表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

OH MY GOD

 大統領が次の議題を促そうとしたとき、

 NASA長官がタブレットを胸に抱えたまま、席を立った。


「……大統領、追加の重大報告があります」


 スクリーンに投影されたのは、先ほどよりさらに精密な天体データ。


「星図を解析し続けた結果、今いる宇宙には根本的な異常があります」


 国防長官が身を乗り出す。


「根本的、とは?」


「まず――恒星の直径が、不自然です。

 距離が地球基準の計算と一致しない。

 本来の大きさより異様に巨大に映ります」


 国務長官が戸惑った声を漏らす。


「天体が近いのではなく……巨大、なのか?」


「いいえ。重力レンズ効果も恒星風の増加も確認されていません。

 巨大なのに周囲への影響が少なすぎるのです」


 NASA長官は次のスライドを表示した。


 ――月の代わりに浮かぶ巨大な衛星。

 その直径は明らかに地球のものを超えていた。


「周回軌道上の衛星は、少なくとも地球の1.7倍の直径があります。

 しかし――地表の重力は地球と同じ 9.8m/s² のままです」


 科学技術政策局(OSTP)長官が思わず声を上げた。


「惑星規模が大きいのに重力が同じだと?

 では質量は?

 内部は空洞のように密度が低いのか?」


 NASA長官は、ここで初めて苦い表情を見せた。


「そこが問題です。

 内部構造は空洞ではありません。」


 全員が一瞬、息を呑んだ。


「地震波、重力異常、磁場線の走行を可能な限り解析しました。

 もし地球の質量より軽ければ、内部構造には空洞が必要になる。

 しかし――

 地震波は地球と同じように均質な層構造を示しています」


 国防長官が低く問う。


「……では、この惑星はどうやって重力を保っている?」


 NASA長官は、小さく首を振った。


「分かりません。

 内部密度は地球と同等以上に見えるのに、

 外形は明らかに地球より大きい。

 通常の万有引力の計算では成立しない構造です。」


 商務長官が乾いた声を吐く。


「……つまり、物理法則が違う?」


 NASA長官は静かに告げた。


「簡潔に言えば――

 私たちは物理法則が地球と異なる宇宙にいます。」


 会議室が凍りついた。


 NASA長官は続ける。


「この宇宙では、重力、質量、距離、光の振る舞いが

 地球の常識とは異なる数式で決まっている可能性が高い。

 つまり

 地球の物理学では説明不能な「別体系の宇宙」です。」


 国務長官が震える声で呟いた。


「……そんな宇宙で、文明が発達していたら?」


 NASA長官は画面に浮かぶ空中都市の影を指す。


「――あれがその答えです。

 この宇宙では浮遊都市も、

 物理的に不可能ではないのかもしれません。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ