第一章 二十五話 ~後日、図書室にて~
「え………と……は?いや、に……むれ?違う!ねむれだ!」
あの戦争が終わって数日後、
王様の葬式も終わり焼けた街の復興作業も始まった。
そして俺は今王宮の図書室で本を読んでいる。
因みに本のタイトルは
[モニーくんのおつかい]
……幼児向けの絵本です。
何故絵本かって?
それはね、ディルさんに「なんか文字を学べる本ってありませんか?」って聞いたら
「ふむ………ちょっと待ってろ、探してきてやる」
と言って自分の部屋に消えたと思ったらこの絵本を渡してくれた訳だ。
因みにこの他にもいくつか絵本を貰っている。
彼曰く「絵本こそ言葉と文章の基礎」らしい。
最初の二冊位はディルさんが親切に訳を教えてくれたので今は一人で翻訳作業をやっている。
「文法が同じっていうのは以外とやりやすいな」
簡単にここの世界の文字の説明をすると文字数は百文字で日本でいうあいうえおと同じで違うところといえばや行とわ行に専用の“い”と“え”が追加された形になっている事だ。(ぶっちゃけ使わない)
文法も同じなのでやりやすい。
と言うか漢字と同じようなものがあったらまんま日本語だと思う。
「なので……ほめ、ら……れまし……た、おしまい………終わったぁぁぁぁ!」
自力で一冊消化したぜ!このまま次に行ってみよう!
「え~と、何々……りゅうの…ゆう…しゃ……のもの……が…たり、」
~二時間経過~
「読み終わったぁ~~~~」
本の内容:勇者がドラゴンナイトでお姫様を助けに行くという物語でした。
以外としっかりした物語だった。うん、なんか人間……いや魔族関係の深さというものが分かった気がする。
次いこ次!
「え~と“きょうらんのひめぎみ”か兎に角読むか」
~四時間経過~
「これ子供に読ませちゃ駄目だろ、悪影響出るぞ」
内容:お姫様が求婚に来た王子を次々と虐殺していくお話。
最後にお姫様が自分の首をサーベルで切り落として終わりました。絶対子供向けじゃない。
「つ、次は………“禁じられた恋”…おぉ!段々早く訳せるようになってきたぞ!」
タイトルには突っ込まない!絶対に突っ込まないぞ!
~三時間経過~
「大人向けですね、分かります。」
内容:まさかの十八禁本です。ディルさんは一体何歳の時にこれを読んだんでしょう?
明らかに「パパ~」なんて言う年齢の子が読むには刺激が強すぎる内容でしたね!
「おっ、もう外真っ暗じゃん、じゃあ今日はこれぐらいにするか」
ちょっと外を見てみるともう日が沈みかけていたので俺はディルさんに貸して貰った本をまとめて図書室を出た。
ーその後、ディルさんに返した時、
「禁じられた恋」を一番上(故意)にして渡してそのまま帰ろうとしたら
ものすごい勢いでディルさんの部屋の扉が開き、
「頼む!見なかった事にしてくれ!お願いだ!」
と、凄まじく焦ったような顔で俺に掴みかかってきた。
無論、“はい、皆には黙っておきます”って言いましたよ。