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Hell history ~ヘルヘイム~  作者: 天馬光
女神堕天
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覚醒

 少し重ためですが、読んで下さると幸いです。

 が、魔族の言葉と殺気が、ヘルの中で眠っていたそれを覚醒させ、この危機的状況を救うこととなった。

 ヘルは先程までビクともしなかったグレイプニルを、いとも簡単に粉々に引きちぎり、魔族の槍を左手で掴んで止めた。

 周囲にいた全員が驚き、ざわめく中、ヘルは自分を殺そうとした魔族を見据えた。その目は、いつもの穏やかで優しい目ではなく、背筋も凍るような冷たい目であった。

 その形相に恐怖した魔族に、ヘルは、


「……『死ね』って、誰に言ってるの? 死ぬのは……あなたの方よ」

 と、冷たい言葉を浴びせ、右手の人差し指をデコピンの要領で伸ばした。

 すると、怯える魔族の上空から光のエネルギー波・ホーリーヘヴンスのチャージ3が放たれ、塵一つ残らず消滅した。


 本来、天国の三大奥義の1つであるヘヴンスは、腕をクロスさせてから放つという独特のモーションの都合上、見切られる危険性がある上、腕が2の倍数で増えない限り、基本、連射できない技である。

 だがヘルの場合、ヘヴンスを放つイメージを頭でしながら、指や腕、手や足を動かすことで放つことができるので、ノーモーション&ノーチャージで放つことができる。

 しかも、指1本でできる彼女は、指の本数や、手足の動かし方次第で……もうお分かりだろう。


「ふふっ、次はあなた達の番。1人残さず殺してあげる……インフィニティヘヴンス」

 ヘルはそう言って、舞うように手足や指を動かしながら、数え切れないほどのヘヴンスを辺り一帯に乱射し、その場にいた天使と魔族を皆殺しにした。


 普段のヘルなら、こんな残虐な行為は絶対にしないし、事情があってしなければならなかったとしても、間違いなく後悔するのだが、殺気によって殺戮衝動に目覚め、まるで別人と化した彼女は、嬉々としてそれをやってのけた。

 そこには反省や後悔といった感情は一切無く、むしろ、殺戮を楽しんでさえいた。


 そんな彼女のところに、仲間の全滅を知った天使と魔族が、仇を討つためにヘルの前に現れた。


「これほどとは……ヘル! 貴様よくも!」


「先に危害を加えてきたのは、向こうよ。それに、私は最初っから本当の事しか言ってないのに、あの人達は聞く耳を持たずに私を逆賊として捕らえようとした。そんなのおかしいでしょ? だから、私は悪くない。悪いのはあなた達よ」


「だからといって、殺す必要は無いだろう! お前は自らの手で罪を作ったんだ! 同族殺しという大罪を。総員、彼らの仇をとれ! あの子はもう、俺達の知る彼女じゃない!」

 隊長格らしき1人の天使がそう言うと、天使達は一斉に攻撃態勢をとった。

 天国の三大奥義のあと2つは、光がこもった音波を放つボイスと、信じる気持ちを光の力に変えて自身を中心とした球状広範囲エネルギー波・ビリーヴです。

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