第一章 三十二話 ~召還されて………~
「…………」
皆さん質問です、朝起きて足下を見たら魔法陣が展開されていた。
こんな状況だったらどうします?
今俺の足下には半径一メートル程の魔法陣が展開されている。
いやなんか気持ち悪い。何か落ち着かないし……
歩いても走っても足下から魔法陣が足下から離れないし。
何かの魔法が発動するのかと思えば何時まで経っても発動しないし
最終手段として魔眼で無効化しても直ぐにまた足下に展開されるし。
「………どうすりゃいいんだよ」
これは誰かに聞いた方がいいかな?
と、すると魔法に詳しそうなニーシャかジェミィ辺りだな。
「そうと決まれば……部屋どこだったっけ?」
取りあえず俺は城の中を歩き回ることにした。
一時間後、テラスで話し合っているニーシャとジェミィを見つけて
この足下の魔法陣を解析してもらった結果。
「ふむ、これは召喚陣だな」
「ですね、間違いないです」
はい、召喚陣だったようです!所で召喚陣って何だ?
「あ、因みに召喚陣っていうのは私を呼びだしたアレです」
ああ、ニーシャさんを呼び出したあの魔法陣か、
まあ似てるっちゃあ似てるけどね。
「まあ私を呼びだした魔法陣のように強制力はありませんからほっとけば術者が諦めて魔法陣を解くでしょう、それまで待ったらどうですか?」
「そうか、それじゃあ俺は部屋でのんびりと……ってうおっ!?」
そう言って俺がテラスから去ろうとするといきなりジェミィが俺の服を掴んできた。
「翔、一応もしもの時の為に此処に残れ」
「え?いやニーシャが待ってりゃいいと……」
「こ•こ•に残れと言っている」
そう言って殺気のこもった笑顔を浮かべるジェミィ。
止めて下さい、ニーシャが怯えてるよ!?
「二、ニーシャ!俺部屋に戻っても大丈夫だよね!?」
「だだだ……ダメ、だと思い、ます………」
ちょ!?すごい怯えてるんですけど!?
顔が真っ青になってるんですけど!?
「………ハイ、此処にいさせて頂きます」
「分かればいいんだ分かれば」
そして俺はテラスの一角に腰を下ろして暇を潰すことにした。
~一時間後~
「解けませんね」
「ニーシャ、俺の部屋から本取ってきてくれない?」
「あ、はい。本の名前は?」
「魔法薬に使うグレートキノコ大百科」
「あ………はい分かりました」
~更に一時間後~
「粘り強いですねこの術者」
「まあ気長に待とうじゃないか、当の本人は」
「ふ~ん、キノコとは奥が深い……」
「日が沈むまでは持ちそうだしな」
「所でジェミィさんって翔さんにホの字なんですか?」
「なっ!?」
「そう!私の身を省みずに心血を注いで作り上げた愛と言う名の美しい結晶が今ジェミィの心の中にキラリと輝いているの[ゴスッ]えぶぅっ!?」
「何時から居たこの万年発情一角馬がぁっ!」
「げほっ……万年発情とは失礼な!私は只ジェミィ達の愛が育まれていくのをただ物陰からじっくりと見て私の執筆活動に[ガスゥッ!]けぶるぁぁっ!」
「変態です!正真正銘の変態ですぅっ!」
「ニーシャ!コイツの足を持て!こいつを放り出すぞ!」
「え!?ちょっと!それはシャレにならない!此処どれだけ高いのか分かって」
「邪念退散!」
「待て!待ってくアァァァァーーーーーーーー……………」
「今何か叫び声がしなかった?」
「ん?気のせいじゃ無いか?」
「そうだと思いますよ翔さん」
「そ………そうか」
~そして更に三時間経過~
「うぉあぁぁぁぁ~~~っ!何時になったら消えるんだコレはぁぁぁっ!!」
「すごい根気ですねこの術者」
「もう何かほかの方法無いのか?コレ夜になってまで続いたら何かイヤだぞ」
魔法陣の光で夜中一人エレクトリカルパレードなんて真っ平ゴメンだ。
「それなら召喚を拒否すればいいんじゃないですか?」
「その方法があるんだったら先に言えよ!」
何だったんだこの数時間、
まあ兎に角解除できるんだからいいか。
過ぎたことをグチグチ言うつもりも無いからな
「で?召喚を拒否するにはどうすればいいんだ?」
「簡単です、拒否の言葉……“ヴィアネッタ”と言えばいいんです」
「良し!それじゃあえ~と何だっけ?……ヴィアネッタ!」
[ヴォン]
「………翔が消えたぞ」
「…………一言いいですか」
「ああ、言ってみろ」
「………言葉、逆でした」
「と、言うことは?」
一瞬の沈黙。
「バカぁ!それじゃあ術者の元へ送ったと言うことか!?」
「あわわわわわ……すいません!」
「と言うかお前が言葉教えなければ翔は絶対に召喚されなかっただろ!」
「す……すいませぇ~~~ん!!!