第一章 三十一話 ~精神崩壊•ティール~
~あらすじ~
私の名はニーシャ、ハデス様の秘書兼お目付け役をやっている悪魔です。
悪魔としての実力がトップクラスだった私はこの若さにしてハデス様の秘書になることが出来ました。
しかしハデス様は自由人過ぎて正直困っているんです!この前なんか下界のテレビを勝手に繋げてそれを(長いので中略)こんなに頑張っているというのに異世界へ飛ばされた上帰れなくするってどういう事ですか!?
リストラ、リストラって事ですか!?そうなんだ?そうなんですねハデス様!?
………まあもう腹は決めました!私は翔さんに付いていきます!付いていきますよ!
………あれ?これってあらすじだったんですかぁ!?
「#%¥♭£∞♪♭%$♭…………」
「これが新たな患者ですか」
「…………はい、お願いします」
………何も言わないでまずは話を聞いてくれ、
ピートロッドでの爽やかな朝、俺は清々しい気分で起きあがると……
「$×¥♭€÷#♪€#♭¢………」
何故だか知らないが精神崩壊を起こしたティールが天井に吊されていた。
そのティールの周りにはとても俺の口からは言えないような物が散乱していたんだ。
これはどういった状況だ?
そう思って俺は周りを見回すと………
「おお、起きたか翔、さて…ディアトリアへ帰るとするか」
すごい爽やかな笑顔を浮かべたジェミィが立っていたんだ。
しかし彼女が放つオーラはまるで修羅の様だった。
俺はティールがどうしてこの状態になっているのかを一瞬で理解した。
そして、絶対にツッコんではいけないんだと直感した。
「あ……うん、それじゃあジェミィは先に町の入り口で待っててくれ、俺は昨日精神崩壊を起こした悪魔を連れてか無くちゃならないし、ね?」
そう言うとジェミィは満面の笑顔で
「そうか、なら出来るだけ早く来てくれ」
そう言って部屋を出ていった。
俺はその満面の笑顔の意味、
“絶対にその天井から吊されている物に触るな”
という意味を瞬時に理解をしたが
「#¢#÷€¢¥∞€!!!」
流石にこの状況のティールを置いていくわけにも行かなかったので
俺はティールを天井から降ろして医者の家に運んだ。
そして今に至るわけだ。
「だ……大丈夫なんですかこの人?」
「ああ……たぶん大丈夫だと思う……あくまで多分だけど」
俺は例のごとく部屋に運び込まれていくティールを
先程退院した悪魔……ニーシャさんと見送った。
「さ、行こうニーシャさん」
「え?あの……いいんですかこのまま置いていって?」
「いいんだ、多分生きて帰って来るだろ」
「そ……そうですか」
俺はティールの無事をちょっとだけ願って合掌するとその場を後にした。
「アギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「!? 何ですか今の叫び声?」
「心配しない方がいいですよ?ニーシャさんもああいう叫び声あげてましたし」
「えぇっ!?あんなはしたない声をっ?」
「まああそこまで汚い声じゃ無かったですけどね」
「うぅ~………恥ずかしいです」
………三日後、ティールはディアトリアに帰ってきた、
いや、帰ってきたはよかったんだけど大変な事になっていた。
「ティール?」
「ハイ、ナンデショウ?」
うん、見た目は問題ないんだ、
だけど目が点になってる上喋り方が片言になっていた。
「だ……大丈夫か?」
「ニクタイ、セイシントモニイジョウハアリマセン」
「おい、これはヤバくねぇか?」
「……同感だ、これは酷い」
「テ、ティールは大丈夫だかぁ?」
「アンダルサン、ザムルサン、バーダムサン、ナニカオカシイコトデモ?」
「………………」
俺達の行動は迅速だった。
「バーダム!ティールを押さえつけろ!ザムルと一緒に個室へ運び込んでくれ!それとアンダル、この街で一番腕のいい医者を呼んでくれ!」
「了解したぁ!」
「ナ、ナニヲスルノデスカ?ワタシノカラダニイジョウハ」
「おおありなんだな!」
「その通りだ!」
「チョット!ランボウハヤメテクダサ」
「待ってろティール!今直ぐ元に戻してやるからな!」
「チョット!?ミナサンワタシヲドコヘツレテイクノデーーーッ!?」
………その後五時間に及ぶ医師のケアによりティールは何とか元に戻った。