第9話
翌日俺はリリアと一緒にその全てを知る少女とあってみることにした。リリアも一度も来たことないらしい。俺が昔ここに来たときにはそんなことは一度も耳にしなかった。リリア曰くこのことは騎士団団長や国王レベルでないと知らないという。なんせ国の宝だとか。良いもんだな本当。
「着きました。ここですよ師匠」
ここってパン屋じゃねリリアはまさかのパン屋に俺を連れてきた。なんせここはパンは格別に美味しいらしく、そして少女の好きなパンらしいのだ。だから1度ここに訪れる必要があったとのことだ。
「いらっしゃいませ。」
元返してくる人は若い女性で元気に満ち溢れていたボブの髪で黒紫のような髪だった。
「このお店で1番人気なのはなんですか? 師匠もなにか食べましょうよ」
リリアは行く前から浮かれていたがここのパンが食べたかったんだな。俺はガレーパンに目がない。だからここのガレーパンを食べるしか無かった。
「ここで1番人気なのはドリームパンです」
ならドリームパンとガレーパンを食べることにした。王都のパンの中でも1番を争うほどの美味しさだった。あの街にはない美味しさだった。しっかりお土産も買いつつ。店をあとにした。
「本当はここです。着きましたよ師匠」
と言って連れ出されたのは王都の中央部にある城だった。あまりのデカさに鳥肌がたった。今までは遠くからしか見たことなかったが、近くで見ると、金をふんだんに使っているから光り輝いている。まさに国の象徴と見せつけるばかりのものだ。俺らは中に入っていくが、リリアは団長なので、顔パスで通れるが俺は止められた、リリアの説明があったからこそはいることができた。
城の中はとても豪華だったが。少女のいる部屋の中は意外と質素でたくさんの本棚と一つのソファだけだった。
「ごきげんよう、シャーロット・リリアさん、ルークさん今日はどのようなご要件で?」
俺達は驚くことしかできなかった。まだ俺達は挨拶すらしていないのにどうして名前を知っていたのか分からないからだ。付き添いが事前に伝えていたのか? 一枚のヒラヒラした布で顔が見えなくなっている。何を考えているかなんて分かるはずがない。俺達もとりあえず挨拶を交わし、土産を渡し、少女が座ったので俺達も腰を下ろした。
「私のご紹介が遅れました。アリス・レインです。皆さん私の能力を全てを知るというものだと思っているでしょうけど実際は記憶の貯蔵、私の家系はこの能力を受け継ぎ続けていて私も生まれる前の記憶もこの国ができてからの全てもしっています。
だから皆私に知恵を頼り知見を求めてくるのです。だから貴方達も頼りにここにいらしたのでしょう? 」
俺は付き添いだからうまいことわからないが一つ言えるのはこいつは全てを知るんじゃなくて過去や今起こった出来事を忘れずにそのまま引き続けるということだ。だからこの少女に知見を求めても最後の意見として出されるのは、少女の意見だということで特別な根拠があるわけでもない。
「貴方は私の能力はあまり活かせないと思っているでしょうけど、真の能力は物事を誤って記憶しないことです。私の能力は世間は、はぐらかすことはできても、私の能力は騙すことが不可能なのですから。」
いやとんでもない能力だな審議の対象としても彼女は使われているのか。これなら利用されるのもわかる。警備が厳重で知られていないのも納得だ。でもこのことが知られてら国を揺るがす事態だな。とりあえず身の上話をするか。
「そういえばこの本棚にある本はほんとに昔からあるんですね。とても古びて使った跡がくっきり残っている。相当努力してきたんですね。」
彼女は一瞥して
「これは風化しただけで特に使ってはいませんよ、私は使わなくても覚えていられるので」
まぁそうだよな別に使う必要だってないもんな。なんせ全ての記憶を持っているんだから。でも明らかにおかしい手垢で汚れたような本が沢山並んでいるからだ。何かずっと引っかかっている感じがするがでできそうで、出でこないもどかしさを感じつつ、俺達はこのあとも彼女と会話を続けた。