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私がヒロインだと判った時に憤怒の形相の悪役令嬢に呼び止められました

私はクロメロンとデブアニカらに注意されたにも関わらず、それからもタチアナ様の観察は続けていた。だってクンラート様に接触しようとしているのとは違うのだ。タチアナ様を見守りたいだけなのだから。


そもそも、ピンク頭のヒロインの男爵令嬢が、タチアナ様が恋している婚約者のクンラート様にちょっかいを出すのが悪い。それに怒ったタチアナ様がヒロインに色々意地悪して最終的に修道院送りになってしまうのだ。私としては大恩のあるタチアナ様がそんな事に絶対になってほしくない。私はゲームでは経験したことなかったけれど、ネット上ではタチアナ様が処刑されるという過激なシーンもあるのだとか。絶對にそれだは阻止したい。


そうならないためには、一番に、そもそも、ヒロインがクンラート様と親しくならなければよいのだ。


しかし、ゲームでは、ヒロインはA組にいるはずなんだけれど、そもそもA組に男爵令嬢はいないのだ。ピンク頭もいなかった。A組にはヒロインはイないのだ。

だとしたら、ヒロインはどこにいるんだろう?

他クラスでも今のところピンク頭は見ていないんだけど・・・・。


ひょっとして他学年にいるのだろうか?


まあ、ヒロインが誰か判らなかったが、取り敢えず、ヒロインとクンラート様の出会いを阻止する、あるいは邪魔すればよいのだ。そう思いついた私は、今日は図書館に来ていた。



でも本当に、クンラートはヘタレだ。全然タチアナ様に話しかけないのだ。


その日の放課後も、図書館で本を読んでおられるタチアナ様の横を、全く無視して通り過ぎて行ったのだ。


「あのボケ、本当に婚約者を蔑ろにして・・・・」

私は憤慨して本の陰から呟いた。


「お前本当に暇なんだな」

本に隠れてタチアナ様を覗いていた私の前に座っておられたアル様が言ってきた。


「そう言うアル様も、全然本を読むのが進んでおりませんが」

私は言い返した。そう、アル様の本もずうーっと同じページが開かれているのだ。


「いや、そんなことはないぞ」

慌ててページを繰られるけれど、読んでいないのは明白だった。


「アル様は、何故、図書館におられるのですか?」

「俺を図書館に連れてきたお前が言うか?」

アル様に言われてしまった。そうだった。偶然、図書館の前にいらっしゃったアル様を壁にして隠れるために、ついて来てもらったのだ。


「だって図書館の前にいらっしゃったから、てっきり図書館にご用があったかと思ったのです」

私が言うと、

「まあ、課題が出たからな」

「フィン国の歴史ですか」

「ああ」

「王太子殿下の元婚約者の国の歴史ですね」

何故かアル様はムッとした顔をされる。


「本当にお前はデリカシーの欠片もないんだな」

私にはアル様が何を仰っていらっしゃるかよく判らなかった。


「私に構わず、どんどん課題をして下さい」

「お前は良いのか。入ったばかりだと安心していると、あっという間についていけなくなるぞ。学園は宿題も多いんだぞ」

アル様は私のことを心配して言ってくれた。


「まあ、宿題は大体授業中にやってしまっていますし」

そう、前世の記憶があるから、私はある程度は対応できるのだ。この国の歴史とかは一から勉強しなければいけなかったけれど。数学とか理科は総じて簡単なのだ。


「それに今日はタチアナ様に良くないことが起こりそうで」

「なんか変な夢でも見たのか」

「はい。クンラート様が一年生の女の子と仲良くされて、それを見られたタチアナ様が苦言を呈されるのです」

そう、私の記憶に間違いがなければ、今日は図書館でイベントがあるのだ。

確か、ヒロインとクンラート様が偶然一緒にいる所にタチアナ様が出くわされて、逆上して文句を言って、更にクンラート様の反発をかって、クンラート様とヒロインが仲良くなってしまうのだ。

なんとしてもそれは阻止しなければいけない。




そう考えていた所に

「ああ、いたいた、アル、こんな見えにくい所にいるなよな」

そう、アル様の席は本棚に隠れていて、外からは見えにくいのだ。それも私が一番端の見えにくい所を選んでわざわざ座ったからだ。


「何だ、またこいつと一緒か?」

ムッとすることをクンラート様が言われる。


「無理やり端に連れてこられたんだ」

意地悪な笑みを浮かべてアル様が言われた。


「なんでも、お前が1年生の女の子と仲良くしてタチアナが切れる夢をこいつが見たそうだぞ」

「何だよ。それは。俺は別に親しい1年生などいないぞ」

クンラート様は首を振られた。そうだ。私がいつもタチアナ様を見ている限りでは、そこに現れるクンラート様には、親しくしておられる女の子などいない。1年生の女の子で話しているのは私くらいだ。


私くらい・・・・


えっ、私?


考えたら私の髪の毛の色はピンク色だった・・・・。


嘘ーーーー


私は青くなってしまった。


でも、私は平民で・・・・。考えれば元々ヒロインは平民だった・・・・。


これはやばい。私が実はヒロインなんじゃ・・・・。


いや、ちょっと待て。落ち着いて考えよう。


「すいません。少し席を外させて頂きます」

「何だ腹痛か」

茶化してアル様が言う。本当に人をからかうのがお好きだ。


「違います」

私はムっとして女子トイレに向かった。


そこで頭の中を整理しようと思ったのだ。


「ちょっとそこのあなた」

しかし、部屋を出て、廊下に出たところで呼び止められた。


振り返るとそこには憤怒の形相のタチアナ様がいらっしゃったのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

やっぱりシルフィがヒロイン? 怒り狂ったタチアナの前にシルフィは無事で済むのか?


続きが気になる方はぜひともブックマークよろしくお願いします!

続きは明朝です。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

新作小説

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『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。
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