警備局にて
警備局は街の中心部にほど近いところにあった。緑色の大きな建物で、このあたりの王国の治安を維持しているところでもある。僕はそこで、受付のような人に案内されて、一室に通された。僕が部屋に入って、しばらくして、1人の中年の男が入ってきた。鼻は大きく、まるぶちの眼鏡をかけている。背は高く、警備局の制服(赤いジャケットと青いパンツ)を着ている。
「やあやあ、君。よく来てくれたね。大変な目にあったそうじゃないか。私の名前はビーン。警備局で、相談係をしているものだ。よろしく頼むよ。どんなことがあったのか、もう一度聞かせてくれないか?」
僕は今回の事件の経緯を話した。紙にメモをしていたビーンはまるぶちの眼鏡を指で2,3度持ち上げると、ニコッとかるく笑って、僕に話し始める。
「うん。君。それは、盗人のDだな。私たちの間でDという名前で呼ばれている盗賊だ。ひとりで行動することは、多いが、仲間もいるらしい。そうかぁ、君はどう感じたのかな?盗まれて」
僕は正直に今回の事件の感想を口にする。
「いや、なんていうか、鮮やかというか、僕も人を信用しすぎたのが、良くなかったと思います。ただ、今はお金を返してほしいと思います。ただ、お金はとても少ない額しか入ってませんでした。僕は怒りは感じていません。なんというか。うん。なんというか。何というんでしょう?僕は、ただ返してほしいだけです」
中年の男は不思議そうに僕を見ると、こう言った。
「そうか。なら、この事件はひとつ君に頼むとしようかな。聞くところによると、隣の街まで行くのに、お金がないそうじゃないか。君に仕事として、警備局の密偵をやってほしいんだ。子供だと相手も安心するだろうしね。油断も生まれるだろう。だから、隣の街まで行って、捕まえたり、情報が得られれば、その街の支部を頼ってくれていい。そうだ。お金はいくらか渡しておこう」
僕の返事を待つ前に半ば強引に中年の男は、僕に袋を渡す。袋の中には、金貨が入っているようだった。僕は、なんとも言えずに、受け取り、外に出ていくことになった。
僕が街中を歩いて、街の外へ向かおうとしていると、なんとあの盗人ドーナウンがいた。
「あ!!待て!」
追いかけるが、相手も足が早い。気づけば、とても奇妙な造りの家にたどり着いていた。