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第一章 十一話 ~酒って人を変えるよね~

「う~あぁ~……」


只今酒場でグデングデンになっております。

何故って?ハハッ!宿、何処にあるかわかんねぇんだよぉぉぉ!!

人に聞けって?三メートルの狼連れた奴が近づいてきたら貴方どうします?

普通ダッシュで逃げるでしょう!そのせいで一騒ぎ起きてまたあの衛兵さん達にご厄介になりました、あの裁判官さんにもやれやれって顔されたんですよ……ふぅ、全くツイてない。

その後再び放免された俺はもしやこの裁判所の近くに落としたのではないかと思い探し回り受付に居た元気そうな獣耳兄ちゃんにここら辺に紙は落ちてなかったかと質問したんだ……そしたら


……何故かギルドに入れられていたんだ。訳が分からない……どうやらその兄ちゃんが俺がギルドの申込用紙を落としたと勘違いをしたらしく名前を聞かれたと思ったら……ね。

あの兄ちゃん早とちりが過ぎるだろうに……こっちが普通の反応を返す前にあれよあれよという間に勝手に物事を進めやがって……


……所で誰に話してんだ俺は?


「オヤジ、プアジュース!」


なんとなく気分が悪くなったので店長と思われる親父に向かって追加の注文をする、プアジュースというのはこの土地で穫れるプアという名の果実をすり潰し加工したジュースでなかなか旨い、色はピンクとイエローの中間みたいな色だ。

一応酒では無いらしいのだが……俺の頭の中がぼうっとしてるのは多分この酒臭い店の空気のせいだろう。

因みに客が頼んでいるもので貨幣の価値は解ってきた。金貨、銀貨、銅貨の三種類が使われている。

銅貨は日本円にすると百円ぐらいの価値らしい。このプアジュースの値段はジョッキ一杯で銅貨二枚、

その銅貨四十枚で銀貨一枚。という事は銀貨一枚イコール四千円だ。

更にその銀貨が二十枚で金貨一枚。四千×二十=八万。金貨一枚八万円でございます。

と、いうことは………

ロボの値段 金貨三十枚

八万×三十=二百四十万………プギャー!!

最初にこれを計算した時、ジュースを噴水の如く吹き出しました。周りの皆さんからの冷たい視線が心に突き刺さったよ……

そしてそんな感じで居心地が悪いながらも一人で占領し続けた丸テーブルの向かい側には何故か知らないオッサンが座っていて………


「兄ちゃん、飲むねぇ……」


などと言いながらジョッキ一杯に注がれたビール(?)を飲んでいる。ご丁寧におつまみも二~三皿置いてある。

……って待て、普通にスルーしそうになったが一体何時から居たんだこのオッサン、何か既にいい感じに出来上がってるし……


「ああん?誰だテメェはって顔してるな?俺はただの飲んだくれだ!」


そんなもん見なくてもわかる……ぼさぼさの髪、くすんだ色のコートに土色に汚れたシャツ、それに中途半端に伸びた顎鬚……顔はイケメンの部類に入るなコイツ、ティールとは違いダンディーな顔だ。

それにこの俺を射抜くような視線……こいつ俺の事を探ってるのか?

……まさかな。本当に空気に酔ったのかな、自分を過大評価しすぎだ馬鹿野郎。


「ほう……あんた馬鹿じゃ無いみたいだな」

「はい?」

「……俺を不振がってる」

「そりゃあいきなり目の前にジョッキ持った飲んだくれが現れたらな……」

「そりゃあそうか」


そう言って飲んだくれのおっさんはジョッキを傾ける。


「[ゴクッ……]あんた今日の昼に起こった魔獣騒動で大活躍だったそうじゃねぇか」

「え?……ああロボの一件ね」


因みに今ロボはお店の外でお座りして待っている、店に無事に客が出入りしている事から多分誰もロボにちょっかいは出されていないんだろう。

一応裁判所からのお言いつけで飼っている事を証明するものを付けさせておきなさいという事でそこらへんで見繕った風呂敷をバンダナ代わりにして付けさせている。

まあ昼の一件で大々的に俺の飼い狼って事が大体の人に知れたから怖がられる事は無くなったが……誰も寄って来なくなりました。それで道も聞けずに自棄になってこの酒場に……という流れである。

そういやこの街で自分から寄ってきたのはこのオッサンだけだな、

……衛兵?あんなのウチのシマじゃノーカンだから。


「飲んだくれのオッサン、あんた本当の名前は?」

「ん?俺の名はヘリム……ヘリム•グレイ•デスクロウ。種族はハイサタン、それと俺はまだオッサンっていう程の歳じゃねぇ、お兄さんだ」

「あ~はいはい、宜しく」


なんか自分から寄ってきてくれたって事を思ったら何か嬉しくなってしまい名前を聞いてみた。

ヘリムさんは自己紹介するとずいと俺に差し出された手を一応握って握手する……手が硬いな、力も強そうだ。

それにしてもデスクロウって……凄い名前だなオイ…何か映画にでも出てきそうな名前だ。

それに種族ハイサタンて悪魔かい……どっからどうみても浮浪者にしか見えん……悪魔の威厳もへったくれも無いなこの姿は。


「ところでお前の名前は?」

「風見翔、よろしく」

「おう、宜しくなショウ!俺のことはヘリムでいいぞ」


そう言って背中を叩いてくるヘリム。何かすげーフレンドリーな人だ……いや、ただ単に馴れ馴れしいだけか?

その後ヘリムさんは気分を良くしたのか料理を頼み、雑談しながら飲み食いしている内ヘリムは酔いが回ったのか真っ赤になっていた。

ヘリムさん大丈夫か?何だか凄いカクカク左右に揺れてるんだが……


「そうだ翔、聞きたいことがあったんだ……」

「ん?何?」

「俺はしがない情報屋をやってるんだけどよ……お前の事を教えちゃあくれないか?」

「あ~……はい?」


いやこの人酔ってるとはいえ何を言い出すんだ一体……もしかして俺に寄ってきたのも俺の事を聞き出す為なのか?真っ赤な顔はフェイクで本当は……ってのは無いか。この人完璧に酔ってる……

……ってか酔ってるとはいえ本人に情報提供を頼むってなんなのよあんたは。情報屋として色々おかしいと思うぞ?


「おいそこの二人ぃ?そこは俺達がいつも座ってる席なんだがぁ?」

「はい?」

「ん!?」


俺達の目の前にはいかつい風貌の大男が四人、他の客はこちらの事を見て見ぬふりをしている。

皆さんこいつ等とは絡み合いにはなりたく無いらしい……ここで騒ぎは起こしたくないしここは穏便に下手に出て済ませれ……


「ああん!?ここに座ってたのは俺らが先だこの見た目ばっかりの筋肉馬鹿共!空いてる席に座りやがれ!」

「ちょ!ヘリムさぁぁぁん!?」


いかつい男たちに向かって思いっきり啖呵を切るヘリムさん。何やってんですかあんたぁ!?酔ってるとはいえそれはいくらなんでも無いでしょーに!

ってか周りの人達がおぉ……とか言ってんですけど!?名にその期待した目!?

ほらもう目の前の厳ついお兄さんたち頭に青筋浮かべて俺達の事見てるんですけどぉ!?


「上等だこの野郎立ちやがれ!俺達が見た目だけじゃ無ぇ事を痛いってほど思い知らせてやるぜぇ!」


腕をボキボキと鳴らしながら俺達を見下ろしてくる男達……い、嫌だぁ!何でこうなったぁ!

周りを見回してみると客たちは期待の目で見つめている……ってか『やれ~』とか言ってる奴もいるんだけど!?店主も『店を壊さん程度にやってくれ』なんて言っているし!止めてくれお願いだから!

おいおい待ってくれ俺達は平和に飯を食ってただけだしヘリムさんは酔っぱらってるから無……


「望むところだぁぁぁぁ!!!」

「[グイッ]ちょ!?ヘリムさん!」

「ヘリムでいい!勝てば飯代はタダだ、いっちょやるぞ!」

「何それ!?[ズルズル……]ま、待ってくれ!俺も巻き込むなぁぁ!」


勇ましく立ち上がったヘリムさんに襟首を引っ張られ酒場にあるステージに引きずられていく俺。

何故かギャラリーがステージ上にあったものをどかしてステージを作りそこで相手の男四人と俺とヘリムさん二人での殴り合いが始まってしまった……

こうなってしまったのでは仕方が無かったので俺は変身し暴れに暴れた。


「……グフッ」


……数分後そこにはボコボコになった男四人の姿があった。結構あっけなかったな……

俺は何故か歓声を上げているギャラリーの声を背にステージから降り[ガシッ!]……ん?

何者かに肩を掴まれ俺は何事かと振り向くとそこには鎧を着た傭兵と思わしき男が立っていた。

そしてその後ろにも多数の鎧を着た男達が……俺は背中にゾクリとくるものを感じた。


「おいおい兄ちゃん結構強いじゃねぇか……俺と一戦やらねぇか?」

「待てよ、俺が先にこいつとやるって言ったじゃねぇか、俺が先だ」

「待て待て兄ちゃんの一番近くに居たのは俺だぜ?俺が一番最初に戦うべきだろ?」

「いや俺が……」

「それなら俺も……」

「違う俺が……」


一人、また一人とステージ上に増えていく俺の挑戦者達……遂に俺の額から冷たい物が滝のように流れてきた。


「[ポンッ]翔……グッドラック」

「だ……誰のせいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


その後、ステージ上で格闘ゲームも真っ青の大連続バトルが行われた……最初の挑戦者に殴り掛かっていった時の事は覚えてるんだけどその先の記憶が無い……一体俺は何をしていたんだろう。






~それを見ていた客達の証言~


「あれは殴り合いってレベルじゃねぇ……本気の殺し合いだった。あのチンピラ共には迷惑してたけどよぉ……流石に同情するぜ、ありゃ圧倒的過ぎだ。特に若い兄ちゃんが異常な強さだったな」

「熱気にあてられた外野が次々と殴りこんで最後には乱闘騒ぎだったな……恐ろしい光景だったぜ」

「傭兵共も来てたらしくてなぁ……道理でいつもより激しかった訳だ。まあ殴り合いで兄ちゃんに勝った奴は居なかったな。最後の屍の山に立ってる姿は凄かったぜ……まあその後がな……」

「私の店……明日の夜までには元に戻りますかねぇ……グスン」


俺は良く覚えていないがヘリムの言う事によると檀上が黒い炎で燃え上がっており倒した挑戦者たちのピラミッドの上でガッツポーズをとっていたらしい……何をやっていたんだろう俺は。






その後………


「翔さん!こんな時間まで何処にいるかと探し回った私達の気持ちも考えて下さい!」

「まぁそれぐらいにしようティール」

「しかし此処にいるとは思わなかったな」

「うう……すいません」


そして只今、酒場でティールに説教をくらっている所です。

俺とヘリムの勝負……もとい殺し合いを止めたのはティール達だった。

いつまで経っても宿に来ないのを心配した三人は俺を探してくれていたのだ。

その途中、外にも聞こえる程騒がしかった酒場へ何となしに入ったら、俺とヘリム(殆ど俺)が大乱闘中だった訳である。

それを見てプッツンしてしまったジェミィとティールは………


「ティィィィル!あのバカを粛清しろぉぉぉ!」

「了解しましたぁぁぁ!」

「[ドゲシッ]ほぶぁぁぁぁぁ!?」


ティールのライダーキック+頭から水をぶっかけられました。その時に俺は正気を取り戻したらしい。その時は俺は何故びしょ濡れで鳩尾がすごく痛いのか理解できなかった。

その時のティールの顔はジェミィ曰く鬼よりも恐ろしい顔をしていたらしい。

まあ必死に探してくれたのに見つけた時の状況が屍の山でガッツポーズだからなぁ……これは切れても仕方ない。


「兎に角!宿に帰りますよ翔!」

「……了解です」


ぷんすかと怒っている二人の後を追う俺、これ以上怒らせたらヤバい、主に俺の命が危ない。

この二人の怒りに触れぬように何事も無く行動しなけれ……


「ガルッ!」

「おおロボ!いい子にしてた…………あ」


因みに一章は三十話ぐらいで完結すると予想しております!まだまだ先は長いです!


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