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始まりの日

2044年 ?月?日 旧地下鉄にて


「ハァ・・・ハァ・・・!」


少年は無限に広がる闇の中をひたすら走り続けていた。


「誰かっ!誰か助けて!!」


後ろの方から乾いた銃声と甲高い女性の悲鳴が聞こえてくる。


そして、奴らの呻く声も・・・


使われなくなり、人の出入りが無くなったトンネル内には塵や砂塵が溜まり、それらが空気中に舞い散ると息をするのも困難になる。

青年は余りの苦しさに顔を歪めた。しかし、足を止めている余裕は無い。

少年はそれらを吸わないように自分の口を覆いながら、がむしゃらに進んだ。


「うわっ!」


少年は線路内に転がった何かに足を取られ、その場に倒れこんだ。腰につけていた小型ライトを点灯させると、周りには無数の大きな瓦礫が転がっていた。

そして目の前の道は天井が崩落し、線路が潰れている。


「逃げなきゃ・・・」


少年は足を引きずりながら道を閉ざす瓦礫の山に登り、小さな手で瓦礫をどかし始めた。少年一人の力ではもはやどうすることもできないが、それでも少年は手を動かし続ける。


助かるかもしれない、という淡い夢を抱きながら。


地を這うような低いうめき声がだんだんと近づいてくる。


「助けて・・・」


少年は声にならない声で必死に祈りながら瓦礫をどかす。


「・・・やった!」


小さな石をどかし瓦礫と瓦礫の間のほんの小さな隙間を見つけ、少年は思わず喜びの声を上げた。

これで助かる!

少年がそう思った刹那、瓦礫の山の僅かな均衡関係が崩れ、山は音を立てて崩壊した。巨大な破片が、まるで時の流れが遅くなったかのようにゆっくりと少年目がけて降り注ぐ。


「え・・・」


少年が最後に見たのは、あまりにも無慈悲な世界だった。


2024年 5月15日 旧地下鉄にて


「噂は本当だったか。・・・ひどいな・・・」


線路に転がる無数の死体を見ながらそう呟いた。

死体にライトの光を当てると体中に蛆虫が湧いており、見るに堪えない悲惨な状況だった。

上から死体を見下ろす人間はフェイスマスクをし、ゴーグルで目を隠しているので表情はわからないが、長い髪の毛を見る限りおそらく女だろう。

体全体も長いマントのようなもので覆っており、見る者に不気味な印象を与える。


「おい!こっちに来てくれ!トンネルの奥だ!」


無線から野太い男の声が聞こえてきた。

女は線路に飛び降りると急いでトンネルの奥に向かう。

薄暗く、慣れているとはいえ、あまりの埃っぽさに嫌気がさす。

トンネルの奥から光が見えた。その光源の隣で男が必死に手招きをしている。

男の格好もこの女と同じく、顔と体を隠している。


「なんだよ?」


「こいつを見てくれ!瓦礫の隙間に倒れてたんだ!まだ生きてるぞ!」


男は少年の頭を膝で抱え、水を飲ませている。


「ちょっと見せて見ろ」


女は男を無造作にどかすと、少年の首筋に手を当てて脈を調べた。微かだが脈の波打つ音が伝わった。男の言う通り少年はまだ生きている。


「まあ任せとけ」


ただ一言そう言うと、女は自分のマントをめくり腰のホルスターから黒い光を放つ拳銃を抜き、その銃口を少年の頭に突き付けた。


「止めろ!こいつは感染してない!顔に緑色の斑点もないだろ?」


「そんなわけあるか!こいつはパラサイトだろ」


「とにかく連れて帰ろう。このままじゃ危険だ」


男はそう言うと少年を肩に担ぎ上げた。

女も渋々銃をしまい、2人はホームに向かい引き返し始めた。


「なぁ、私がここのキャンプが壊滅したって聞いたのは一週間前だ。ってことはここは最低でも二週間前ぐらいに奴ら、パラサイトに襲われてたってことだろ?それなのに生きてる。おまけに感染もしてない。このガキは・・・」


「俺にもわからない。この少年は一体どうやって生き延びたんだ・・・?」


初投稿となります。至らない点が非情に多いですが読んでいただけたら幸いです

宜しくお願いいたします



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