第12話
朝になりついに騎士団選抜試験が始まろうとしていた。
「どうです師匠。ここでグラスさんが優勝してくれたらいいですけどね。」
それはそうだ優勝してくれるに超したことはないでもそんな一筋縄ではいくようには感じない。
シルバ曰くかなり強いのもいるらしいしな。俺は胸を踊らせつつここでしか見れないことに退屈さを感じていた。
まぁ出店でも覗いておくか。で店の中にはパン屋のお姉さんもいてそれ以外にもたくさんのお店が並んでいた。
王都の一大イベントとは凄いものだなと関心しつつ俺は元いた場所を戻った。
あまり仲の良い人もいるわけじゃないしな。
ついに音楽隊の音と共に騎士団選抜試験は開幕した。
「今日の来賓として騎士団剣術指南役のルークさんです。」
誰だこいつって視線が痛いほど来ていたが中にはしっかりと拍手を送ってくれる人もいた。うん結婚したいくらい。
「続きまして、総本部司令のランド・シルバさんです。」
皆が大きな拍手で迎えてくれていた。ズルすぎるだろ本当に。
まぁこんな感じの嫉妬から俺の騎士団選抜は始まった。
騎士団の試験は一気に始まらずいちいち本部の場所で戦うため時間がかかるかに思うが、だいたい実力は乖離しているから時間はかからずに4人ほどに減るらしい。
早速試合が始まっては終わりを繰り返しグラスは危なげなく勝ち上がっていた。
そしてシルバの言うゼロとか言うやつも圧巻の立ち回りで勝っていた。彼らがもし当たるなら決勝だから正直楽しみでならない。
パール兄弟も審判で大忙しで、ラインに至っては修行できてないってさ。どうなってんだ騎士団は。
次の対戦相手が発表された。 ザクロ・グラス対ライム・レオンだと。
ライム・レオンは槍の使い手らしく水天流を独自で槍でも応用を利かせているらしい。上手いこと剣技を使ってもリーチで返せるし確かに槍も便利だな。
* * *
「あなたも見に来ていたんですね。律儀に観戦席にまで座って。まぁ我が子が出るようなもんですからね。期待はしてますよ。」
「……」
「まぁそんな声はゼロくんに言った方がいいか。」
「へいへいわかりましたよ。俺に任せといてください。いい感じに済ませますから。」
「……」
その男はそう言ってこの場を去っていった。ある男は座ったまま黙っていた。
* * *
そして1度昼休憩が挟まることとなり、エキシビションマッチを繰り広げるべく俺は準備をしていた。対戦相手はまさかのパール兄弟だ。
実はパール兄弟は騎士団の団長、副団長の次に高い役職の幹部であるが彼ら1人1人ではさほど強くないが、2人で戦うと団長クラスにもなりうる実力があるらしい。
俺は指南役としての実力を示すためにもこの場を用意した、みたいな感じだ。先程までの試合とは違い割とガヤガヤ騒いでる人が多い感じがした。まぁ正直こんなもんだよな。
姉は二刀流で弟は大剣は持っているものの魔術重視の戦い。
「始め」
合図とともに突っ込んでくるリンラン、ライトは微動だにもせず仁王立ちをしている。
俺も動こうとリンランに合わせつつ、前に出た。
リンランは粗さがあるもののとにかく早くて技を繰り出す暇がない。
「燕返し」
俺はリンランの剣を弾き返した。もう一本の剣を差し込んで来たが、いなして腹部に一撃を入れようとした。
刹那、俺は巨大な水魔術を食らってしまっていた。
「師匠効きましたよね。俺の王級魔術の水神撃」
確かリリアが言っていたが、ライトは魔力を練るのがとても遅く動くことができない代わりに密度と破壊力が桁違いの力らしい。
しかもあの魔術はオートで攻撃するから自動的に魔力が吸われるしまういわば自滅必須の魔術なのに、相当な魔術量でカバーしている。正直変態みたいなもんだこいつは。
俺は一撃を食らったので受け身を取りつつ、
「まぁまぁ、絢爛流 豪華裂脚」
俺が下から上に剣を振っていくと、熱とともに斬撃が飛んでいった。ライトの魔術を吹き飛ばしつつ、ライトにめがけて剣を振った。
ライトはにやりと笑って。
「そうかこれを待っていたんだよ俺は。」
ライトはリンランと入れ替わった。リンランは俺に勝ちを確信していた。
だが俺も読めていなかったわけではない俺も剣をもう一度強く握り直し。
「不死鳥」
爆発し周りにいたライトも巻き込み二人は戦闘不能になった。
周りからのあふれるばかりの拍手をもらった。
その次の試合がコールがされた。ザクロ・グラス対ライム・レオン
俺はグラスに手を振った。