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(ああ……! 明日の放課後は妖精のお茶会だ! 私はいったいどうすれば……っ)


 茶会の前日、テオジェンナは緊張のあまり何も手につかなかった。

 何せ普通の茶会ではない。この世で一番可愛い小石ちゃんが招かれた愛らしい妖精のお茶会なのだ。小鳥やリスも遊びに来るかもしれない。


「どうしよう。私みたいなジャイアントゴーリランが妖精の淹れてくれたお茶を飲んだりしたら、可愛さの波動に耐えきれず体が爆発するかもしれない……いや、お茶を飲むところまで辿りつけるか? お茶会の清らかで愛らしい空気を浴びただけで体が溶けてしまう可能性も」


 ここに至るまでに「そんなことがあるわけがないだろう」と王太子以下生徒会の面々から三十回ぐらい突っ込まれているのだが、テオジェンナの耳には届いていなかった。


「ああ、どうしよう! お茶会はもう明日だ! 幼馴染がいきなり溶けたり爆発したりしたら小石ちゃんを驚かせてしまう!」


 万が一本当にそんなことが起こったら、驚くどころで済むわけがないのだが。


「茶会の最中に溶けたり爆発しては、招いてくれたセシリア嬢にも申し訳がない。いったいどうしたら」


 放課後の誰もいない教室で己の末路を想像していたテオジェンナは、窓から空を眺めて溜め息を吐いた。


「すべては清らかで愛らしい茶会にふさわしくない私が悪いのだ。しかし、茶会が終わるまで、なんとか形を保ったまま耐えなくては」


 ここにレイクリードがいたならば、「形を保つために耐えなければならない茶会ってなんだ!?」と突っ込んでくれただろうが、残念ながら放課後の教室にはテオジェンナ以外誰もいなかった。


 ちなみに、テオジェンナは妖精の茶会の清らかさを恐れているが、実際は妖精ではなく腹黒な少女が茶を淹れてくれるので、愛らしさはともかく清らかさは大したことないだろう。皆無かもしれない。


「ふう……」


 肩を落としたテオジェンナは目線を下に向け、眼下に広がる中庭を見下ろした。

 見事な薔薇園と美しい芝生、そして小さな聖堂がある。

 聖堂にはいつも穏やかな老神父がおり、祈りを捧げにくる生徒達の悩みを聞いてくれる。


「そうだ! 聖堂で邪気を祓おう」


 少しでも身の汚れを落として、明日の茶会に臨もう。

 テオジェンナはそう考えて聖堂へ向かった。




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