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終わりが始まり
「お嬢様!お逃げください!」
緊張感のある声で、他の3人のボディーガードとともに『お嬢様』と呼ばれた女の子が道なりに路地を走っていく。
そして今、男は殿を任された。
「一人たりともこの先には行かせない!」
そう言い放った後、男は凶器を持った集団の中に入っていった。
男は戦った。銃弾が体に当たろうとも、刃が体を切り裂こうとも。
ひたすらに眼に映るものの額を銃で打ち抜き、体に刀を突き刺した。
しかし、その男も一人の人間なわけで、限界を迎えた。
段々と動きも鈍くなり、刀が肩を抉り、鮮血が飛び散った。
最後には立つ気力も無くし、地面に這いつくばった。
(俺の人生もここで終わりか......)
必死に努力し、本当に守りたいものも見つけたが、もう終わりだ。
しかし後悔はしていない。なぜなら、最後の最後まで、『お嬢様』のために戦えたのだから。
男は目を閉じ、深い眠りについた。
しかし、再び目を開け、その男が見たものは、天国でも、地獄でもない。
そこは異世界、しかもそこは、魔王が治める国の城下町だった。