第四章 三話 ~夢か?夢なのか!?~
いつの間にか連載開始から一年という月日が流れていた……後投稿が一週間早ければ一周年きっかりだったのに!
まあ過ぎてしまった事を気にしてもしょうがない。来年こそは二周年きっかり投稿を目指すか……
続いてればだけど。
「久しぶりに来たなここ」
気がつくとそこは…………ホワイトルーム(仮)でした。
いやでもちょっと待て………黒いシミみたいなのの範囲広がってないか!?
しかも上空に赤い光の玉がフヨフヨ浮かんでるし……
………まさか俺がこの世界にくる度に匠の技(笑)でリフォームされているのか!?
(久シブリダナ……)
「おっ…どうも魔王さん、これは一体どうなってるんだ?」
後ろから声をかけられ振り返ってみると魔王さんが立っていた。
とりあえずこの空間がまた変わった事について訪ねた。
(黒イ空間ノ増大ハ貴様ノ魔王トシテノチカラガ増大シタ証拠……貴様ノ体ガ勝手ニ動イタ事ガアッタダロウ?ソノ時ニアノ空間ガ一気ニ広ガッタ)
「あの時か……所であれは一体何だったんだ?」
美雪を一気に倒したあの状態……知ってるのは魔王さんしか居ないだろうからな。
(アレハ魔王ノチカラノ暴走……自己防衛トイッタ方ガ正シイナ。後モウ少シアノ空間ガ広クナレバ制御スル事モ出来ルンダガ……詳シイ説明ハソノ時シヨウ)
「分かった……で、頭上にあるのは?」
俺は頭上にフヨフヨと浮かんでいる赤い球体を指さした。
(アレハ貴様ノ方ガ良ク知ッテイル筈ダ)
「……?」
良く知っている?…………誰?
(……アレハ美雪ガ貴様ニ渡シタチカラダ。……オ陰デ使エル技ガ若干増エタ)
「あれ美雪のか!」
そういや美雪の心の中から出ていく時貰ったな。
………そういやこれでどんな技使えるのか分かんねえ。
(使エルヨウニナッタノハ氷、雷、火、土属性ノ技ダ。コノチカラは人ノ状態デモツカエルゾ……ヨカッタナ)
「ああ……うん」
………人かぁ。そういやこの頃全然戻ってない気がする。
いやだってもうこっちの方が身体能力的にハイスペックなんだもん。使いにくいのと使いやすいのだったら断然……ねえ?
(何ヲ考エテイルノカハ知ラナイガ本題ニ入ルゾ。今回空間ガ広ガッタ事デマタ貴様ノ能力ヲ強化スル)
……おお、なんていうゲーム展開。また一段俺はチートに近づくのか。
「……で?何が使えるようになるんだ?」
(今回ノ能力強化ハ魔法弾トレーザーノ威力強化ダ)
この頃全く使ってないアレか……いやスカーレットスパークはたまに使うけど魔弾なんかもう使ってねぇよ。
ゼ○ダの伝説で例えると中盤にパチンコの弾の数増やされるって感じだ。
つまりは……
「………今更?」
強化する順番を前回と今回とで間違ってるんじゃないだろうか?
(ソウ言ウナ……威力ノ高イ技バカリダトバランスガ悪イダロウ?)
「……いやさっき威力上げるって言ってませんでしたっけ?」
(…………)
「いきなり黙るなそしてそっぽをむくなぁ!」
(オ……オヤ大変ダァ!?現実世界ノオ店ニ客ガ来テイルヨウダ!早ク夢カラ覚メネバ客ニ迷惑ガカカルナ!ソレデハサラバダッ!)
「おいちょっと待て絶対嘘だ[ズズズ…]ろぉぉぉぉぃ!?」
魔王に文句を言おうと詰め寄った瞬間空間に裂け目が出来俺はそのまま裂け目へと飲み込まれてしまった。
そして目の前が真っ暗に………
「…………[クイクイ]」
「んぁ!?」
服が引っ張られるような感覚と共に俺は目覚めた。
はっきりとした夢の空間に居たというのに頭がボーッとしている。実に不思議だ。
ぽやぽやした頭の中で自分の体制を見るとどうやらカウンター席に座った状態で机にのめり込むような体制をして眠ってしまっていたらしい。
……体の節々が痛いのはそのせいか。
[クイクイ]
「何だぁ……」
もう一度服を引っ張られるような感覚。
俺は引っ張っているのは何かを確認するため後ろを向いてみるとそこには……
「………」
「………」
茶色い髪の少女だった。背はレナより少し低いぐらいで猫か犬かは分からないが獣耳が生えている。それに背中には沢山の尻尾、自分自身を覆ってしまえそうだ。
……あの尻尾をもふもふしたら気持ちいいだろうなぁ~~
「あ、あのぉ……」
「ん?」
いまだぽやぽやとした顔で目の前にいる少女を眺めていると少女がおずおずと口を開いた。
「……ご飯、食べに来ました」
「………ん?」
俺は窓の方を見てみた。
………うん、朝日が気持ちいいね!レストランの営業時間外だ!
……俺、看板を出しっぱなしだったのか?迂闊だった……
仕方無い、この子には今は営業時間外だと言ってお引き取り願うとしよう。
「住まないけど…[ガクッ]」
「!?」
「今は営業時間外だからやっていない」と言おうとした瞬間再び俺の意識が飛んだ。
「おいおい何でカムバックしなきゃならないんだオイィィィィィィィィ!」
再びホワイトルームに呼び戻された俺は力の限り叫んだ。
「済まないな翔、私が彼に頼んでここに呼んで貰った」
「!? この声はっ……!」
俺は声がした方向を向くと人影がゆっくりとこちらへと近寄ってきた。
間違いない、あの姿は………
「久しぶりだな翔!元気にしてたか!?」
「………父さん、何でここに?」
風見久信……俺の父親その人だった。
「ああ、最初に言っておくが俺は“本物”の父親では無い。お前の心の中にある父親の記憶だ」
「あ……そう……」
「さて……今回どうしてもお前に言いたい事があってここに呼んだ……それはな……」
父親もどきは俺の目の前まで来るとずいっと顔を近づけ肩を掴んだ。そして……
「貴様ああいう可愛い子が来たら先ずは優しく接してやるのが紳士だろうがぁぁぁぁぁ!」
ものすごい勢いで肩を揺さぶってきた。鬼気迫る顔が目の前にあるのがなお恐い。
「全く!お前は紳士の風上にも置けない奴だ!あんな可愛い子がいたら普通あんな冷静に分析するか!?無表情で、さも銅像でも見るような目つきで見るか!?生きてるんだぞ!?あれは生•き•て•る•ん•だ•ぞ翔!普通男だったら舐め回すように要所要所をじっくり見るのが普通だろうが!お前は枯れきった老木か!」
「父さん、それ紳士じゃ無い、変態だから」
鬼気迫る顔でとんでもなくアホな発言をする父親を軽くスルーする。
……どうして俺はこんな父親を持ってしまったのだろう。
「……翔、何でお前にはそんな女っ気が無いんだ……お前思春期だろう?部屋にこっそりエロゲとか沢山隠し持ってる年齢だろう!?どうしてこんな子に……」
確かにエロゲは部屋に隠してたな……父さんが。
「そりゃあ誰かさんがまだ俺の年齢が一桁の時から俺の目を気にせずエロゲやってそれを見かねた母さんがパソコン禁止令出した時俺のパソコンにインストールして俺がテレビ見てる横でイヤホンも無しに深夜までやってた誰かさんのお陰で嫌でも女性に対して平静になれるよ」
「あの時の事は本当に感謝している[キリッ]」
「………」
……毎回父さんと会話してて思うんだけどどうして母さんは父さんと離婚しないんだろう?
「……っと!話がそれてしまった……とにかく追い返すなんてとんでもない!ここで優しく朝食を作ってやってだな……フラグを……」
「立てる気無いから」
「何故だぁ!」
当たり前だろ、俺はロリコンじゃ無い。
「何故だ……行く先々で幼女と仲良くなっているお前なら彼女を必ずゲットしに行くものだと……」
「いや好きで仲良くなってる訳じゃないし……」
「翔!お前なんて事を!世界中のロリコンを敵に回す気か?」
……もうやだ父さんと話すの。
というかこの父さんって俺のイメージの産物だよな?
俺の父さんに対するイメージがどれ程のものか良く分かるな………
「とにかくだ!追い返すことは絶対に許さん!もし追い返そうするなら何回でも無理矢理にでも時間を巻き戻して一番良い対応をするまで「そんな対応で大丈夫か?」と永遠に聞き続けるぞ?」
「……分かったよ。追い返さなきゃいいんだろ追い返さなきゃ……」
「分かればいいんだ……それじゃあ目覚めようか」
そういって父さんはパチンと手を叩いた。
それと同時に閃光が放たれ目の前が真っ白になった。
再び意識が薄れる中俺はこう思った……
この空間から出る時のバリエーション豊富すぎだろ………と。
「……ハッ!」
「[ビクッ]ひうっ!」
何故か俺は目が覚めると同時に椅子から勢いよく立ち上がった。
……ほらあれだ。居眠りしてて突然起きた時にビクッとなるアレだ。
……それはともかく今の行動に驚いたのか先程の獣耳少女は怯えた目で俺を見ていた。
「あ~…驚かせてごめんね。食事作るから……ここで待っててくれ」
俺はビクビクしている少女になるべく優しく語りかけた。
「……[コクリ]」
少女はゆっくりと頷くと俺が寝ていた隣の椅子に座った。
………さて、めんどくさいけど朝食作りといくか。