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秋恋物語

作者: ☆いちごミルク☆

なぜ言わなかったのだろう。いつでも言えるだなんて誰が決めた?明日また会えると誰が決めた?



【秋恋物語】


僕には好きな人がいる、僕のことを好きな人がいる。

両思いのはずなのに告白が出来ずにいた。


そんな僕達にもバレタインの季節が来た。


「愛する彼女からチョコはありましたか〜?翔太く〜ん?」

「くそリア充め爆発しろ」

「彼女じゃない!!お前は睨むな!!」

「え〜早く告れよっ」

「爆発しろ」

「…っそんなのわかってるよ……お前は睨むなって!!!」




今日も僕達は一緒に帰っていた。


「ねぇ翔太!」

「…ん?何?」

「えっと…これ!よかったら食べて!!」

「え?あっ…その…ありがとう」

「うん!どういたしまして!!」

「ねぇ!楓!」

「うん?」

「っ……なんでも、ない。」


今日もまた僕は「好き」の2文字が言えなかった。

明日言えばいい、ホワイトデーでいい……




そう思ってた。




「…ん?揺れてる?」

揺れた気がして夜中に目を覚ました。

「気のせ・・・」

気のせいだと思った時だった…


ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ


「えっ?ちょっ…!!」

僕はベッドから落ちた。揺れている。

リビングに行こう…そう思って立ち上がると揺れが酷くなり僕は立ち上がれなくなった。


ガタン!!


本棚が倒れた。本が散乱する。

「翔太!?大丈夫!?翔太!?」

下から声がする。

「…大丈夫!!」

大丈夫じゃなかった。足が本の下敷きになっていた。


それから地震は酷くなっていった。

僕達の住んでいる地域は海側で、すぐに津波が来た。


なんとか家の屋根へ登ると両親がいた。家が流されていく。



数日たち僕達は助かった。

体育館に着くとそこにはもう既に山ほど人がいた。




どこを探しても楓はいなかった。




更に1ヶ月がたち、授業が再開された。

教室には半分ほどの生徒しかいなかった。

その代わり、机の上には花瓶が置いてある。


楓の机の上にも花瓶が置いてあった。


「…嘘…だろ?楓が?」


脳で理解はできていないのに涙が溢れてくる。


あの日一緒に帰っていた楓が?

あんだけ笑ってた楓が?

僕の大好きな楓が?


楓の机の上の花瓶が真実を物語っている。


言えばよかった。

どうして明日があると思った?いつでも会えると思った?

後悔してもしきれない。

たった2文字に理由をつけて僕は遠回しにしていた。


ついこの前まで夏だった窓の景色が秋に変わっている。







オレンジ色の楓が綺麗に落ちた。



【終】







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