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勇者と名乗る前に  作者: 空と色
9/11

おにーちゃん大好き!

ダンダンッという音がして、驚いて玄関へ向かうとカナンがいた。

「今日は玄関から来ちゃった~えへへ~。あがっていい?」

体をクネクネさせながらカナンは聞いてくるので俺は、まぁ、と頷くと、カナンは俺に抱きついてきた。

「えへへ~!!おにーちゃん大好き!!」

「それより、カナン、お前、仕事は?」

「いいの。そんなことよりカナンはぁ・・・・・・あれ?おにーちゃん甘い匂いがする・・・・・・。」

「ああ、タルト食ってたからな。」

「え~!!カナンも食べたいなぁ!」

「ん?ああ、リルが作ったやつ、食うか?」

「ん?リルって誰?」

「ああ、前カナンと張り合ってただろ。」

「う、牛!?」

俺の部屋を開けたと同時にリルとカナンがゲッという顔をした。

「・・・・・・一足遅かったか・・・・・・。」

「そうね、遅かったかな?ごめんね、あたしの方が先客なの。」

リルはカナンを相手に鼻で笑った。

「何をそんなに嫌ってるんだ?」

「わかんな~い、おにーちゃん、あの人怖いな~そばにいて?」

そう言いながらカナンは俺の手をぎゅっと握ってきた。

「ん?ああ、別に・・・・・・。」

いいけど、と言おうとした時、リルが俺の腕を摑んで巻きついてきた。

「よくないでしょ!アークはアタシと勉強があるでしょうが!」

う、このムニュムニュした感じは・・・・・・。

俺は、チラリと腕に視線をやった。

やっぱり胸だ!!

「ちょっと、アーク、聞いてるの?」

「勉強~?おにーちゃん、牛から何教わってるの?」

「う、牛言うな!!!このマセガキ!!」

「ん?今昔の復習を・・・・・・。」

「じゃ~カナンも一緒に勉強する~!」

カナンはそう言うと俺を見上げてきた。

「いいよね?」

「いいわけないでしょ、アンタに分かる範囲かわかんないのに。」

「牛はだまっててよぉ、大体カナンはB級クラスなの!ちょっと難しくたって大丈夫だもん!」

「あっそ、アタシは特別Aクラスだから、勝ったね。」

「うそだぁ!特Aって、超エリートなのに、こんなガサツな牛が入れるわけないよ!」

「し、失礼な!!アタシはそこまでガサツじゃないし!あんたにそれを言われる筋合いもないんだけど!?」

「おにーちゃん、これ、本当?」

低レベルな喧嘩を見ていたら、いきなりカナンにすがるような目で見られ、驚いた。

「え!?ああ、本当らしい。俺もつい最近知って驚いたよ。特別Aに行ってなくても実績はあるみたいだな。だから後輩にも教えてんのか・・・・・・なるほど、全部納得がいったよ。個人的に教えてるわけじゃなかったんだな!」

「個人的に教えてるのはアークぐらいだよ・・・・・・あ!これは、別にアークが特別とかじゃなくて、アークが頭が悪いからって意味だから、勘違いしないでよね!?」

「おまえ、かなり失礼だぞ。」

そんな俺とリルのやりとりを見て、カナンはふくれっ面になると、「別にカナンがいたっていいでしょ!予習だもん!」と言い張った。

「俺はいいけど。リル、お前はどうしてそこまでカナンを嫌ってるんだ?」

「アタシが嫌ってるんじゃなくて向こうが嫌ってるの!アタシは別に・・・・・・この子なんて敵じゃないもん。」

その台詞にカナンがピクリと反応した。

「へ~!?へ~!?カナン、モデルだよ~?大きくなったら牛よりきれいになるよ~?それでもそんな大口たたいてられるんだ~!?」

俺の間の前で二人がにらみ合い、火花が散っているのを感じた。

「とりあえず、落ち着け。そして座れ。」

俺がなだめると、カナンが俺の隣に座り、リルが俺の腕を離さないまま俺の肩に寄りかかるようにして座った。

うう、気持ちいいが、正直コレじゃ集中できん。

リルの谷間に俺の腕が思いっきり入ってんだよなぁ・・・・・・。

「ほら、アーク!はじめるよ!?教科書開きなさい!辞書も!新しい章に入るからね!?」

「あ、あぁ。」

俺が初心者用の本を出してくると、カナンが飛びついた。

「あ!そこ、カナンもやったよ!」

そう言いながら俺の胡坐あぐらの上に座り込んでくるので、思わず「うおっ!?」っと言ってしまった。

「ちょ、アークの邪魔でしょ!?どきなさい!」

「え~?おにーちゃん、カナン、邪魔?」

カナンが俺を見てきたときにチクリと服からとんがっているものが見えた。

ノーブラかよ!?まぁ確かにまだブラしなくてもわかんないだろうけど。

「んー、ちょっと重いかな。」

「ほら、早くどきなさい!」

「邪魔とは言われてないもん!」

「あー言えばこー言う!あんた、どういう教育受けてきたの!?」

一瞬カナンは黙り込んで、リルも正気に戻ったらしく、口を押さえた。

「・・・・・・牛に親のことは、関係ないでしょ!!」

「馬鹿らしい。言い合ってるだけ無駄だよね、はじめようか。アーク。」

そういいながら胸で俺の腕をサンドするのはやめてくれ・・・・・・と思ったが何も言わずに置いた。

しかし・・・・・・ページをめくるときや字を消すときは不自由だな・・・・・・。

「リル。」

「何?わかんないところでもあるの?」

「その、胸が、さっきっからあたってるんだが・・・・・・。」

「へ?ぁっ!や、変態!!」

リルは俺から離れたが、変態って・・・・・・そっちが押し付けてきたんじゃないか!

うわ~すげえ、両手の温度差が・・・・・・。

「俺は変態ではない。全く・・・・・・それより、ここってどういうことなんだ?」

「そこはね、そこはね!」

ここはとばかり出てきたカナンに邪魔され、散々振り回された。

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