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アル様が王太子と知って避けようとしたら更に寄ってきて、最後は告白されました

「母上!」

私はアル様が王妃様に呼び掛けた言葉によって、初めてアル様が王太子殿下だということを知ったのだった。


ええええ! アル様、王太子だったんだ。私は唖然としてしまった。


それからのことはあんまり何も覚えていなかった。


「シルフィちゃん、ぜひとも王宮に遊びにいらっしゃいよ」

と王妃様が言われて

「絶対に駄目よ」

って母が答えたような気がする。


「何でよ。良いと思うわよね。アルフォンス」

「はい」

「最近ソーメルス侯爵が、娘をアルの相手にって、煩いみたいなんだけど、あの子トゥーナの娘なのよ。あれの娘が義理の娘なんて絶対にいやよ。その点シルフィちゃんなら、その母親はティナだから。私も嬉しいんだけど」

「娘は平民よ。王太子殿下の相手なんて無理よ」

「何言っているのよ。昔はそんなの気にしたこと無いくせに。あんた未来の国王に対してもあんなに酷いことしていたじゃない。未だに陛下はあんたには会いたくないみたいよ」

「だから、娘は平民だから絶対に無理だって!」

「そんなの、私とテレシアとあなたが揃えば不可能なんて無いわよ。貴族の大半は私達には逆らえないんだから」


なんかとんでもない言葉のやり取りが3人の間でなされていたような気もする。


お二人が帰られた後でも母からは色々言われた気がするが、私はそれも殆ど聞いていなかった。




アル様は高位貴族だから私なんて、到底手が届かないと思っていたけれど、まさか王太子だったなんて・・・・。

私は王太子殿下に対して、知らない間にとんでもないあれやこれやをしていたのだ。


もう真っ青になった。せめて王妃様のご出身の侯爵令息くらいならと思っていたけれど、まあ侯爵令息でも雲の上だったんだけど、更にその上の王族、それも王太子殿下だったなんて思いもしなかったのだ。


令嬢たちがアル様に群がった理由もよく判った。


何しろ王太子殿下は隣国の王女様に振られたばかりで相手はいない・・・・


ああああ! 私、まあ、、やってしまった。振られた本人相手に、隣国の王女に振られましたよねって聞いていた・・・・念押しも数回していたような・・・・


それやこれやで私はもうアル様には近づかないようにしようと誓ったのだ。心の底から。





「シルフィ! お昼行こう」

でも、そんなことがタチアナがいる限り許されるわけもなく、お昼になってダッシュで逃げようとしていた私は、あっさりとタチアナに捕まってしまったのだった。



「昨日、王妃様がお宅に行ったんですって」

いきなりタチアナに聞かれた。


「そうよ。もう大変だったんだから。あなたもアル様が王太子殿下なの知っていたら教えてよ」

「そんなの知らないあなたが悪いのよ。学内で知らないのはあなたくらいじゃない」

タチアナが馬鹿にしたように言うんだけど。


「何故、皆知っているのよ?」

「普通王族くらい、絵姿か何かで見たことがあるでしょう?」

「うーん」

私はそれに対しては答えられなかった。


「だって、母からは貴族には近づくなと言われていたし、興味なかったから」

私が言う。


「でも、あなたのお父様、王宮勤めよね。結構上の地位の文官だって聞いたけど」

「そうなの?」

「自分の父親のことくらい知っておきなさいよ」

呆れてタチアナが言うけれど、


「だって、父は仕事の話は聞いても教えてくれないのよね。母と一緒で」

「ふう~ん、そうなんだ」

タチアナは不思議そうな顔をしていた。



そして、せっかくアル様とは離れたところで食事にしようとしたのに、私達を見つけたアル様とクンラートがまたこちらに来たのだ。何で来るのよ。私は余程叫びたかった。


「やあ、シルフィ、昨日は母と一緒にお邪魔して悪かったね」

いきなり生徒達が聞き耳を立てている中で、アル様は爆弾発言をされた。


「ええええ!」

「王妃様とアル様とであの子のお家にお邪魔したの」

「それってひょっとして、婚約の挨拶?」


外野から声が聞こえるんですけど。そんな訳あるか! 私はそちらに向けて叫びたかった。



「本当に、母が困っていました。いきなり王妃様を連れてきたので、何で連れてきたのよって、散々怒られたんですから」

「それは難しいと思うよ。今まで行かなかったのが不思議なくらいだよ。だって君の母とうちの母は親友だったって話じゃないか」

「母からはそうは聞いていませんけど」

私の言葉に

「でも、学園の頃はタチアナ嬢の母上と3人でいたずらしまくっていたって母が言っていたけど」

「バルテリンク先生が悪魔の三つ子って恐れていらっしゃましたものね」

タチアナまでが言う。


「というか、アル様とは金輪際話すなって母に釘を刺されたんですけど」

私が言うと


「ええええ! 君の母上がそれを言う」

「そうよ。シルフィ。あなたの母上にそれを言う資格はないと思うけど」

それを二人に言われると元も子もない。まあ、確かに、王妃様(当時侯爵令嬢)とテレンス様と親友という段階でそれが正しいとは思うんだけど。母も自分勝手なのだ。


「そもそもステファニーもうちの母には参っていたみたいだけど、シルフィはびくともせずに、母と水の掛け合いをしたんだって!」

アル様がまた爆弾発言をした。止めて! それを言わないで!


「ええええ!」

今度は外野の前に隣のタチアナが驚いていた。

「あんた、王妃様に水ぶっかけたの?」

「王妃様だって知らなかったんだって」

私が必死に言い訳するが、

「普通知らない人に水ぶっかけたりしないわよ」

タチアナにはダメだしされた。そうだ、本当だ。あの時は我慢が足りなかったのだ。


「でも、王妃様は気に入らない侍女とかに色々無理難題を言われるのよ。そんな事したシルフィをよく許して頂けたわね」


「別に母は怒っていなかったぞ。母が学生の時に、シルフィの母とタチアナ嬢の母とやって以来だったととても喜んでいたよ」

アル様が喜んで言うんだけど、いや待て、そんなはずは・・・・。

「本当ですか。それ。シルフィ完全に王妃様に気に入られたじゃない」

「いや、だから、母が王妃様の親友だったからだって」

「それも凄いよね。シルフィのお母さんが、王妃様とタチアナのお母様と親友だなんて」

クンラートが感心しているけど、こっちはそれどころじゃないんだって!


「うちの母が言っていたよ。ぜひともシルフィを嫁に欲しいって」

3っつ目の爆弾をアル様が落とされたのだ。


いやいや、待て待て、それはないって!


「ええええ!」

「嘘ーーーー」

「あの気難しい王妃様があの子を気に入られたんですって」

外野は大騒動だ。


「それは冗談ですって」

「母は、あんまりその手の冗談を言わないから」

私が必死に言うのに、アル様は一顧だにせずに否定してくれたのだ。いやいや、ちょっとまってよ。そこは私に頷いてってば。


「でも、アル様も私みたいな平民よりも他のお貴族様の方がいいでしょう?」

「何言っているんだよ。俺はシルフィが良いってずうーっと言っているじゃないか」

私は最後にアル様に縋ったのに、アル様はとんでもないことを言い出したのだ。

ええええ! そうなの?

私はアル様の言葉に固まってしまったのだ。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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