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推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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19/62

過ぎたるはなお及ばざるがごとし、恋愛ジンクスを全て制覇すると恋は報われないと指摘されました

「ちょっと、ステファニー様、アル様は今私達とお食事をなさっているのよ」

いきなり現れた青髪にタチアナが言ってくれた。


「まあ、タチアナ様。学園は皆平等のはず。いくらタチアナ様が公爵家のご令嬢でも私がアル様の隣の席に着くのを邪魔できないのではなくて」

「まあ、そうですわ。ステファニー様も性格が少しあれですから、一緒に食べてくれる友達がいないのですね」

タチアナが嫌味で返した。


「何を仰るのです。孤高のタチアナ様と違って、私にはお友達はたくさんおりますわ」

「貴方の侯爵家の権力におもねって群がってくるありの群れの間違えでしょう」

「何ということをおっしゃいますの。私の多くのお友達をけなすのは止めて頂けます。友達の一人もいらっしゃらない貴方に言われたくはありませんわ」

「何を言っていらっしゃるの。私はあなたと違ってここにシルフィという親友ができましたの」


ええええ! タチアナ、私を巻き込まないでよ。

私は心の中で叫んだが、もう遅かった。



「まあ、タチアナ様は貴族のお知り合いがいないからと言って、ついに平民の方をお友達にされたんですのね」

バカにしたようにステファニーが言った。


「友人と言える者が、利害のはっきりした取り巻きしかいない貴方に言われたくありませんわ」

「何ですって」

二人の間でバチバチ火花が飛ぶ。


青髪の山姥対悪役令嬢だ。いい勝負だ。私は他人事だと思っていたのだ。


「ふんっ。ステファニー様はご存知ないかもしれませんが、シルフィはアル様とお手々繋いで恋人の泉でコイン投げをして、コインが女神様の頭の花輪に乗ったのです」

な、何でバラすのよ。私は驚いてタチアナを睨みつけた。


「な、何ですって、アル様、それ嘘ですよね」

驚いて青髪を逆立てた山姥がアル様を顧みたのだ。


当然否定するわよね。私はアル様を見たら、アル様はニコニコしていらっしゃるのだ。なんだ、その笑みは・・・・。


「皆には話していないが、事実だ」

アル様は平然と宣言されたのだ。


「ええええ!」

「アル様が平民の女と恋人の泉へ行かれたの?」

「嘘ーーーー」

「信じられない」

私達を見ていた外野から黄色い声が上がる。こんなにアル様は人気があったんだ・・・・。

私は命の危険を感じたのだ。それにアル様も何で頷くかな!


「でも、女神様の掌には乗っていないのでしょう。なら大丈夫ですわ」

一筋の希望を見つけて青髪の山姥は言い張った。そう言う問題なの?


「私がコインを投げたところ掌に乗ったのだ」

更なる爆弾発言をアル様がおっしゃったのだ。


「嘘ーーーー」

「そんな」

「私のアル様が」

女共の絶望した│怨嗟えんさの声が響く。そして、怒りの視線が私に突き刺さったのだ。

いや、待って、私は何も知らずにやったんだって・・・・。私の言い訳なんて誰も聞いてくれないみたいだった。


「そ、そんなの嘘です。私はアル様の婚約者候補筆頭なのです」

手を震わせてステファニーが言う。


「私はそんな事は聞いていないが」

平然とアル様は否定された。いや、そんな事言わないで。青髪の山姥の視線が怖いんですけど。


「あ、貴方が、悪いんじゃない。平民のくせに、アル様と茶色い帽子屋でジャンボパフェを二人で食べていたわよね」

青髪の山姥が私を指さして言ってきた。おい、お前まで余計なことをバラすな。

私は思ったが、遅かった。


「ええええ、茶色い帽子屋のパフェまでわけわけしたの?」

「ありえない」

「そんな」

女共は阿鼻叫喚と化していた。


これは本当に命が危険になってきた。


「あ、そういえば、この女、アル様と図書館の必ず恋人になれる席に座っていました」

立上った女生徒の一人が最後の一つをバラしてくれたのだ。


「・・・・」

女共は泣き出す者も現れる始末だ。


「せっかくアル様が婚約破棄されて、希望がもてたのに」

「親から必死にアプローチしろって言われていたのに」

「平民の女にアル様を拐われたって知られたら親にドヤされるわ」

高位貴族の娘らしい者たちが愚痴っている。


「というわけで、私とシルフィは恋仲なのだ」

アル様が爆弾発言をした。


ええええ!


ちょっと待って。私そんなの聞いていないわよ。

たしかにその3つはやったけど、恋人なんかになってはいないわ。


「こうしてはいられない。すぐにお父様に報告しなければ」

「そうだ。連絡を」

情報に沸き返った男達や関係のない女達が動こうとしたその時だ。


泣き崩れていたステファニーの肩をデブアニカが軽く叩いたのだ。


「ステファニー様。私、お父様から聞いたんですけど、恋人の泉と茶色い帽子屋と図書館の恋人席を3っつとも制覇した恋人は必ず別れるそうですわ」

「えっ、本当なの」

嘘泣きをしていた青髪の山姥は慌てて顔を上げた。その切り替えの速さには舌を巻くほどだ。


「はあああ! そんな事は聞いたことがないぞ」

アル様が声を荒立てた。


「私お父様に聞いたんです。昔、宰相様が高位貴族のご令嬢に必死にアプローチして恋人の泉と茶色い帽子屋のパフェまでうまいこといったそうなんです。そして、図書館の必ず恋人になる席に座れてこれで完璧だと思った時に、相手から別れ話を切り出されたそうです。『貴方本当に知らないの? 恋人のジンクスを3っつともやったら必ず別れるのよ』って」

なんか、聞く限りテレシア様がやりそうなことなんだけど。


「あっ、それ俺も聞いたことがあります。とある伯爵令息がピンク頭の平民に入れあげてその3っつを制覇した途端にそう言われて振られたって」

ピンク頭の平民って私の母じゃないでしょうね。母ならやりかねなかった。


「俺も聞いたことがある」

「私もそういえば聞いたことがあります」

皆次々に言い出したのだ。


「過ぎたるは猶及ばざるが如しってことですわね」

デブアニカが言ってくれた。


「何それ?」

青髪の山姥がデブアニカに聞いているんだけど、侯爵令嬢としてはそんな事を知らなくて良いのか?

「何でも、やり過ぎる事は良くないってことですわ」

デブアニカが馬鹿にしたように私を見て言った。いやいや、私は何も知らなかったんだって。


「ということで、アル様とその平民の女の話は流れたということですわ」

勝ち誇って青髪の山姥が言い張ったのだ。


アル様は唖然として立っていたんだけど。私、恋人になったと知らない間に、破綻してしまったってこと? もう何が何だか判らなかった。


その時、授業開始の予鈴が学校中に響き渡ったのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。青髪の山姥一矢報いた格好です。

さて、シルフィの運命やいかに。続きが読みたい方は評価していただければ幸いです。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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