羅王の一族の役割
少し重ためですが、読んで下さると幸いです。
だが、彼女にはかけがえのない宝がもう1つあった。それは、これまで彼女を支え続けてきてくれた羅王である。
「羅王君、あなたもありがとう。あなたがいなかったら、私は……」
「そんな。僕なんか……」
謙遜する羅王に、ヘルは首を横に振り、
「こうやって幸せに生きれたのは、あなたのおかげ。本当にありがとう」
と、言って頭を深々と下げた。彼にはそれほど感謝してもしきれないのである。
それだけに、ヘルには心からの願いがあった。
「だから羅王君には、いえ、羅王君の一族にはこれから先も生きていてほしい。あなたの血筋が途絶えることは、私にとっても、今後の魔界にとっても大きな損失だから」
非力な魔王である自分にはふさわしくない壮大な言葉に羅王は疑問を抱く。そんな彼にヘルは、その意味を説明した。
ヘルの見立てによれば、このままではいずれ階級制度は瓦解するらしい。当然である。元々無秩序な戦闘民族を、秩序で抑圧しているわけなのだから。それを防ぐためには、ある程度のストレスのはけ口が必要となる。
そこで関わってくるのが羅王の一族に伝わる言い伝えだ。『地上の霊魂が、三途の川を渡って魔界にやってくる』その伝承が真実なら、地上にとってあの世はここで、渡ってくるのは間違いなく罪人の魂。
だとしたら、羅王の一族がすべき事は、今住んでる場所で、霊魂達を裁き、各層にいる魔族達のところに送って罰を受けさせる。そうすることで、魔族達は獄卒という仕事の中で、日頃の鬱憤を発散させることができるようになる。
ヘルの推測を聞いた羅王は、合点がいくと同時に、自身に課せられた役目にも気付いた。己の血と責務をその時が来るまで子孫達に繋いでいくという重責を。
「……多分その通りだと思います。魔族の暴動を未然に防ぐ裁判官、か……責任重大ですね」
「そうね。さすがに重すぎて戸惑っちゃうよね?」
「いえ。逆に良かったです。成すべき事がわかりましたから」
そう言う羅王の目は、既に真っ直ぐと未来を見据えていた。それを見たヘルは、いつもの羅王らしいなと思い、ほっとする。
「なら良かった。じゃあ、そんな羅王君に今までのお礼をしないとね」
そう言うとヘルは、今までの恩返しと今後の彼のためにとある物を贈った。
人間はよく誤解しますが、これまで天国に行った人間は、キリストも仏も含めて、誰一人としていません。
人は数えきれないほどの罪を犯しており、死ねば基本、転生するか地獄か無の世界に行くかのどれかです。
故に、人にとっての極楽は煉獄で、人のあの世は地獄です。




