かわいい、いとこ10
目が覚めたのはあのパーティーから3日後だった。
手はいのりと繋がれていた。
明け方で眠いにも関わらず、いのりは俺が起きたことを手の振動で感じとったのか、いのりが目を覚ました。
それから泣き出してしまったけど、俺はいのりが側にいてくれたことが嬉しくてずっと笑っていた。
それから、ナースコールで目が覚めたことを告げると父さんや母さん、お祖父様、奏留、満留、優真おじさん、朱里おばさんがやって来て、ちょっと部屋が狭く感じたけど、心配してくれたんだなと嬉しくなった。
心配かけたことを謝るとお祖父様は「本当だ!バカもん!好いた女に心配かけるもんじゃないだろうに、まったく!守った上で自分の身も守ってみせろ‼」と怒られてしまったことには苦笑いしかできなかった。
起きてから聞いた話ではあの女は精神病院に入れられたようだった。
捕まったあと、警察の事情聴取でまともな受け答えができず、空を見上げ「静留様?どうしたんですか?」や「静留様は一緒にいてくださいますものね?」など話しているらしい。
それを聞いたときは寒気が止まらなかった。
俺が刺されて倒れたあと、いのりが少しパニックに陥ったと聞いたときはお祖父様の言った通り、自分の身も守らないといけないなと思った。
朱里おばさんが言うには俺が運ばれて行くのに混乱して泣き出してしまったけど、俺がいる病院に来て、俺を見たときには泣き止んだらしい。
それからいのりは俺から離れられなくなってしまったようで、5分位姿が見えないと少しパニックになってしまい、過呼吸を起こしてしまう。
それをを俺は不謹慎だなと思いながらも少し喜んでしまったのはしょうがないと思う。
だって、俺がいると嬉しそうに笑い、少し離れただけで子供のように寂しそうな顔になるんだから。
面倒と思うよりは、可愛いと思ってしまった。
俺から離れられなくなったことで仕事をやめるしかなくなったいのりは申し訳なさそうにしていたけど、お祖父様は喜んで豊橋に在籍させてしまった。
それに婚約はしたけど別々に暮らさなきゃなと思っていた俺はこのことでいのりと一緒に暮らせるようになれたのはとてもいいこ誤算だった。
そうして俺は事件の後遺症もなく、2年をいのりと過ごし結婚する。




