‐1‐
多少不快になるような表現があるかもしれません。苦手な方は閲覧をお控えください。
更新はかなりゆっくりになると思います。
誰かが話してるの。毎日、毎晩話してるの。声はあたしの中で鳴いていて、いや、泣いていて、喚いて怒って怒鳴って笑っているの。あたしは耳を塞げなくて、声たちの主張をただただ聞いてるだけ。みんなね自分勝手で独り善がり。けれど言いたいことは一緒よね。決まってるじゃない、決まってんの。
(誰か殺して殴って絞めて切ってあたし死にたいのでも死にたくないのどうしようどうしようかなどうするの死にたいのに死ねないよねだって死にたくないもんあれ?死にたいんじゃないの?)
あたし昼間は元気。明るいうちは安らかで気持ちよく眠れて、何より死にたくない。あたしはあたしの周りの人を羨んだりしないし、あなたの幸せだって祝福とまではいかないけど、ま、いんじゃない?程度には思える。もしもし元気?あたしは元気当たり前じゃん!ばっかみたーい!
色が抜けて明るくなっていく毛先を指に巻き付けて、あたしの体は機械みたいに一定のリズムでスーハースーハー。鼻の頭から額あたりを指の腹で撫でてみると、べったり脂汗をかいていた。舌の裏に何か腫れた出来物が出来ている。痛い潰したい潰したい潰したい、あ潰れた。じわっと透明な汁が出て突起はポッカリ窪んだ。唇が乾燥してささくれ立っていて、それにあたしはわざと歯を立てて痛みを味わってみる。これ気持ちいいの痛くてヒリヒリ余計に荒れちゃうけど気持ちいいの。
(見てよ空が暗いの!怖い怖い怖い怖い怖い怖いいやだいやだいやだいやだいやだ夜は怖いの夜がくるのいやなの)
でも来ちゃうよ。一際強く噛んだ下唇はしょっぱい血の味がして、舌で舐めとると傷口から滲みてビリビリするの。あたしの肌は日に日に青白くなって、血管が浮き出る。薄い皮膚を挟んだ肉の中の血管がうねうね青ミミズみたいだって思った。あんなに可愛いあの娘もソーセージみたいな肉詰めが歩いてるだけみたいで、可笑しくてひゃ、ひゃ、って笑った。