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第5話:守銭奴勇者の初クエスト

「冒険者ギルドへようこそ」


 勇者とティンクは、冒険者ギルドに訪れていた。


「最強の仲間を集めたいんだが、どうしたらいいんだ?」


「ギルド登録はお済でしょうか?」


「いや、初めてだ」


「では、まず冒険者ギルドに登録していただいて、それから募集をかけることとなりますね」


「あい分かった。では登録を頼む」


 ではこちらに必要事項をお書きくださいと、登録書を手渡された。


「なぁ、ティンク。残念ながらこの国の言葉は話せるようだが、字は書けないようだ。ティンク書けるか?」


「はい、了解しました。登録自体は簡単のようですね。お名前・職業・年齢・現住所を書くだけです」


「そうか、では名前はタケル。職業勇者。27歳。住所は癒しの宿マァムだな」


「わかりました」


 サラサラっと書き終えた登録書をギルドの受付に手渡す。


「はい、ありがとうございます。タケル様ですね…職業ゆ、勇者!?ぷ、ぷぷぷ、…ああ、ん、んんコホンコホン。し、失礼いたしました…勇者様ですね」


「今、笑いましたよね?なにかおかしかったですか?」


「い、いえそのようなことはございません。…はい、では最後にこの水晶に手をかざして下さい」


 勇者がその水晶に手をかざすと、巨大な水晶が、ボオンっと青く光り、冒険者登録証なるものが出てきた。



****** 冒険者登録証 *******


名前      タケル


年齢      27


職業      勇者


属性      光 


スキル     なし


ランク     F


称号    駆け出し冒険者

****************************


「…属性は光なのか。で、このランクFってのはなんなんだ?」


「はい、登録したばかりの冒険者は、まずFランクから始まります。

 Fランクの冒険者は、Fランクまでの仲間しか募集することができません」


「ほう…、でランクを上げるにはどうすりゃいいんだ?」


「はい、ギルドに寄せられる様々な依頼を受け、完了すると、その依頼に応じたランクになります。

 例えば、Aランクの依頼を完了させれば、一気にAランクとなります。

 依頼は、あちらのボードに貼ってありますのでご覧ください。

 ギルドでは、1ランク上までの依頼を推奨しております。くれぐれもお気をつけください」


「サンキュー」


 勇者とティンクは早速、依頼ボードを覗いてみる。


「Aランクの上にSランクっつうのがあんのか…。ティンクまずはSランクから読み上げてくれ。ダイジェストで頼む」


「は、はい、分かりました。Sランクは…」


 ・魔王領 飛竜の森 ワイバーン討伐 報酬:金貨30枚

 ・魔王領 サドムの村 魔王軍からの奪還 報酬:金貨50枚

 ・不死鳥 火の鳥の生け捕り(死体不可) 報酬:金貨50枚 

 ・世界樹の葉採取(依頼主:トルメキア国王) 報酬:金貨50枚

 

「「えっ?」」


「世界樹の葉だと!?なんて簡単なんだ…」


「いえ、勇者様。世界樹は我々妖精が守っておりますので、その姿を見れる人間はおそらくいないのです」


「そうなのか…」


 勇者はものすごい勢いで、受付に走っていた。


「おい姉ちゃん。依頼に世界樹の葉の採取ってあんだけどよ」


「はい。トルメキア国王じきじきのご依頼となります。真相は分かりかねますが、王族に病に倒れた方がいるのやもしれません」


「いや、その世界樹の葉持ってんのよ。これでSランクになれるのか?」


「………はぁ、そうですね本物に限るのですが」


 ほれっと、大量の世界樹の葉が入った袋の中を見せる。


「これが、世界樹の葉ですと?」


「そうだ。正真正銘世界樹の葉だ。昨日摘んだばかりの新鮮フレッシュだ」


「………分かりました。このご依頼は、直接トルメキア国王に世界樹の葉を届けることが条件となっております。

 無事に本物をお届けできましたら、大臣に完了通知を貰い、クエスト完了となります」


「あい分かった。トルメキア国王に渡せばいいんだな」


「はい、おっしゃる通りです」


 なーんだ、簡単じゃん!っと思った瞬間、勇者とティンクはあることを思い出した!


「「アルベルト!!」」


 神様どうか、1枚も売れてませんように、と切に願う勇者だった…

 

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