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不思議な女性

 家の玄関のドアの鍵は開いていた。僕はそっとドアを開けると「誰かいませんか?」と声をかける。返事はない。僕は2,3度ドアの前を行ったり、来たりして、迷っていたが、えいや!と家の中に飛びこんだ。

 家は静まり返っている。あたりには、何か植物の花の良い香りがする。なんの花かは、僕にはわからないが、きっと花が大好きだったという母さんなら当てられるのだろうな、とふと思い出す。部屋には、ありきたりのものが置いてあったが、特に目新しいものは、何もなさそうな、ごくありふれた一軒家のようだった。だけれども、何か僕をひきつけるものがある、と僕は感じている。

 ふいに声が聞こえてきた。「2階にあがってきなよ。来客とは珍しいじゃないか」女性の声らしかった。

 僕は階段を見つけると、そのゆっくりとらせんにつながっている階段をぐるぐると回って、上り始めた。2階につくと若い女性が椅子に座って、机で書きものをしているようだった。

「それで?」女性は言う。僕は、なぜここに入ってきたのか、理由を説明しなければならないことに気づいた。「実は、泥棒に財布を盗まれて、追ってきたのですが、ここはどうやら違う場所のようですね」

 女性は巻き毛のロングの髪をかきあげると、僕に本格的に向き合った。

「私は泥棒なんてしないよ。でも、君のおかれている状況?それは、気の毒だと思う。しかし、なんで君は、泥棒を追って、人の家に不法侵入したんだい?君は犯罪者に被害にあっているかのようにいうが、今の君は、まったく犯罪者になっても、おかしくなかったんだよ。それに、君警備局にいただろう?何か、頼まれはしなかったかい?」

 僕は警備局で、あったことを正直に女性に話すと、若い女性は笑い声をあげた。

「なんて、正直な子供だろう。さあ!今日は宴会だ!こんな若い男の子。私の助手にしたい。そうだ!君、気に入ったよ。助手になってくれないかい?」

 僕は迷った。いろんな肩書が僕に重なってしまう。

「私の自己紹介が、まだだったね。大魔法使いルドミラという。こんな姿をしているけど、実際は300才をこえているよ。おっと、信じないようだね。まぁ、いいさ。いずれわかるだろう。とりあえず君は、もう私の助手だ。いいね?そうしなければ、君を警備局に引き渡す。どうだい?」

 僕は観念して、うなづいた。警備局のスパイと大魔法使いの助手。ふたつの肩書がついてしまった。

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