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 ずしん、ずしん、と、重低音を響かせながら、六つの岩石を凌駕する迫力の巨魁——岩石0・オリジン ガンドルフ・ゴッドホーンが登場した。


『ひいいいぃぃっっ!!』


 男達はあまりの恐怖に悲鳴をあげて腰を抜かした。


「父様!」

「ルクリュスぅぅぅっ!! 無事だったかあっ!! 待っていろ! 今この不届き者共を倒してやるからなあっ!! もう何も怖くないぞぉっ!!」


 ガンドルフは小石ちゃんに甘々な岩石共の元祖である。迫力が違った。


 腰を抜かして戦意喪失した男達に、もはやなすすべはなかった。



 ***




 男達を捕らえ、テオジェンナ達は丁重に王都に送り届けられた。


「ルクリュス! テオちゃんも! 無事でよかったわ!」

「はわあっ! 可愛さの化身が走ってくるぅっ! 美の極致! 私はここで倒れるが悔いはない!」


 ルリーティアが可憐に駆け寄り、テオジェンナが倒れた。


 テオジェンナは可愛い小石ちゃんにそっくりの母、ルリーティアにももちろん激弱である。


「テオちゃん! ルクリュスのためとはいえ無茶しちゃダメじゃない!」

「天使の説教……っ! 小言なのに天国へ誘われるような甘やかな声音……っ! くっ……意識が遠のくっ……!」


 昔からのことだが、好きな女の子が自分の母親にはあはあしているのを見るのはいつまで経っても慣れないな。と思いながら、ルクリュスはその光景を眺めた。


(まあ、でも言質は取ったし)


 今のルクリュスには余裕がある。

 後はテオジェンナが正気に戻る前に正式に婚約を整えてしまえばいいだけだ。

 家に帰ったら早速書類を作って……と考えていると、ルクリュスの無事を喜び合っていた父と兄達が再びどこかへ出ていく気配を見せた。


「父様達、どこへ行くの?」


 ルクリュスが尋ねると、ガンドルフは複雑な表情で振り向いた。


「すまんなルクリュス。そばにいてやりたいのはやまやまなのだが、父様と兄様達はすぐに王女の捜索に加わらなければならんのだ」

「王女?」


 ルクリュスは首を傾げた。

 そこへ、口を挟んだ人物がいた。


「隣国の王女が行方知れずでな」


 そう言って、まっすぐに歩み寄ってきたレイクリードがルクリュスの前に立った。


「殿下」

「無事でよかったな、ゴッドホーン侯爵令息」


 颯爽と現れたレイクリードに、倒れていたテオジェンナが腹筋を使って起き上がった。


「殿下。ルクリュスをさらった連中の元に囚われていた少女を保護して連れてきました。彼女です。見ての通りか、可愛……あああ愛らしいぃぃぃ! 可愛さの結晶! 雪ん子です雪ん子!!」


 テオジェンナはフロルをレイクリードに引き合わせて頭を掻きむしった。

 レイクリードはフロルに向き直るといたわりを込めて声をかけた。


「心配しなくていい。保護された被害者はきちんと家まで送り届ける。ただ、君はゴッドホーンより前に捕まっていたそうだから、少し話を聞かせてもらいたい」

「はい~」


 フロルはゆったりと微笑んだ。


「では、まずは名前を聞かせてもらえるか?」


 レイクリードに尋ねられて、フロルが口を開く。


「私の名前は~フロル・ノースヴァラッドといいますわ~。お手間をかけますけれど、ノースヴァラッド王国まで送っていただけるかしら~?」




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