第2話 王子の秘密
こんにちは(。・ω・)ノ
第2話、諸事情でちょっと長くなってしまいましたがお楽しみください。
どぞ( *・ω・)ノ
城を追われた蒼騎士王子レェーネは街を探索すると言い始めて?!
城を追われた三人は街へとでた。しかし、その風景に唖然とする。
「ねぇ、王子。」
「ん?」
「これってどういうこと?」
「そうだな、お前はどう思う?」
王子は黒の騎士に問う。
「私ですか?!」
「ああ、そうだ。」
「国民や建築物にはなんの被害もなく、平素通りの風景です。つまり、クーデターは城内部のみで起きていた事と考えます。」
「そう、つまりは城にいた駐屯兵士達全員が寝返ったと言うことだ。」
「!つまり、…」
「それよりお前達、紙幣は持っているか?」
「「???」」
二人とも王子突然の言葉の意図かわからず、状況が掴めない。
「腹が減ったぞ!!」
「なっ、それは失礼を、急いでいたので紙幣は……」
「ぼ、僕も急だったから持ってないや…」
「よしっ!俺に任せろっ!」
何かを発見した王子は胸を張りずんずんと歩いていく。
「お、王子?!あの」
黒の騎士はそんな王子に戸惑い、止めようとするも、
「まあ、見ておけ」
と、言葉は届かない。
「いえ、あの、今は火急の事態では…」
ウィリと黒の騎士の言葉も聞かずに王子は、街を歩く女性に声をかけた。
「レディー、今少々困っているのですが、助けては頂けませんか?」
キラキラと輝くばかりの顔で女性の手を取りそう口説く王子に女性の眼は釘付けで、
「は、はぅ、はい♡」
そう二つ返事してしまった。
イケメン王子になす術なく、女性は心を奪われ王子に夢中である。
「ありがとうございます。ちゅっ」
手に口づけると女性のキャーと言う黄色い悲鳴と共に眼が更にハートマークになっていた。
「……」
ウィリはそれを見て少し不機嫌になっていた。
★★★★★★
もぐもぐもぐ。カフェにてなんの躊躇もなく食べ物を咀嚼する王子を前に二人はただただ唖然とするばかりてある。ウィリはなれているとはいえ何処か不機嫌そうな雰囲気であり、黒の騎士は自分達はこのままでいいのだろうかと食が全く進まない。
「レディー本当にありがとうございます。」
キラッ(キラキラのエフェクトが出る音)
「い、いえぇえ、そんなぁ!気になさらないでください(照)」
女性は頬を染めながら恥ずかしそうに顔を手で覆いキャーと叫び声を上げていた。
「どうだ、お前達!」
その王子の声に黒の騎士は我に帰りはっと王子を見やった。
「は、はい!さすが王子です!私には全く真似の出来ない行いであります。」
「フフフッ。そうだろ!もっと誉めていいぞ!」
「はっ!」
黒の騎士は王子に尊敬の眼差しを向け、敬礼する。
「それにしてもこれからどうしよう、お城にも帰えれないし……王様とお妃様は反乱軍に捕まっちゃったし…」
二人が盛り上がっていると、ウィリは不安そうにそう呟いた。
「何?!」
がばっ
「それは真か?!」
勢い良くウィリの胸元を掴む王子。
「う、うん!」
「何故もっと早く言わなかったんだ!」
「いや、言うタイミングがなくて……」
「そうか、まぁいい!」
そういってウィリを離すと何事もなかったかのようにお茶を飲む。
「けほっ」
「?!?!」
「全てこの俺に任せておけ!どうにかする!」
「いや、王子、こんなところでゆっくりお茶してる場合じゃ…」
「そうだな、それより今日の宿が問題だな。」
「あ、あの、よろしければうちの宿にこられますか?」
「「「?!?!」」」
王子が口説いた女性は照れながらおどおどとしてそう言うのに対して、三人はその言葉に驚いた。
「いいのですか?!レディー?!」
「は、はい、うちの家、宿をしておりまして、よろしければ空いたお部屋をお使いいただければと……」
王子は再び女性の手を取り口づけをする。
「ありがとうございます。美しいレディー。」
キャーと言う悲鳴と共に王子に夢中の女性は歓喜した。
★★★★★★★★
「いい宿ですね。レディー。」
「ありがとうございます。」
白を基調とした落ち着いた雰囲気の部屋なのだが、靴を脱ぎ上がる部屋、そして部屋の真ん中には何故か卓袱台。
「では、ごゆっくり。」
笑顔で、扉が閉まるまで女性を見送る王子、お茶をいれ始めるウィリ。
「あ、どうぞ。」
お茶を渡すウィリに
「ああ、すまないな。ウィリ。」
受けとる黒の騎士。
「お前達、いつの間にそんなに仲良く……」
そんな二人を見ていつの間にと思う王子。
「ところで、名を聞きそびれたがお前、名は?」
その声に跪き、敬意を表す黒の騎士こと、
「はっ、私は大佐のフィルシュです。」
黒の隊服を着るフィルシュ大佐。
「ほう、なるほど、貴様が例のあの……道理で片刃なわけだ。」
「例のって?」
納得する王子に対してウィリは良くわからないと言うような顔をしていた。
「何でも異国とのハーフでありながら大佐まで上り詰めた大物がいると大臣達から聞いている。」
「へー」
「異国出身とは言え、忠誠を王家に誓った身、故にこれからも王子にお仕えいたす所存です!」
「ふむ、では……」
「俺にキスしろ!」
がしゃんっ
「「?!?!」」
唐突な一言にカップを傾け、衝撃を受けるウィリ、フィルシュは王子の言葉に驚くばかりである。
「あ、あの…」
「これがこの国の作法だ。知っているな?」
そう、この国では男性から女性の手にキスをするだけでなく、男性から男性の手にキスし、忠誠を誓うと言う習わしがある。
(なるほど、王子は私を試しておられるのか、ならばっ!!)
ぐいっ、
「?!」
何かに後ろに引っ張られる大佐。振り替えるとうるうると涙眼のウィリがいた。
(ダメ、ダメです。大佐。)
と、うるうると眼に涙を滲ませるウィリに大佐は戸惑いを隠せない。
「引け、犬!」
王子の一言で、ウィリは不満そうに手を離し、しぶしぶ引き下がった。
そして、フィルシュは改めて王子の手を取る。そして、軽く口づけた。
頬を染める大佐に対して王子はニヤリと笑みを浮かべている。ウィリはそんな二人を恨めしそうに見ていた。
「よしっ!フィルシュ!お前は今日から忠犬だ!」
「は、はっ!」
「あ、大佐、王子は軍人を国家の犬に例える事が好きなだけで犬扱いしてる訳ではないです。」
と、ちょっと膨れっ面で大佐にお茶のおかわりを差し出すウィリ。
「そうなのか、ありがとう。」
「よしっ!犬共!俺に付いてこいっ!!」
調子良く足をベッドにかけて剣を掲げ、ポーズを取る王子、そして、それは突如訪れた。
ぐらっ
「あ!?」
「む?!」
「あぁ?!」
卓袱台に躓いた王子をフィルシュが全力で抱き抱えた。ウィリはただただおろおろとしているだけである。
「王子…?!」
「気づいたか……」
フィルシュの手は王子の胸元にある。そしてフィルシュはそれに気付いてしまったのだ。
「いつまでこうしているつもりだ?」
「なっ?!も、も、も、申し訳ございません!!!!」
全力で離れる大佐にしまったと言うような顔をしている王子、そしてやはり不機嫌なウィリ。
「お、王子はその…」
「ああ、俺の体は女だ。」
「なっ?!何故?!」
「この国には嫡男が生まれなかった。故に、俺は女の身で王子なのだ。」
「王子……」
ウィリは何処か心配そうに二人を見つめる。
(そうか、姫でありながら、王子の役目を全うされているとは、なら、私は……)
「王子、例え、王子が女性であっても、私は貴方に忠誠を誓います!!」
綺麗なフォームで再び跪いたフィルシュは王子に敬意を示す。
「!」
その言葉に王子は笑いだした。
「はははははっ!」
「「?!」」
「お前のようなやつは始めてだ!この俺が女であろうと忠義を尽くし、遣えようとするとは…はははっ!」
「あの…」
「いや、すまん、すまん。大臣達にお前のようなやつはいないのだ。女に国を任せようと言う大臣など一人もいない。俺が女だと知れば皆、俺を王位継承の位から引きずり下ろそうとするだろう。面白い。気に入った!」
王子は何かを決意したようにフィルシュを見やった。
「良かろう!貴様は今日よりこの俺の犬としてこの俺の背中を預ける!!」
「はっ!」
こうして二人の間により深い忠孝の関係が生まれたのだった。
「二人共、仲良くなってる……」
ボソリと呟くウィリは何処か不穏な雰囲気を纏っていた。
★★★★★★★
夜、追手が近くまで来ていないか見回り行き、部屋に戻ったフィルシュは眼を疑った。
「ああ、今帰ったか、忠犬。」
「お、お、お、王子?!?!」
「レェーネちゃん!そんな格好で出てきちゃダメだって言ってるでしょ!!」
「もう女だとばれているからよいではないか!」
「ダメだってばぁ!!」
王子はお風呂上がりにカッターシャツ一枚でその辺を彷徨いている。
「それと、その呼び方はやめろ!」
「う、うん、ごめん。」
ウィリは頬を赤らめながらあわあわと王子を注意してるがうるさいと聞く耳を持たれない。フィルシュはあまりの光景に赤くなり硬直していた。
「ところで、見回りの件、抜かりはないか?」
「は、はっ!」
「そうか、では、ご苦労だった!」
そう言って王子は剣をフィルシュ目掛けて勢い良く突き指した。
フィルシュの顔は剣で貫かれ原型をとどめな……
否、剣はフィルシュではなく、その後ろにあるドアに付き刺さっている。
「お、王子?これは一体…」
「確認してみろ」
王子の言葉通り扉を開け、外の様子を見たフィルシュは凍りついた。
「盗み聞きとはそいつも悪趣味よな……」
そこにあったのは男の死体だった。見事に頭を貫かれた男は血まみれで扉にぶら下がっている。
「ウィリ、片付けおけ!」
「ええ?!ぼ、僕ぅ?!」
やだよぉ、と涙眼でウィリは訴えるが王子の命令には逆らえない。
「申し訳ありません!!」
大佐はその場に跪き、王子に頭を下げた。
「よい、顔を上げろ。」
「し、しかし!王子を危険に晒すなど、私は!!私はっ!!」
そう言って肩を震わせるフィルシュにレェーネはポンッと頭に手を乗せた。
「?!」
「ありがとう。そこまで俺を思ってくれて。だが気にするな、誰しもミスは犯すものだ。次から気を付ければよい。」
その言葉に心打たれるフィルシュ。
「王子…はっ!」
「……」
ウィリは二人の仲の良さに嫉妬していた。普段の柔らかな優しい顔からは想像出来ないほどの冷めきった表情を浮かべている。
王子はそれを気付かれぬように横目で見ていた。
★★★★★★★★★
深夜、フィルシュは宿の周辺を夜通し見張りをしている。部屋の外の扉の前にはウィリが見張りをしていた。ちなみに死体は何とかウィリ一人で片付けたよ★
静まり返る部屋にギィと言う音が鳴った。そして、ベッドの上に眠る王子の顔の横に手を付き、身を乗り出す者が一人……。
「こんな夜更けに何用だ。」
「ウィリ」
そう、そこにいたのは追手でも刺客でもなければ兵士でもない、ただの世話係の少年、ウィリが頬を赤く染めて涙眼になりながら王子の眼の前にいた。
「レェーネちゃんが、好き!」
おまけのイラスト
最後のカラーイラストはおまけです。前の二つは挿し絵のつもりです。今までイラストを文末に置いて置くだけはしたことあったのですが小説と連動した挿し絵は描いた事がなかったので、初めて小説中に挿し絵を置いたので変な感じになりましたが、どうか御了承ください。評価感想お待ちします。よろしくお願いいたします。




