4月2日 それが
「…………」
忘れてねえよ。隕石降って来ること。ただ、隕石が降って来ようが来まいが、わしらは何も変わらん一日を暮す。それは明日も明後日も変わらん。
「………」
何も変わらん。わしが死ぬ気で筋トレしてるのも、先生が意識朦朧で何かを研究してるのも。ただ、わしらがやりたくてやってるだけや。
何も変わらず明日を生きるのは、わしらに限った話じゃ無い。みんな今日という日、明日という一日を何も変わらず生きていく。
そんな生活を守ってやるのがわしらの仕事や。
「っし……」
大丈夫だって笑顔で言ってやれる。何でって? わしやから。わしが今日を生きるなら他のみんなも生きていて当然や。
「わしが大丈夫って言ってやらな」
笑顔が好きや。幸せそうな笑顔が。好きなものを守りたくなるのは当たり前の話。簡単や。何も難しく無い。
「おう」
「なんや、筋トレサボっとんけ」
「アホ言うな」
桜もかなり散って来た。これから暑くなって行くんやろうな。
気怠そうにベンチに座る先生。かなり疲れも溜まっとるんやろうけど、それを人に見せへん為に気怠そうにしとるんや。
「なんや?」
「いいや? 先生もご苦労やな」
「……俺はいつも通りや」
「あっそ」
気付かれてないフリが下手くそや。頭はええはずやのにそう言うところが不器用なんよな。