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ライ、雷、来!  作者: ごぼてん
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第3話「ボーイミーツボーイ」



 ドラゴンの子を奪還すべく、王の直命により結成された3人の旅立ちの日。要するにライとシルクが出会った翌朝。

 陽もまだ昇りきらないうちのケイアン王国の北門出口。そこで、ライは壁にもたれながら静かに残りの二人が来るのを待っていた。

 黒の上下服と旅用のマント、背嚢(荷物入れみたいなもの)を背負ったまま、目を閉じて腕を組んでいる。


 パッと見てなんとなしの光景。実際、時折ライの傍を通り過ぎていく人々はライには目もくれずに通っていく。

 全くもって違和感を覚えないライの姿。景色にも溶け込み、ただひっそりと待ち続ける彼。に見えるかもしれないが、実際のところ彼の内心はそう穏やかなものではなかったりする。


 ――ああ、うまくやっていけるかな。


 ちらりと空を見上げて、僅かに不安そうな顔を覗かせた。

 何のてがかりもなしにドラゴンの子供を奪還する、ということに不安を覚えているわけではない。親ダークドラゴンからは協力してもらえる手はずはついているし、ドラゴンの子という危険な存在をやりとりすることのできる場所に関しても大体の目星はついている。


 だから問題はこれからの任務のことじゃない。問題なのは――


 ――シルクに、あとロイド・ブレイズ……だっけ。あの二人どっちも王族の血縁関係者だもんな。


 考えただけで嫌になるらしく、元々景気のよくない表情をさらに陰鬱にさせてから「はぁ」とため息を一つ。

 そう、問題はこれから一緒にやっていく残りの二人との身分差である。


 国の中でも最高クラスの身分のシルクとロイドに対し、ライは逆に国中で最高クラスに底辺である身分の人間なのだ。シルクに至っては第二王女であり、最高クラスどころか実際に最高の身分という、考えただけでも恐ろしくなるほどの身分差だったりする。


 ――実力はあるみたいだけど……言うこときいてくれないだろうし。というかこれならまだ一人で当たったほうが気楽だ、ほんとに。


『第一王女はルクセント王の前だとそうでもないけど、ルクセント王がいない時は身分低いやつらに対する偏見とか差別とかすごかったぞ』


 いつのことだったか、第一王女を狙う人間を暗殺する任務についていた四神隊の一人が呟いていた言葉だ。

 その時は王女なんてそんなもんじゃないか、と適当に返していたライだが、まさか王女とチームを組むことになるとは夢にも思っていなかった。


「はぁ」


 気付けばため息を漏らしている自分に気づき、その事実にすらため息を吐き出そうとして――


「――っ!」


 反射的に体をもたれさせていた壁を蹴り、5mほどの距離を稼いだ。

 直後、一瞬前までライがいたところになにかが落下した。凄まじい衝撃で、一瞬だけ大地が揺れ、まるで、落下してきたそれを隠すように砂塵が舞い上がった。


「敵!?」


 ――ドラゴン奪還に対する刺客……いや、漏れたにしては早すぎる、じゃあなんだ?


 徐々に晴れてきた砂塵から敵の姿を見極めようと、目を凝らしたところでわずかな声量の詠唱がライの耳に届いた。


「『貫き滅す光の射線――」

「くそ!」


 悪態をつきながらも後退して両手を前に突き出す。


「――レーザー・ライフル!』」

「『消失!』」


 同時に合わさった詠唱。

 小規模ながらも一直線に、しかも凄まじい速度で放たれたそれを、突き出した両手で受け止めきった。


「なに!?」


 砂塵の中から聞こえる狼狽の声が、まだ若い。


 ――俺と同い年付近か?


 そんなどうでもいい考えが脳裏をよぎるが今はそんなことを考えている場合ではない。ライのもつ実質の武器は近接オンリー、その拳のみだ。

 懐に入れていたオープンフィンガーグローブを装着しながらも疾走。敵はその間にも呪文を詠唱する。


「撃ち抜く連光『レーザー・バレット』」


 次々と高速度で放たれる光弾を丁寧にさけつつも徐々にその距離を縮めていく。


 5m。


 3m。


 ――入れる!


 絶対的な確信と共に、一気にその距離を潰そうとして「落ちる雷『ライトニング!』」

 大地を蹴りかけていた足の力を慌ててストップ、逆方向に大地を蹴ることによって後退した。その瞬間、天の如き高さから降り注いだ一筋の光が大地に直撃、轟音と共にその衝撃が空気を奮わせて新たな砂塵を呼び起こした。


「二人目かっ」


 相手の姿は砂塵の幕によってほとんど見えないため正確な位置を掴むことが出来ない。黒髪黒瞳で、魔法の素養を僅かにしか持たないライがもつ武器は拳のみ。唯一使えるただ一つの魔法も、攻撃という面からすれば遠距離だと全く意味を成さないものでしかない。


 ――強いな。


 正直な感想と共に、ライは小さく息を吐き出した。一直線で範囲は大きいとはいえないが超速度と凄まじい貫通力をもつレーザー系光魔法と、速度・威力・範囲といったあらゆる面で最強と謳われる雷系光魔法。

 一人だけでも十分に厄介なのに、それが二人。しかもコンビネーションもバッチリときている。


 ――さて、どう来る?


 相手の魔法攻撃をいつでも迎撃できるように足のスタンスを広げて待ち構える。このままこちらから動かなければ相手が勝手に攻撃をしてくるだろうというライの読みだ。


 が。


 まだ晴れそうにない砂塵の幕から、真っ白なローブで身を包み、頭を同じく白のフードで覆い、目から上を隠す白の仮面をしている男が突如としてその身を躍らせた。

 槍を構えた白の男の姿がライの目に映る。


 ――槍!?


 とても後衛では発揮できない速度で、一気に槍の射程範囲へ。繰り出されていた白の男の槍による刺突を、ライは慌てて防刃性に優れたフィンガーグローブで受け流す。だがもちろんその一撃だけで槍の攻撃が止まるわけもない。


 受け流された槍の穂先がくるりと半回転。槍の柄の部分がライの腹部めがけて走った。


「っち!」


 この一撃は入る。そう思われた瞬間のことだった。

 ライの目つきが鋭いそれに変化した。


「ふっ」


 短い息を吐き出して右わき腹に繰り出されたその一撃の軌道を左掌底でずらした。


「!?」


 軌道をそらされたにも関わらずほとんどその衝撃を感じなかった白の男はあまりに自然に空をきってしまったことに対してさすがに驚愕したのか、唇の端をゆがめた。

 ならば、と次の一撃を繰り出すために槍の柄をもどそうとする白の男。その動きにライはあわせた。


 武器を引くだけの動きと間合いを潰す動き。どうかんがえても前者の動きの方が小さく、素早いはずのだが、その当たり前はライには通じなかった。槍の柄が白の男の手元へと引かれるのと、ライが白の男の懐に潜り込んだのは正に同時。


 慌てて刺突を繰り出そうとする白の男の腕にそっと手を置き、そっと下方へと押し込んだ。

 たったそれだけのことにも関わらず、白の男のバランスが崩れた。倒れこみそうになったのをどうにかこらえる。


 白の男が一番理解できなかっただろう。痛いわけでも、衝撃をうけたわけでもない。まるでそうなることが当然だったかのように体が流された。

 ライのその一撃で地面にこけなかったのは素晴らしいが、ライにとってはその隙で十分。こらえることに成功した白の男の片足を払ってさらにバランスを崩し、それでもと苦し紛れに撃ちこまれた槍の一撃がライの頬を掠めるが、それをライは瞬き一つせずにやり過ごした。


 まるで意に介さず、掌を白の男の顔に押し付けて、一歩踏み込む。


「っ!」


 これで白の男の意識は刈り取られた。声も出さずに白の男が地面に倒れ、だがまだほっと息を抜いていい場面ではない。ライは意識を少しずつ晴れてきた砂塵の中に向ける。


「走る雷『ライトニング・レイ』」


 その砂塵の中から雷撃が走るが、近くに白の男がいるためか、威力も規模もさっきまでに比べたら小さめ。ちょうどライの両手に収まりきる大きさだ。


「『消失』!」


 声を張りあげ、その雷を両掌でうけとめた。


「え!?」


 もう一人の敵は驚きで身を硬直させた。また顔や格好などの細かい姿はわからないが、もはやおぼろげにならその姿は見えている。

 砂塵をつっきり、慌てて杖を構えなおそうとするその人へ向かって拳を突き出そうとして「あれ?」知っている顔に驚き、ライはその動きを止めた。





「いやぁ、僕とシルクより強い人間が、しかも同世代にいるなんて信じられなくてね!」


 そう言って、白で身を包んでいた男が快活に笑った。短い金髪で金瞳、柔和な笑みを浮かべ、いかにも爽やかそうな彼の名前はロイド・ブレイズ。ライとチームを組むことになっていた男。


「ほんとにごめんなさい!」


 最後になるまでその姿を確認できなかった雷使いの魔法使いが猛烈に頭を下げていた。その魔法使いの顔は既にライも知っている。シルク・ケイアン、ロイドと同様にライとチームを組むことになっていた少女だ。


「はぁ」


 ため息のような曖昧な返事のような、なんともいえない言葉で相槌を打つライに、シルクが再び「ごめんなさい!」と頭を下げる。

 そのことに驚きの表情をみせつつも「そんなに謝らなくてもいいけど」と答えるライにシルクは「ありがとう」と笑い、だがそれでは気がすまないのかロイドにも言葉を向ける。


「ほら、ロイドも笑ってないでちゃんと頭を下げて!」

「いやー、ほんとに僕よりも強い男がまだこの国にいたなんて驚きだね」


 促されたロイドはその言葉を聞いていないのか、ライの肩を叩きながらただ笑う。


「もう、ロイド!」

「ん、どうしたんだいシルク?」


 全くもって謝ろうとしないロイドに、シルクがふくれっ面を見せるが、その意味を理解できずにロイドは爽やかに笑う。


「全く。せっかく美人に育ってきたのに、そんな顔してたら台無しだぞ?」


 天然系女たらしが吐きそうな台詞だが、シルクはそういった台詞に慣れているのか大した反応も見せずにロイドを目で非難する。


「誰のせいよ、誰の」


 その言葉にロイドは肩をすくめ、柔和な笑みのままでライへと向き直った。


「いきなり君の実力を試すようなことをして悪かった。あくまでも都市伝説でしかないと思っていた四神隊の実力、はっきりと見せてもらったよ」

「あ、ああ」


 ライはシルクに頭を下げられたときと同じようにどこか驚いている表情をみせるが、やはりロイドも気付いていないのか、そのまま言葉を続ける。


「そういえば君も僕やシルクと同い年なんだったよな……となるとお互い遠慮はいらない、かな?」


 なにやらぶつぶつと呟いていたロイドが「うん」と呟いた。

「改めましてロイド・ブレイズ、17歳だ。ロイドと普通に呼んでくれたらいい。これからよろしく頼むよ!」


 そういって輝かんばかりの笑顔で手を差し出した。輝きすぎて歯が光るんじゃないかと思わせるほどの笑顔だ。


「?」


 何の手かわからずに首を傾げて考えること数秒。やっとわかったのか、慌てて反応した。


「ライ、同じく17歳だ。これから宜しく」


 そして、その手を握り返した。これで挨拶は終わりだろうか、と手を離そうとしたライだがその手が離れないことに気付く。


「?」


 やはり首を傾げて、ロイドの顔を見るが、ロイドの視線はすでに別の方向へと向いていた。つられて視線を向けるとそこでシルクとの視線ががっつりとぶつかった。


「私はシルク・ケイアン。二人と同じ17歳よ。一応王女だけど丁寧語とかいらないから私も普通に接してくれたら嬉しいかな。ともかく宜しくね?」


 そしてライとロイドの握手に自分の手を重ねた。


「……」

「……」

「……」


 そしてその場で停止。今度は何だ、と二人に顔を向けるライだったが二人の視線が自分へ向いていることに気付き、かすかに笑う。


 ――そういう、ことか。


 重ねられている手に僅かばかりの力を込めて、二人へと視線を送る。


「これから攫われたドラゴンの子供を奪還する。攫った首謀者に関してはこちらの国の商人が関わっていたことはすでに判明しているがわかっていることはそれだけ。ドラゴンの子供をさらって何をするつもりだったのか、それらもあわせて調べる必要がある。この事件は他国、特に同盟国や亜人国に漏れたら最悪戦争にすら発展しうる。迅速に解決しなければならない問題だ」

「……」

「……」


 渋い顔をするロイドとシルクに、ライは肩をすくめてみせた。


「犯罪に関わった商人たちはもうドラゴンに殺されていて詳しくは聞けないが、もう一頭のドラゴンがいる場所に関しては大体の目星を絞ってあるから一週間もかからずに解決できると思う」

「え」


 僅かに漏れ聞こえる二人の声はとりあえず無視。


「ただし、状況から考えてもランク5以上の冒険者がいてもおかしくない。一応俺がリーダーをとる以上、俺の指示には基本的に従ってもらいたい」


 ここの部分では二人とも頷いた。その反応に少しだけほっとした表情をみせつつも、不思議そうな顔に。


「?」

「?」


 首を傾げる二人に、ライがおずおずと切り出す。


「その……身分差は気にならないのか?」


 ロイドとシルクは金髪で金の瞳。つまりは王族の血筋だ。対してライはというと黒髪で黒の瞳で、それは貧民層であることを示している。

 ケイアン王国出身者にとって、身分差による差別は当たり前。貴族、王族は黒髪の人間など犯罪者の巣窟で、ごみのような人間しかいないと思っている。そのことに関して他国の人間からすればひどいと思う人間もいるかもしれないが、ケイアン王国出身者からすればそれが普通で当たり前のこと。


 寧ろ他国と違って奴隷という存在がいない分、平和で幸せな国に生きているという自信をもっている人間は貧民を含めても少なくない。

 身分差の差別意識が高いことはケイアン王国出身者にとっては当たり前のこと。それなのにこの二人はライに対して、最初の奇襲以外は普通に接している。むしろ頭を下げて謝罪をし、しかもライがリーダーを務めることに対しても口すら挟まない。そんな人間はライが知る限りでも数人しかいない。


 ――なんでだ?


 全くといって理解できない。

 そんなライの内心を汲み取ったのか、まずはシルクが口を開いた。


「だって私はルクセント王の娘よ?」


 どこか説得力があって説得力に欠ける言葉。

 たしかにルクセント王は身分差による差別を好まない数少ない人間だ。だが、王女というシルクを実質的に教育してきたのは王ではない。


『貴様がシルク様をさらったのか! この不届き者め!! 貧民のくせに――』


 10年以上も前、暴力とともにふるわれた言葉。おそらくはシルクの専属家庭教師だろうその人の言葉だし、実際にシルクの姉である第一王女に関しては身分意識が高い人間だったと四神隊のとある一員から教えられている。


 そんな、普通は差別意識をもつ環境で育ってきた人間がどうして差別意識をもたずに成長したのだろうか、ライにはそれがわからない。

 だが、わからないがそれに関してあまり深く追求することもできないので曖昧に頷く。


「あ、あんまり信じてないでしょー」


 不満そうに頬を膨らませるシルクに、ライは慌てて「あ、いや」とまごつく。そんなライの様子に、シルクは「でも」と首を横に振ってロイドに視線を送った。


「たしかに、本当はロイドの影響かも」

「ん、僕?」


 そうだっけ? と腕を組んで考え込むロイドに、ライが目で「そうなのか?」と問いかける。


「いや、僕はただ身分うんぬんよりもただ自分より強いかどうか。それだけしか意識してこなかったらなぁ……でもたしかに身分差については気にしなさ過ぎだと母上からはいつも叱られていた

っけ」

「実力主義というわけか」


 ケイアン王国というよりもギ武国の人間に多そうな考え方だな、と思いつつも違和感はない。


「そうか、なるほど」


 いとも簡単に納得したライの様子に、ロイドはまた朗らかに微笑む。


「だからさっきも奇襲をしてライの実力を確かめたんだが……あと、結果的にはライに僕やシルクの戦闘特徴もつかんでもらえたと思うし、丁度よかったとは思っているんだけど、どうだい?」


 それに関してはライも頷かざるをえないので「ああ、それはまあ、確かに」と同意する。


 前衛後衛どちらもこなせるロイドに、後衛のシルク。ライは前衛、というか近接型なのでパーティーとしてこの3人はバランスがいい。


「ふむ」


 ライは頷く。


「……というわけだけどライ君の疑問は解消された?」


 シルクがライの顔を覗きこむ。


「あ、ああ」


 いきなりの距離の近さにライはドギマギして慌てて頷いた。


 ――たしかにロイドのようなわかりやすい人間が側にいれば感化されるのも無理ないな。


 シルクの「ロイドに影響された」という台詞も、ライには頷ける言葉だ。


 ――よし。


 晴れやかな顔をして、ライはさらに口を開く。


「さて、俺からいいたいことはあと一つだ」


 まだ何かあるのか?


 いいたげなシルクとロイドの様子にライは構わず言葉を続ける。


「さっき二人に襲われてわかったことが一つだけある。それは――」


 ライが少しだけ意地悪な笑みになった。ロイドは「わかったこと?」と首をかしげ、シルクは申し訳なさそうに顔を伏せる。


「今ここに揃っている俺たちは恐ろしいほどに強い」

「「!」」

「だから、慎重にことを運べばそう難しい任務でもないだろう」


 言葉を区切り、二人の顔を順々に眺める。少しだけそうして、顔を伏せる。


「やるぞ!」


 言葉とともに、三人の繋がった手を一気に解放した。


「おぅ!」

「ええ!」


 ロイドとシルクが自信をもってそれに答えたのだった。





「そういえばさっきライが一週間かからないっていってたけど、今から他国に向かってたら数ヶ月ぐらいはかかると思ってるのは僕だけかい?」

「うーん、私もそう思うのよね」


 ひそひそと困惑の話をする二人に、ライがのんびりとした表情で言う。


「よし、これだけ都市から離れたら大丈夫だろう……あとはあいつに手伝ってもらおうか」

「あいつ??」


 誰のことだろう、そうシルクが聞く暇もない。ライは空を見上げて、懐から取り出したオカリナを吹き始めていた。


「……なにを?」


 ――しているんだ?


 ロイドがそういいかけて、彼らは止まった。


 ギギとまるで錆び付いたロボットのような動きで空を見上げる。そこにいたのただのドラゴンはあらじ。ドラゴンの中でも特に強靭とされるダークドラゴンだ。

 ピシリと固まってしまった二人には気付かずドラゴンと笑う。


「昨日いったとおり、今からお前の子供を返してもらいに行く……頼む」

「我ガ子を助ケル為ダ、イクラデモ力ヲ貸ソウ」


 ダークドラゴンの言葉に頷いてシルクとロイドに顔を向ける。


「さぁ、いこうか。こいつに乗せてもらったら目的になんかすぐ着くぞ……って……ん?」


 シルクとロイドが口をパクパクとさせ、ライとドラゴンを交互に指差して、それからやっと言葉を思い出した。


「「うそぉぉぉぉぉぉぉ~~~~!?」」


 大きな声が空に舞ったのだった。



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