を潰していると、
「[バコン!]翔~~~~!!」
突然書庫の扉が盛大に開きゴロスリを着た本物の幼女が書庫へと飛び込んできた。
「「………うるさいのが(来たよ•来ましたね)」」
そして発言がハモる俺と司書さん。
最初にこのイベントが起きた時は心臓が止まるかと思ったが慣れとは凄いもので今や司書さんと共に冷ややかなコメントを贈れるようになっていた。
「うるさいって何よ!これでもあたしは静かにしてるつもりなんだから!」
そう言って顔を膨らませているのはベヒーモスの子供、レナだ。
愛称を聞いた瞬間夕焼けの空をバックにして立っているナタ少女を思い浮かべたがこっちの武器はハンマーだった……残念。
見た目は美人、と言うより可愛い系に分類されそうな顔立ちをしている。
因みに彼女にも「角の手入れしてるの?」と聞かれた。そんなに俺の角は綺麗なのだろうか?レナの金色に輝く角の方がもう何か色々と凄いような気がするんだが…………
「兎に角っ!外行こ外っ!翔が居なくちゃ外出出来ないんだからねっ!」
そう言ってとんでもない馬鹿力で俺の腕を引っ張って書庫の外へ連れ出そうとするレナ。
「止めっ!おいレナ!痛い痛い痛い!!!」
何故レナが外出するのに俺が必要なのか、その理由はと言うと、
ぶっちゃけこの城でレナの暴走を止められるのが俺しか居ないからである。
時は遡ること二日前、俺が中庭で通りかかった見知らぬ兵A君と共に剣の練習をしていると突然片手に自分の身長とほぼ同じ大きさのハンマーを持ったレナが乱入してきて大変な事態になったのだ。
結果俺がチート技を連発して勝利したが、そこかしこにクレーターが出来上がりガルテリアさんに日が沈むまで説教された。
それが理由なのかは分からないがレナが俺に懐くようになり、俺に一つの仕事が与えられた。
レナが城の外に出るとき同伴して欲しいと言う事だった。
俺も城の中でいつまでもタダ飯を貰う訳には行かないのでその仕事を受ける事にした。
そして俺はどうして彼女に外出許可が出なかったのか知ることになる……