第14話
火花を散らすまでもなくお互いに魔術を撃ち合った。
「反重力」
「操偶の祟」
ゼロは宙に浮くことはなく、グラスは吹っ飛ばされていた。グラスは腹部に一撃を貰い立てなくなっていた。
「グラスこんなもんかお前は、弱い癖に言うことだけはデカイなんてな恥を知れ。」
「闇魔術 運命の矢」
刹那、グラスは飛び出して剣を構えた。
「見様見真似だが俺ならできるぜ。詠唱破棄、絢爛流 豪華烈脚」
ルーク程の火力とはいかないがゼロの魔術を吹っ飛ばした。だが体が思うようには動かない。ゼロの魔術によって操るまではいかないが、体に制限がかけられてしまっていた。
グラスも血を吐いていた、やったこともない詠唱破棄を無理に行ったからだ。
「こんなもんかグラス。お前はつまらんやつだな。このままこの闘技場まで破壊してやろうか。」
ターゲットがグラスから会場全体へと変わっていった。
彼はその隙を逃さなかった。いや逃すはずがなかった。
「重力まだ終らねぇよ
詠唱破棄 絢爛流 刹那栄光斬」
グラスは奥義を除くと絢爛流の中でも最高火力の技をゼロにぶつけていた。
ゼロは致命傷を追っていた。ただゼロ以外の場所でも襲撃が起きていたのだ。
「師匠、城の方で煙が。」
まずいこんなことになるとはあえて俺たちの戦力をここに寄せて城にいるアリスを狙うなんて。俺はここを任せて城に向かった。
城に着くと辺りは火の海とかしていた。
扉をこじ開けると、中には覆面の男と、胸を貫かれた女性の姿があった。
「お前なぜ彼女を……」
俺は腸が煮えくり返る気持ちだった。今すぐにでもこいつを叩きのめしたい。
「……」
左目が光っていた。何を言っても聞く耳は持たないらしい。
気づいたら俺は男から一撃を貰っていた。
「グハァ……ゲボ……」
今まででありえないほどの血が出た。正直反応ができなかった。俺が冷静でないことと間合いが詰まりすぎていたんだろう。
男は女を投げ捨てて、逃げ出そうとしていた。俺は彼の動きに合わせ剣を出した。彼は短剣のようなもので弾きながら、煙幕のようなものを投げ、その場を去ってしまった。
胸を貫かれた女はアリスだった。即死だ。声も発することも出来ずに殺されてしまった。ただそこで初めて彼女の顔を見たのだ。
パン屋の女性とまんま一緒の顔だ。瓜二つと言うか、瓜そのものが2つあるような感じだった。
彼女の後を確認すると、足音が聞こえ、パン屋の女性がいた。
「嘘でしょお姉ちゃん……」
彼女は泣きわめいた。声を荒らげて。彼女の声は王都住を悲観で包み込むようだった。
* * *
グラスは絶望していた。あまりのゼロの強さに。ゼロには重力魔法が効かない。オマケに魔術で体が動かせて貰えない。勝てない……
「試合は終わりだ……ゼロお前は一般市民に危害を加えたためた以上だ。これは審判命令だ……」
次の瞬間パール・ライトは反対の壁まで吹き飛ばされていた。
「カスがほざくのもいい加減にしろよ。」
リリアは降りてきて剣を構えていた。深く呼吸をし
「絢爛流 桜流天」
ゼロに一瞬で詰めて一撃を振った。他がそれを塞いだのはグラスだった。
「お前らで戦いあえ。せいぜい死なない程度にな」
「剣心流 奥義 百裂剛健」
リリアは詠唱破棄をしながらゼロを狙い続けた。グラスが前に出るももう片方の手で魔術をこめ。
「不死鳥」
当たりが火の海になる一撃だった。
「アハハ……アハハハハハハハハ……面白いなお前本当に面白ぇよ。じゃあ死ね。」
リリアの後ろで剣を掠めていた。
「まずっ……」
「雷神」
「団長ここからだぜ」
駆けつけたのはラインだった。ラインの一撃は当たることは無かったが。リリアが体勢を立て直すのには十分だった。