四月十二日 成果
「はぁ……」
桜もほとんど散って気温が高くなって来たこの頃。花粉のせいでくしゃみが止まらんし鼻詰まりもしんどいし大変よ。
「なんやお前が溜息吐くなんか珍しいな」
「なんや先生か。最近筋トレに飽きてきてなぁ」
「成果は出とるん?」
「やってみよか?」
地面に落ちてる小石をデコピンで弾き飛ばした。
「あ〜あ。また面倒くさいことを」
「アイツら最近風紀乱しとるから部活停止や」
音速を超えて飛んだ小石は陸上部の部室に当たり、ものすごい爆発音と共に部室が粉々に消え去った。
「やり過ぎやろ。アイツらが何したって言うんや」
「陸上部にマネージャー居ったやろ? その子が性的な嫌がらせ受けとるって相談あったんよ」
「そっか。じゃあ俺も」
地面に落ちてる小石を先生に渡すと、さっきの要領で飛ばした。小石から放たれるソニックウェーブが陸上部の男どもを吹き飛ばして、同じところに着弾した。
「ナイスショット」
「やろ?」
「ところで、それを本気でやったらどうなるんや?」
「う〜ん……地球滅ぶのが年末やなくて今日になる」
「そっか。俺も成果出たで」
「おう、どんなん?」
「具現化と消去」
両手を広げて大きく息を吸った。その瞬間に現れた二種類の光を放つ球体。右手には真っ黒な禍々しい光を放つ球体。左手には真っ白な神々しい光を放つ球体。
「生命から無機物、この世に存在しない物まで」
「じゃあ隕石消せるやん」
「消せるけどあえて増やした」
「なんでやねん」
「上層部の慌てる顔見て大爆笑したいから」
「めっちゃおもろそうやん」
二人して腹抱えて笑った。それはもう地面を転げ回るくらいに。
「十日ほど引きこもってた甲斐があったで」
「わしも十日ほど本気出した甲斐があったで」
「来月辺りに消してやるか」
「せやな。やっと普通の生活に戻れるな」