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第四章 十二話 ~学院、学校、学園……一体何が違うんだ?~

新年一発目……一月一日に投稿したかったけど色々と駄目だったぜ……。

今年も読者の皆さま温かい目でこの作品を見ていって頂けると幸いです。

「歴史書はあちらとなります。御退出なさりたい時は私に……」

「あ、はい。ありがとうございました」


俺はレナを連れて魔術学院に向かい、とりあえず面識のあるカルバンさんとお話をした。

まあ話をして紙を渡した後のカルバンさんは「お前は一体何者なんだ」といった顔をしていた。

そしてレナは学院長の元へ、そして俺はセディクさんが後見人となったお陰であっさりとこの学園の特別図書を閲覧させて貰える事になった。……流石ギルドマスター。


特別図書は外部から侵入されないよう特別な術式を知っている者しか入れない魔法陣で転送される仕組みになっていた。

俺は連れて来て貰った係りの人に歴史書の棚を教えてもらうとそこからそれっぽいのを何冊か取り出して読み始めた……






「おっ!あったぁ!!!」


探し始めて数時間は経っただろうか。俺は一冊の本に堕天使の像と思われるような記述を発見した。


「大陸レブヘインズ……レーギャルン大牢獄の最奥に罪深き天使の石像眠る……か」


これが堕天使像の場所か?……しかし違うという可能性もあるな……もう少し調べるか。

俺は一応場所を書き写し他の歴史書も調べてみた。


「う~ん、黄金郷の主が保管している天使像、剣闘士の守り神である女神像……可能性があるのはこれくらいか……」


俺はそれっぽいのをメモしてポケットに仕舞うと入り口で待っている女性の方へと向かった。


「お探しの情報は見つかりましたでしょうか?」

「はい、それじゃあお願いします」

「それでは失礼して……」


そういうと係りの人は俺の手を握り魔法陣の上で何かを呟くと辺りが一瞬光に包まれ一瞬で場所が変わった。

……ちなみに誤解してもらっては困るから言っておくが係りの人は男性だ。


「それではレナヴァイス様がお帰りになるまでご自由に……その時になったらお呼びします」


そう言うと係りの人は足元に魔法陣を展開しその場から居なくなった。


一応俺はレナを連れて来た時にお供という事になっているので一人で帰るに帰れないのだ。……まあ置いて帰るなんて無責任な事をする気はさらさらないんだが。


さて、俺は何をしよう?とりあえず静かな所で時間を……


[くいくい]


「ん?」


探そうと思った所服を引っ張られるような感覚がありその方向を向くといつかの少女が俺を見上げていた。

確かこの前風見家の(以下略)を食べてお代が払えなかった子だ。よく覚えている。


「あの……その……えっと………」

「よっ、あの時のお嬢さんじゃないか!久しぶり」

「ひゃっ、ひゃい…………お久しぶりです……」


まごまごしている少女に元気よく挨拶するとビクッとしたかと思うとおどおどとした感じで挨拶してくれた。本当に見かけと同じで小動物みたいだな……耳も尻尾もピンと立ってるし。


「あ、あの……ここの学生なんですか?」

「いや、違うけど?」

「そ……そうなんですか……では何故此処に?」

「ちょっと図書館で探したい本があってさっきまで探してた」

「見つかったん……ですか?」

「ああ、それで今連れの話が終わるのを待ってる」

「そうなんですか……」

「……お二方」

「「!?」」


そんな他愛のない話をしていると突然後ろから声をかけられ二人して驚いて振り返るとさっきの係りの人がすぐ近くに立っていた。


「風見殿、そしてゆめ、丁度良かった……二人共こちらへ」

「「あ、はい」」


俺と少女は同時に返事をしてくるりと向きを変えて歩き出した係りの人の後に続いた。

……多分『ゆめ』っていうのがこの少女の名前なのだろう。

見た目からするとちゃん付けが妥当なのだろうがこの世界は見た目=年齢の世界では無い。一応さんづけをするのが無難だ。


「あの……風見……さん?」

「お?ああ、何?」


俺の横に並んで歩いていたゆめさんが俺に話しかけてきた。

風見さん、と呼んだのはさっきの俺と同じく俺の名前を知ったから呼んだのだろう。


「あ、そういや自己紹介がまだだったな、俺は風見翔って言うんだ。翔って呼んでもらって構わない」

「え……あ…私はゆめ……九尾狐くみほゆめと言います。」

「応、よろしくな」


くみほ……どんな漢字だろう?久美歩……か?それとも当て字的な苗字だったりするのだろうか?


というかこの世界は名前の定義はどうなっているのだろうか?……牡丹や雷岳もそうだったが彼女も名前が漢字なのだろうか?


「こちらこそ……それで風…翔さんは何故先生に?」

「え?あの人先生なの?」

「はい……私のクラスの担任です」

「そうだったのか……」


対応の仕方からしてただの学校の職員みたいな人だと思ってたんだが思いっきり違ったよ……先生だったのか。


「俺はこの学院に入る奴の連れなんだ」

「そうだったんですか……そうすると多分私は……」

「暫くここでお待ち下さい」

「………」


どうやら話している間に目的地に到着したらしく係りの……じゃなかった。先生は目の前にある扉を軽くノックして中に入って行った。

話を途中で切られたゆめさんはそのまま黙りこんでしまった。


そして待つ事一分ほど、中から先生に連れられレナが出て来た。

どうやらこの部屋は学院長室だったらしいな。

多分俺が資料を探している間ずっと説明でも受けていたのだろう。その顔には全く精気が宿っていなかった。まあ頭よりも体を動かす事の方が得意なレナにとっては動けずにずっと話を聞き続けるなんて事は拷問に等しい時間だったに違いない。


「レナ、大丈夫か?」

「どぅぃぁいじょゅょぶぢぃゃなぁぁいぃぃぃ………」


まるでゾンビのような声で受け答えをするレナ。うん、大丈夫じゃない、問題だ。

横に居るゆめちゃんに至ってはレナを見て硬直してるし……これ完全に怯えてるよ……


「……ええと……翔様?レナヴァイス様は一体?」

「………気にしないで下さい、歩いてれば自然に元に戻ります」

「そ、そうですか……コホン…それじゃあゆめ、失礼の無いように頼んだぞ」

「は、はい!」


先生はそう言うと再びその場から一瞬で消えた。

………便利だな転移魔法。俺も機会があったら覚えてみたいもんだ。


「そ……それでは改めまして私の名前は九尾狐ゆめ、この学院を案内させて頂きます、どうか…「うぅぅあぁぁぁ?」ひぃぃぃぃっ!?」

「いい加減テンション戻せレナ!思いっきり怖がられてるぞ!?」

「[ベシッ]うきゅっ!……む~」


軽く叩いたら随分と可愛い声が出たな……それと不満が溜まっているのは解るがジト目で俺を見るんじゃない。


「うぅ……このモヤモヤのはけ口をどこかに求めたい……」

「別にいいけど戦闘以外にしろよ?絶対被害が出るから」

「翔はあたしにこのモヤモヤを溜めこめと……」

「お前は戦闘以外のストレス発散の仕方が無いのか!?」

多人数ザコを一気にぶっとばして得られる爽快感に勝るものは無いでしょ?」


なんだその無双ゲームにハマった奴の理由みたいのは。


「あの……そろそろ……」

「あぁん!?[ギロッ]」

「ひぃっ!」

「モヤモヤが溜まってるからって初対面の奴を威嚇するな!」

「[ズビシィッ!]おびゃうっ!………だってえ……」

「………[ビクビク]」

「あ~、ゆめさんゴメン。こいつの手綱は俺がしっかり握っておくから!学院案内たのみます」

「……は、はい……それではまずこちらへ……」


若干レナに怯えながらも俺とレナを連れてゆめさんは案内を始めた。






「えっと、ここはですね……」

「ゆめちゃん尻尾もふもふ~~ねぇねぇこれってお手入れしてるの?」

「えっと……はい……一応毎日ブラッシングはしてます……それでここは……」

「尻尾って下ろした方が楽じゃない?立ててるの辛いと思うんだけど……」

「……そうでもないですよ?それに下ろすと地面に着いちゃって汚れちゃいますし……それでこの場所の事なんですが……」

「ゆめちゃんの尻尾って沢山あるけどそれって一つ一つ自由に動かせるの」

「ひうぅぅ……」


ゆめさんが学校案内を始めて三十分程でレナとゆめさんはこんな感じになっていた。

ガンガン話しかけてくるレナに最初は怯えまくっていたが段々と慣れてきたようで普通に受け答えをしている。

まあ律儀にレナの質問に答えているせいで場所の説明が終わらず助けを乞う様な目線で俺を見ている状況が作り出されている訳なんだが……


「レナ~あんまり質問攻めにすると先が進まないんだが……」

「え~……でも何か話さないとつまんない……」

「説明なんだから聞くのが普通だろう……それにゆめさんにも迷惑だぞ」

「ぶ~……解った」


そしてレナは静かになった……のだが


「それでここが中庭になります。戦闘訓練等に使われる事が多いですね」

「キタキタキタァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!ここだ!ここを待っていたぁ!………所で何で誰もいないの?」


戦闘訓練という単語を聞いた瞬間一気にテンションが上がった。

最早戦闘狂と言っていいんじゃないだろうか?こいつ絶対場所さえ用意すれば疲れて眠るまでずっと戦い続けてそうだ。


「今日は休みですから………皆さん寮で思い思いに過ごしてると思います………」

「そっか……つまんないの」


誰もいないと言われあからさまにテンションが下がる。

……休日だったのか。学院だというのに異様に静かだったのはそのせいだったのか。


「うぉぉぉぉぉぉ!!![ドドドドドドドドド……]」


「「「!?」」」


その静かな雰囲気をぶち壊しにするような大声が聞こえ俺達三人がその方向を向くと誰かが土煙を巻き上げながらこちらに向かって突っ込んで来た。


「おぉぉぉぉぉ……お?[ズザザザァァァァッ!]」


そして俺達を発見したのか足を止めてこちらに歩いて来た。

走っていた主は女性らしい。背は俺と同じくらいの身長で特徴的な所と言えば……う~ん、肘と膝の部分が獣みたいだ……猫耳っぽいものも生えてるなんかアニメに出てきそうな獣人って感じだ。


「誰かと思えばゆめじゃないか?それと……奥の二人は見ない顔だな……お前の友達か?」

「違います先輩、えっとあの二人は…「私はゆめちゃんの友達になって無かったの!?[ガーン!]」へっ!?ち、違います、それはそういう意味で言ったんじゃなくて「そうだよね……所詮私とゆめちゃんのの間での事は単なるお遊びだったんだね……」だから違いますって「ゆめ……私はお前を見損なったぞ……」ひうぅぅぅ!!!」


涙目でわたわたとするゆめさん。そして更に二人はゆめさんに言葉攻めを食らわせていた。

レナとあの女性から発するオーラで分かる。遊んでる、絶対この二人ゆめさんをいじって遊んでる…

何かゆめさんがどういうキャラなのかわかってきてしまった気がする。


「あの、二人共そろそろ止めてあげた方が……」

「そうだな……所で少女よ、名前は何だ?」

「あたしはレナヴァイス・ザネリ・ビヒモス、種族はベヒーモス。今度この学院に入る事になったの……貴方は?」

「これは驚いた……ビヒモスと言う事は王族か……私はコールティン・ハッカイヤー、種族はバグベア。この学院の高等科一年だ……それで君は?」

「あ、ああ……俺は風見翔、種族は一応人間だ。宜しく」

「人間!?ほえ~……これは珍しい……あれ?人間に角なんて生えてたっけ?」

「ああ、俺は特殊なんだ、気にしないでくれ」

「そうなんだ……ってカザミショウって事はゆめと同じ大陸の出身か?」

「ああ済まない、俺は自分がどこの大陸出身なのか分からないんだ」

「そうなのか……ってゆめ~そんな所でうずくまってないでこっちこ~い」

「ひうぅぅぅ……」

「お~よしよし、さっきはいぢめて悪かったな~」

「うぅぅ……もう止めてくださいね……」

「それは出来ない[ドーン!]」

「やっぱりですか……」

「いやいい加減ゆめも耐性付けろ……まあお前達とはウマが合いそうだ!どうだ?私の寮に来ないか?」

「あ、あの先輩、私二人の学院案内を……」

「それなら寮も学院の施設のひとつだろう?さあついて来い新入生諸君!」

「[ひょい]ひあぁぁぅぅぅ!?」


コールティンさんはゆめさんをひょいと軽々と持ち上げるとそのままもの凄い勢いで走りだした。


「おお!!早い!それじゃあたしも~」


[ドドドドドドドド……]


レナも便乗して砂煙をあげながら追いかけて行く、そしてあっという間に小さく……って置いてかれる!?


「え!?ちょ!………あ~!!!」


俺は身体強化をして急いで突っ走って行った二人を追って行った……

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