青髪の山姥の母親を悪魔の三つ子が完膚なきまでに叩きつぶしてくれました
昨日は夕立の大雨の後で、京都で大文字の送り火見てました。コロナさっさと終わりますように!
頑張って毎日更新目指します!
何故?
原色お化けが、ずぶ濡れになっているんだろう?
それもこの水の量は半端じゃ無い。後から後から途切れなく、原色お化けに降り注いでいるのだ。息が出来ているんだろうか?
さすがに心配になった時に、やっと水が無くなった。
そこには流れた化粧と、水で、ぐちゃぐちゃになった本当のお化けがいた。
私達が驚いて、唖然としていると、そこへつかつかと歩いてくる足音がした。
げっ、この、足音は嫌だ。思わず、私は逃げ出したくなった。
パシッ。
という凄まじい音と共に、地面にお化けが張り倒されていた。
「鬼ばばあ、良くも私の息子に手をあげてくれたわね!」
そこにはいつもは穏和な母が、眦を決して仁王立ちしていた。
「き、貴様、良くも侯爵夫人となった私に手をあげてくれたわね」
立ち上がろうとしたお化けが足を絡ませて、盛大に顔から水でどろどろになった地面に突っ込んだのだった。
「あーら、久しぶりに会った、鬼ばばも形無しね」
後ろからテレシア様の声が聞こえる。
絶対に魔術でお化けを転けさせたのはこの人だ。
「可哀相だから、乾かしてあげるわ」
嫌な笑いをした、王妃様が何と小さいファイアーボールをだしたのだ。
「ヒィーーー」
思わず原色お化けが逃げ出そうとしてまた、盛大に顔から水溜まりに突っ込んでいた。
そこにブスって音がして、小さな火の玉が命中した。
お化けは服が黒焦げだらけになったんだけど・・・・
「あーーーら、ごめんなさいね! 火の力が強すぎたみたいだわ」
いや、王妃様、本当に洒落になってませんから。
私と弟は唖然としてそれを見ていた。
「あ、悪魔の三つ子」
こちらもびしょ濡れになったおばさんの一人が思わず口にだしてしまったのだ。
「そこのあなた、何か言った?」
王妃様がにこりと笑われた。思わず私もゾクリと悪寒が走ったくらいだった。
「ギャーーーーー」
次の瞬間、王妃様の体から雷撃がその女性に放たれたのだった。
黒焦げになった女性がピクピクして倒れ込んだのだ。
「ちょっと黒メロン! 何倒れ込んでいるのよ、大げさ過ぎない?」
「さすがにルイーセ、やりすぎじゃない」
テレシア様が言われたんだけど、
「そんな事はないわよ。学園の頃は生意気な黒メロンには毎日こうしていたじゃない」
「そらあそうだけど」
このおばさん達なんて事してるのよ! そんなこと事してたら、そらあ悪魔の三つ子って言われて恐れられるわよ!
私は呆れて言葉も出なかった。
「しばらくしていなかったから、免疫が無くなったんじゃ無いの?」
母まで言うんだけど。
昔の学園って、苛めも、命がけだったんだろうか?
さすがの私も、その頃に生徒になっていなくて良かったと本当に思った程だった。
「で、そこの子ブタちゃん」
王妃様が、ステファニーに近寄って猫なで声で言った。
「私のお気に入りのシルフィになんて言ったの?」
ステファニーは恐怖で首をびくびく振る。
「怒らないから言ってごらんなさい」
優しく王妃様が言うんだけど、絶対に嘘だ。
「さあ、早く」
王妃様の指がステファニーの顎にかかった。
「・・・・無いって」
「もう一度言ってごらんなさい。良く聞こえなかったわ」
「胸が無いって」
消え入りそうな声でステファニーは言った。
そっちかよ! 思わず私は切れそうになったが、さすがに震えている山姥に、これ以上酷い事をするのは憚られた。
でも、その言葉に王妃様は私の胸を見て残念そうに首を振られるんだけど、そのリアクションは酷くない?
「まあ、事実よね」
頷くな!
思わず叫びそうになったんだけど、王妃様の次の言葉で母が切れたんだけど。
「それはティナも無かったし、仕方がないんじゃ無いの?」
「誰が無いのよ」
怒った母が水魔術を王妃様にぶっ飛ばすのを見て私は唖然とした。これは許されるのか?
王妃様に水をぶっかけたあなたが言うの?って後で母に言われたけど。
王妃様は一瞬で障壁張られたので跳ね返った水が全て、ステファニーに直撃、ステファニーは水溜まりの中に突っ込んでいた。
「あーら可哀相に。あなたもティナの前で胸の事なんて言ったらダメよ」
いやいや言わせたのあんただろう!それも本人に向かって今言ったよね!
私は心の中で突っ込んだ。
「で、私のお気に入りのシルフィに何か用があるの?」
王妃様が残った取り巻きを見られておっしゃる。
皆固まっていた。
「デブキャロル! どうなの?」
「な、何も御座いません」
デフキャロルって、デブアニカの母だろうか?
「違うでしょう! そこは。
あなた達、こんな問題起こしてただで済むと思っているの?」
いやいや、問題起こしたのはあんたらでしょ!
私の心の言葉は誰にも届かなかった。
「10人よ。1人10人よ」
王妃様が言い切ったのだ。
「10人と言われますと?」
デブキャロルが聞いた。それでは王妃様が何言われたいか、判らないよね。
「あなた達が1人10人ずつ連れて来るのよ!」
「10人連れてきてどうせよと?」
「あなたも理解力がないわね。良い?
私はとてもシルフィを気に入っているの。私には年頃の息子がいるのよ。その息子も、シルフィを気に入っているの。ここまで言えば判るわよね」
「判りました。王太子殿下の婚約者にはティナ様の娘のシルフィ様が良いと請願すれば良いのですね!」
「良くできたわ」
「ちょっと、ルイーセ! なに言ってるのよ!」
母が抵抗しようとしたけど、
「あーら、ティナ、あんた昔、貴族の皆が認めてくれたら考えても良いって、言ったじゃ無い」
「えっ違うでしょ、平民が王太子妃になるなんて無理って言っただけよ」
「皆から請願されたら良いってことよね!」
何か王妃様がとんでもない事を言っておられるんだけど、平民の私がアル様の婚約者になるなんて絶対に無理だから。
私の心の言葉も虚しく、残された方々は倒れた三人を慌てて連れて帰られたんだけど、王妃様の言葉を本気にしたんじゃないよね!?




