表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/129

第一章 二十七話 ~宝箱と携帯電話~

「よし、完成だ!」


「何してるんですかハデス様」


「あぁ、ちょっと携帯を改造してたんだ」


「お仕事は?」


「ハハッ、私は何時でもフリーダムなのさっ」


「そうですか、で、そのケータイの中の魔法陣は何ですか?」


「あ、いや、ちょっとしたお遊びだよ!ハハッ」


「それにしては私の召喚陣と似てるんですか」


「ソ……ソンナワケアリマセヌス」


「アリマセヌスって何ですか!?ちょっと見せて下さい!」


「だが断る!」


[ポイッ、パタン。]


「ちょっと!?何宝箱の中に入れてるんですかぁ!」


「そぉい!」


「そして何で窓の外に投げ捨てるんですか!」


「気分だっ!しかも投げたのではない!飛ばしたんだ!」


「…………もういいです」


「あ、このセンサーが点滅したら私を呼んでくれ、お願いする」


「あ…はい、呼べばいいんですね?」


「あ、それとその時このマイクに向かって“ハデス様からお電話です”って言い続けてくれると嬉しい」


「? 分かりました、引き受けましょう」


「サンクス!それじゃあ仕事を始めるとするか」

ある晴れた日のこと、俺はロボとティールを連れて

俺が目覚めた森である物を探していた。


「ロボ!臭いはするか?」

「いやいや、現物がないと無理だと思うんですが」

「そんな事はないぞティール!ロボが頑張れば何とかなるはずだ!」

「いや、いくらロボが嗅覚が優れてるからって何日経ったと思ってるんですか……」

「クゥン………」

「う~ん、でもなぁ……諦められないんだ!」


俺が探している物、それはズバリ!

俺のお気に入りの携帯電話だ。


実は俺はいつも携帯はポッケの中に入れておく性格なのだ。

しかし、この世界に送られた後、俺の持ち物に携帯だけ無かった。

それで多分一番最初のジェミィに殴られた時落としたのではないかと思い

暇そうだったティールを連れて探しにきたと言う訳だ。



「そもそもケータイって何ですか?」

「遠くの人とお話したりゲームしたり時計代わりにもなる優れ物だ!」

「それってマジックアイテムですか?」

「いや、機械だ」

「機械って何ですか?」

「強いて言えば魔力の代わりに電気を使う物……かな?」

「分かんないんですか?」

「俺その手のプロじゃ無いから詳しい事はワカンネ」

「そうですか………所で、なぜ今更その……ケータイを探そうと?」

「あぁ……ちょっとな」


ちょっとケータイに入れた弾幕ゲーをやりたくなったのと、

こっちでも電波つながるかどうか実験したいからだ。

用途?勿論ニコニコと俺の大好きな東…サイトを見ることですよ?


……こんなこと言ったら根ほり葉ほり聞かれて

一話分もってかれそうな気がする。


「! ワォン!!」

「どうしたロボ!何か見つけたか!」

おぉ!ついに見つけたかロボ!よくやっ……た?


「何ですかあれ?すごい怪しそうなんですけど」


俺とティールはロボの近くに

落ちている物に目を疑った。


……みんな大好き宝箱だ。


「思いっきり怪しいんだが」

「ですね」


想像してみてくれ。

富士の樹海にちっこい宝箱が

ちょこんと置いてある光景を。


「シュールだ、シュールすぎる。」


森の中に宝箱って何だ、

ゼル伝か?それともドラクエか?


「と、兎に角調べてみますか」

「お、応」


ティールに促されて宝箱に手をかけて持ち上げ……れない?

どうなってんだこれ?何か地面にくっついてるって感じだ。


「ティール!手伝え、これすげぇ重い!!」

「わ、分かりました!私は右側を持つので翔は左側を!」


しかし俺たち二人掛かりでも持ち上がらない、

最終的に何か底にくっついているのではないかと

判断した俺達はロボに体当たりをさせた。


「ワォ[ゴスン!]……………」


パタリ。


「ロボォォォォォォォォォォ!!」


ロボは戦闘不能になった。

ロボのタックルで微動だにしないとは……

恐るべし、宝箱。


「翔、この宝箱に何か文字が書いてあるみたいです」


そしてそれを軽くスルーして宝箱を調べるティール、

冷静なんだか冷たいんだか分からない。


「何て書いてあるか分かりませんね、翔は読めますか?」

「ん?……ってコレ日本語じゃん」

「ニホンゴ?翔の国の言葉ですか?」

「ああ、そうだ……え~と何々……」


携帯入ってます、魔法で鍵かかってるんで魔眼使って開けてね♪ byみんなの神様ゴットハデス


………貴様の仕業かハデス。

しかし何故に宝箱?夢にでてきた時に渡せよ。


「何て書いてあった翔?」

「うん、開けろと書いてあった」


俺はそう言うと変身して魔眼を使った。

その瞬間宝箱がパカリと開いた。


というかナロッジとの戦いの時コレ使えばよかったんじゃね?


今更ながらちょっと後悔。


「コレがケータイですか」


そう言って中に入っていた俺の携帯を取り出すティール。


…………アレ?何か俺の携帯に違和感が……


「ちょっとティール君貸してくれ」

「? どうぞ」


俺は携帯を受け取るとよく見てみる。

………改造されとる。


まず俺の携帯に元々付いていたストラップの他に

ハデスのデフォルメストラップが追加されている他

携帯の正面に趣味の悪いシールが貼ってあった。


「ま、まさかっ!」


俺は携帯を開くと急いで起動する。


「良かった、中は普通か………って何じゃこりゃぁぁぁぁ!?」


うん、最悪の事態だ。


ハデスはケータイの中まで改造していた。

待ちうけ画面がハデスがにっこり笑っている画像になっていた。

更に見たこともないアイコンが……


「何コレぇ?」


メニューが思いっきり改造されてる。

通話の所が[ハデスにお電話]になってたり、

[現在地][翻訳辞典][召喚獣]なんてのがあった。


前の二つはまだ分かる。最後のは何だオイ。


(ハデス様からお電話です、ハデス様からお電……)


「うぉおう!?」


電話が突然鳴り出した。

着信音でかけた奴が分かってるせいで出る気が起きねぇ。


「うぉっ!翔、それ何か音出してますよ?」


隣でティールが興奮している。

そんなに凄いか?音が出たくらいで、


(ハデス様からお電話です、そろそろ疲れてきました、早く出て下さい。)


「……」


(あの、聞いてます?出て下さいお願いします、本当にお願いします)


「あの、出るって何が出るんですか?」

「あぁ、携帯で出るっていうのは携帯を開けて話をする事を言うんだ」


(ちょっと!無視しないで下さい!翔さんが出てくれないと私の給料がっ!)


「こっちの声聞こえてんのかこれ?」


(当たり前です!さっさと出て下さい!)


「ああ、分かった、分かったよ!出りゃいいんだろ出りゃ!」


俺は渋々携帯を開くと通話ボタンを押した。

途端に聞き馴れたハデスの声が携帯の中から聞こえてきた。


「どれだけ待たせるの翔君!?何、何かのイジメ?……ハッ、まさか翔君遂にMに目覚め[ブツン]ツーッ…ツーッ…ツーッ…」


そして俺は速攻で切った。

真面目な話かと思えばコレだよ。


(いきなり切るとはやるな翔君!)


「うぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


頭の中に直接声がぁぁぁぁぁぁぁ!

忘れてた、アイツこういう事出来るんだった……


お、驚かすなぁぁぁぁ!


(まあそんな事よりどうだ?私のカスタマイズした携帯は?凄いいいセンス…)


最低だよコノヤロー。


(マジで?今冥界で流行らそうとしてるんだよそれ!)


せめて流行ってる物にしろよ!


(大丈夫、絶対そのハデスちゃんストラップは流行る!)


この趣味悪いストラップそんな名前だったの!?


(趣味悪い言うな!私が丸三日仕事をサボって作った物なんだぞ!)


冥界の王が仕事サボるなよ!っていうか用件は何だ!


(あぁ、そうだった、その携帯の使い方についてだ。)


そっか、なら手短に教えてくれ。


(なんとその携帯、魔力を電気に変換して充電する機能を付けたのだ!)


ふぅん、


(更に私といつでも話せる機能や自分の現在地を知れる機能も付いている!)


それで?


(……何か質問とかはある?)


待ちうけが変わらないんだがどうやって変るか教えてくれ。


………………アレ?応答は?


チクショ~!逃げやがったな!逃げやがったなアイツ!

あくまで俺にこの待ちうけ画像を見させ続けさせるつもりだな!


「お~い翔?さっきからボーッと突っ立っててどうしたんだ?」


…………ハッ!ティールが側にいるのを忘れてた。


「いやゴメン、ちょっとボーッとしてた、帰ろう」


この携帯の詳しい機能は帰った後で調べればいいか。


俺は携帯をポッケに突っ込むと

ティールと森を後にした。












~おまけ~


「あれ?ロボは、ロボは何処へ行った!」

「あ………森の中に置き去りにしちゃってました!」

「何ぃ!ティール、急いで森へUターンだ!」

「はい!了解しました!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ