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お貴族様に虐められて、池に落とされた教科書を拾おうとした私を突き落とそうとした令嬢を躱して、代わりに池に落としました

皆の注目を集めた私達は次の授業のために各々の教室に戻った。


次は数学の授業だ。前世は苦手だったけど、今は一度習ったことだし、そもそも前世日本では高校の年なのに、中学の内容をやっているので簡単だった。でも、先生は顔はヤギみたいなんだけど、厳しいのだ。いつもぷりぷり怒っているし。


教科書を出そうと鞄の中を見ると、あれ、無い? そう、教科書がないのだ。


「あれ、おかしいな」

私は慌てて、鞄の中を何回も探す。確かに昨日の夜は入れたはずなのに。


机の中も探すが無かった。


ええええ! あのヤギ先生、教科書忘れていたら怒りそうだ。


私は必死に探したが、やはり無かった。


おかしい! 私はおっちょこちょいなので、前世もよく忘れ物とかしたので、必ず前日に全てチェックするようにしていたのだ。なのに、無い!


焦っている私は周りのデブアニカが、私の方を面白そうに笑っているのに気づかなかった。


そうこうするうちに、ヤギ先生が教室に入ってきて授業を始めた。


そして、教科書を持っていない私を目ざとく見つけのだ。


「バースさん。あなた教科書はどうしました?」

詰問口調でヤギ先生は言ってきた。


「すいません。確かに持ってきたと思ったんですけど・・・・」

「なるほど、魔法のように無くなってしまったと」

その先生の言葉に皆がどっと笑う。


先生は私の言い訳が気に入らなかったみたいだし、笑ったみんなに対しても腹を立てたみたいだ。

「バースさん。罰としてそこに立っていなさい」

「はい」

仕方がない。そんな私をデブアニカらが面白そうに見ていた。


それからは何の罰だと言うほどの授業になった。

先生は次々に私に当ててくるのだ。まあ、わかっている私は完璧に答えたのだが。


「もう良いです。座りなさい。次からは忘れないように」

私が間違わないので、しびれを切らしたのか、先生は私を許してくれた。


本当に、どこに教科書はいったんだろう?


「デ・ヴァールさん、何をニヤニヤ笑っているのですか。この問題を解いてみなさい」

ヤギ先生の怒りはそんな私を見て笑っているデブアニカに向かったのだ。


「えっ」

「え、じゃありません。さあ早く」

「・・・・」

「あなた今の授業聞いていなかったのですか」

「いえ、その」

デブアニカはもうしどろもどろだった。

ふんっ、数学が苦手なくせに私を見て笑っているからだ。

ざまあみろだ。デブアニカはやぎ先生に散々しごかれて涙目になっていた。




「バースさん、あなたのせいで酷い目にあってしまったじゃない。どうしてくれるのよ」

「それは私を見て笑っていた、あなたが悪いのではないですか」

授業が終わった途端に、デブアニカが文句を言ってきたんだけど、そんなのは知らない。


「何ですって。私が悪いっていうの?」

デブアニカは怒り出すんだけど、自分が悪いんだよね。怒っている先生の前で私を見てニヤニヤしているから。


「それよりも、デブアニカ様」

「誰がデブアニカよ。私はアニカ・デ・ヴァールよ」

デブアニカはプッツン切れていた。またやってしまった。つい、いつもデブアニカと心の中で呼んでいたからそのまま口に出てしまったのだ。


「すみません。デ・ヴァール様」

私は仕方なしに言い直した。


「私の数学の教科書知りません?」

「何で私が知っているのよ!」

デブアニカがそう言うが、私を見て笑っていたのだ。絶対になにか知っているはずだ。


私が何も言わずに黙ってデブアニカを見ていると、根負けしたのか


「そういえば中庭の池で見たような」

とんでもないことを言ってくれた。こいつ、まさか池の中に投げ込んだのか?


私は慌てて池に行った。池は魔術で浄化されているのか水は透き通っていた。


ええええ!


鯉が泳いでいる中で、私の教科書があったのだ。


くっそうデブアニカめ。覚えていろよ。


手を伸ばそうとしたが、届かなかった。


「そうだ」

私は棒を取りに行こうと身を翻したのだ。


バシャーーーん


大きな音をたてて池に誰かが落ちた音がした。


「えっ?」 

そこにはびしょ濡れになったデブアニカが座り込んでいたのだ。

ふんっ、どのみち私を池に突き落とそうとして私に躱されて池に落ちてしまったんだろう。自業自得だ。


「何しているんですか?でぶアール様」

今度はチャンと言えたはずだ。


「デ・ヴァールよ」

池に落ちてまで修正してくれた。


「なるほど、デ・ヴァール様、ありがとうございます。わざわざ私の教科書を取るために池に入っていただいたのですね」

私は応えないデブアニカに嫌味を炸裂させていた。デブアニカは苦笑いするしか無いだろう。私を突き落とそうとしたなんて口が裂けても言えないはずだ。


「教科書、そこです」

私が教科書を指差す。そう言われれば、無下には出来ないはずだ。

私が頼むとデブアニカはむっとするが教科書を私に渡してくれた。


「ありがとうございます」

私はニコリと笑った。



でも、私は自分の教科書だけを魔術で乾かすと、ずぶ濡れのデブアニカをほっておいて、次の授業のためにさっさと教室に帰ったのだった。


悪運というか幸運が味方しているシルフィを虐めるのも大変です。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

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