第一章 二十三話 ~ゲームの主人公は肝が据わり過ぎてると思う~
~あらすじ~
城の外の兵を一掃しいざ城の中に入ったは良かっのたが………
以上、ナレーションは作者がお送りしました。
赤い靄がうっすらと漂っている城内に入ると既にそこは凶暴化した兵士がたむろしていた。
……どうやらザムルの薬は効いているようでこの中に居てもどうにもならない、しかしどれくらい効果が持続するか分かったもんじゃあ無いから早めに行動しないとな。
「早く元凶を探すぞ少年、このまま靄が城外に広がったら外の彼等も危ない」
「そうですね、行きましょう……で、どこにあるか見当はついているんですか?」
「靄の流れている逆方向へ向かう、そうすれば靄の発生源に辿り着ける筈だ」
そう言うと将軍は周りを少し見回すと「あそこから流れているな」と言い通路の一つに向かって走っていった。
俺も将軍に続いて走る……流石将軍、俺見回しても全く分かんなかったのに。
「どけぇっ!」
「[ザシュゥッ]ゴガァッ!!」
通路の近くで襲い掛かってきた数体の兵士を背負っていた大剣を一閃し吹き飛ばす将軍。
まるで通路に置かれたごみを退けるが如く自分よりも巨大な相手をああもあっさりと……俺もチートだと思ったがあの人も大概だなオイ。
「さあ早くいくぞ少年!」
「はい将軍!」
将軍を先頭にして進んでいく途中何度か同じように兵士に襲われもしたが俺が出る前に将軍が難なく撃退。
……というか大剣に重装備付けてて走るスピードが俺とほぼ同じってどうよ。
見れば見る程本当に強いぞこの人。結構な歳に見えるのにほんととんでもないスペックだな……
「む、あれか!」
将軍が足を止めた先を見ると巨大な壺のような物からもうもうと煙が吐き出されていた。
あれが元凶か……しかし敵兵の影も形も見えない、重要な物だというのに警備も置かないとは不用心だな。
それに通路の両端にずらりと並べられている騎士の鎧も恐ろしげな雰囲気を放っている、ここは用心した方がいいんじゃあ……
不信感が拭えない俺を余所に将軍はずんずんと煙を出している壺に向かって歩いて行っていた。
そして壺の一歩手前で止まり剣を構える。
「良し、こいつを止めれば……」
「将軍!そんな不用心に行ったら危険では?」
「大丈夫だ、敵の影は無……」
俺の心配を軽く聞き流し将軍は剣を抜き放つ。
しかしそれと同時に通路の両端にずらりと並べられていた鎧騎士の頭が一斉に彼に向き武器を構えて襲い掛かった。
[ガシャガシャガシャガシャ!!]
「将軍危ない!!!」
「ぬっ!中身の無い鎧など幾ら揃えても私の敵ではないわ!」
俺の大声に将軍は振り向きざまに大剣を振るい鎧兵達を吹き飛ばす。
「まだ居ます![ズドォン!]」
「助かったぞ少年!でぇぇぇい![ガシャァァァァン!]」
俺は魔法弾を放ち将軍の近くに居た鎧騎士を吹き飛ばした。
将軍はそのまま素早く壺の方に向かうと剣を振り上げ壺を真っ二つに斬り捨てた。
真っ二つになったゴポゴポと中から赤黒い色の液体が漏れてるんだが……まあ煙が止まったからいいか。
「よし、破壊したぞ!」
「それじゃあ早く逃げましょう」
「そうだな……多勢に無勢すぎる」
俺と将軍は鎧に背を向けて一気に走り出した。
一応相手をまこうと色々攻撃したんだが……こいつら攻撃が全く効かなかった。
ビックリだろ?体真っ二つにしても頭を吹っ飛ばしても
挙げ句の果てにはスクラップ同然の姿にしてさえ起きあがって追いかけて来るんだぜ?
タフすぎるだろ馬鹿野郎!
「あれは一体……」
「多分あれは鎧に魔力を注ぎ込んで作られた低級のガーゴイルだ!体のどこかに書かれた魔法陣を消して魔力の供給を絶てば止まるはずだ!」
「要は魔力を消せば止まるんだな!」
「そ……そう言うことだ……ゼエゼエ」
ヤバい、流石にディルさんもバテてきてる!
しかし対処法はもう分かっている。
魔力を消せば止まるというのならとっておきのを俺は持っているのだから。
「将軍!奴らを止めます!」
「出来るのか!?」
「任せて下さい!」
そう言って俺は鎧軍団の方に向き
目に魔力を集中させる。
[ガシャガシャ……ガシャ…ガ…シャ…ガシャァン]
俺が睨み付けると途端に鎧達は動きが遅くなり前のめりに倒れてバラバラになった。
……流石は魔眼、所でコレ使うと視力落ちるとかないよね?
(無いに決まってるじゃないか翔君!)
………今一瞬聞きたくない奴の声が聞こえたように感じたがあえてスルーだ!
うん、それが一番だろう。
(なんと!君は私の天の声を無視するのか!?)
………無視だ、無視に限る。これはそう、幻ちょ…
(みっくみっくにし~てあげる~♪{裏声})
「うおあぁぁぁぁ!初音ミクをお前の裏声で汚すなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「どうした!何かあったのか?」
「え……あ、すみません何でもありません」
「そうか、では王座の間へ向かうぞ!陛下の身が心配だ!」
そう言って歩き出すディルさん。やっぱり疲れているっぽい。
それよりもアイツ俺が無視するからって恐ろしい事をしやがって……つい絶叫してディルさんに変な目で見られたし
(すまなかった、今は反省している)
謝ってすむ問題かオイ、それで?用件か何かですか?
(いや、茶々入れにちょっと君の脳内に電波を)
………帰れ
(はいはい解りましたよ、あ!あと一つ)
……何ですか?
(いや、この件が終わったらこの城の図書館でも借りて魔法の勉強をしといた方がいいぞ)
何で?今のままでいいじゃん。
(あのね、翔君が今使ってるのは魔法じゃなくて内なる魔力を外に放出してるだけなのっ!此処の奴ならまだしも外の大陸には翔君には及ばないにしろ絶大な力を持った輩が沢山いるんだ。ただがむしゃらに力を出し続けてれば大抵の奴は倒せるだろうけど強い奴には全く効かないからな)
……めんどくせプラス話長い
(あのねぇ……これはどこぞの主人公最強設定の話と違うのよ?今はそう見えるかもしれないけどずっとそうはいかないんだから)
了解、分かった。それじゃあこの一件が終わったら図書館の本でも読み漁りますよ。
(お、言ってる間に王座の間の前に着いたな!それじゃあ私は此処でおさらばだ!)
そう言うとプツンッという音と共に通信が切れた。
「翔!扉を開けるぞ!」
そう言って扉に手をかけるディルさん。
[ギィィィィ……]
ゆっくりと扉を開き中へ入る。
「お待ちしておりましたよ……クククッ」
その部屋には王とその側近らしい男の二人しか居なかった。
しかし王の様子がおかしい。まるで死んで………
死んで、る?
「おのれ……貴様ぁぁぁぁぁ!!」
先に動いたのがディルさんだった。
素早く背中に背負っていた長剣を抜き殺した張本人であろう側近に突っ込んで行った。
しかし
「甘い」
「何っ!……ぐはっ!?」
あと少しで剣が側近に触れるという所でディルさんが“何か”に吹っ飛ばされて壁に叩きつけられた。
「大丈夫ですか?」
「……………」
返事は無いが呼吸はしている。どうやら気絶しただけのようだ。
後ろから独り言が聞こえてくる。
「ククッ……王は攻め込んできた反乱軍に殺され私に反発した哀れな将軍はその王を殺した罪で処刑」
俺は立ち上がると只今妄想をしているクソ野郎の方を向いた。
「そして貴方は私の手で殺される……これで私はこの小さな大陸の魔王となる!」
「笑えない冗談言ってくれるじゃねえかクソ野郎」
そう言って俺は剣を構える。
元々喧嘩などは好きでは無いがこいつを見ていると無性に腹が立ってきた。
「クソ野郎とは言ってくれるものですねクソ餓鬼がっ!私の名はナロッジですよ」
そう言うと右腕を上げるとそいつの中指にはまっていた指輪が怪しく輝きだした。
「貴方の名は教えて貰わなくて結構。どうせ私はすぐに貴方のことなんか忘れますから」
そう言うと指輪の光がナロッジを包み込んだ。
俺のナレーション短かっ!
まぁあんまり喋りたく無かったからなんですがね!