第零次天地獄戦争
少し重ためですが、読んで下さると幸いです。
遥か昔、初代神様が世界を多様化させるために発動した儀式・ビッグバンによって、我々が生きている世界が誕生し、あらゆる物質や天候が創造された。
神様はそれを見届けると、自身を守護し、世界をより良いものにするための存在として神や天使を。
生命進化のための必要悪と闇を司る存在として魔族を生み出し、彼らの住処である魔界も作られた。
が、当然、そんな魔族達が、光を司る天国の者達と相容れるはずなどなく、今から約46億年前の界暦94億年頃、初代大魔神・デモゴルゴン率いる魔族の軍勢が領地拡大のために地上世界に侵攻。
それを知った初代神様の妻・ヘラは地上を統治し、魔界の侵攻を防ぐために天国に住まう者達を率いて、デモゴルゴンらと武力衝突した。
かくして、天国と魔界はできたばかりの地上を舞台に、第零次天地獄戦争を始めた。
戦いは長期化し、両陣営共にいたずらに戦死者を増やすことになったが、初代神様は終戦させるだけの力を持っているにもかかわらず、中立を貫いた。妻を止めれなかったことに対する自責の念と、この戦自体が絶対運命だと悟っていたからである。
そんな血で血を洗う戦争も末期に入った頃、ある少女が混沌とした戦場に駆り出されることになった。
少女の名はヘル。破壊神ロキを父にもち、兄達と共に徴兵された15歳の大人しい少女である。
彼女は、若い天使達を育成する天使養成学校を首席で卒業した才女であり、人当たりも良かった。そんな実力も人望もあった彼女が出世しないわけがなく、卒業して間もなく、ヘルは2人の兄よりも先にわずか12歳で黄昏の女神に任命された。
これは初代神様を除けば、史上最年少という快挙であり、この記録はいまだに破られていない。
言うまでもなく、ヘルに対する周囲の期待は高く、誰もが父を超える逸材になるだろうと確信していた。
そんな彼女の人生を変えるきっかけとなったのは、女神になって3年が経ち、仕事に慣れてきた頃に下された軍神・オーディンからの出征命令であった。
元来、争いを嫌う性格だったヘルは当初、戦争に加わることを拒んでいたが、父や長兄・フェンリルに猛反対され、泣く泣く従うことになった。
この時、2人が反対していなければ、あるいは、もう1人の兄であるヨルムンガンドが傍観していなければ、もっと別の運命があったかもしれない…………。
文字数等の都合上、セリフが一切ありませんでした。読みづらかったらごめんなさい。