第10話「甘い誘い」
「やぁ、王子様。さっきぶり!」
さっき喧嘩した少年とそっくりな彼はフレンドリーに笑顔で近づいてくる。
「貴様か、今は決着を付ける気分ではないのだが……」
「付けないよ。ボク今日休みだし。」
「休み?このクーデターの最中でか?」
「そそー、ボクは兄さんと違って優秀だからねー。王達を捕まえたのもボクだし?まあ、これぐらいあたりまえって感じかな。」
「そうか、貴様が…」
「そう。ところでその胸ポケットに入ってるナイフ、投げないでくれる?」
レェーネが胸ポケットに隠し持っていたナイフをウィルは感じ取っていた。
「それは貴様もだろ?」
「あれ?バレちゃった?」
2人はナイフをポケットから出し相手に向けあった。
「ふー、やめやめ。今日は休みだからする気ないよ。」
「そうか」
「そうそう。じゃ、またねー。」
そう言ってウィルは路地裏の角を曲がってゆく。1人残されたレェーネは空を見ながらため息を着くのであった。
「ねぇ、よかったら一緒にくる?」
「は?」
路地裏の角からひょっこり顔を出した彼はそういった。
☆☆☆☆☆☆☆
洋服屋にて……
「何故俺がこのような……」
「ええ?似合ってるよ。その服。」
王子の服のままでは追ってに気づかれるかもしれないので服を買った。
「じゃ、次いこうか?」
「おい、俺をスルーするな……うわー」
レェーネはウィルに強引に手を引かれる。
カフェに着くと2人はコーヒーを頼む。
「あ、コレもお願いします。」
ウィルはすかさず何かを頼んだ。コーヒーとソレが運ばれてくる。
「これは…」
「え、食べるでしょ?」
ウィルが頼んだのはケーキだった。ウェートレスが注文を運び終え、去っていく。
「俺が食べるのか?」
「そうそう。」
「まぁ、よいが…」
「はい、あーん」
ウィルが強引にレェーネの口にケーキを突っ込む。
「おいしい?」
「うむ。」
「じゃ、ボクにもちょーだい?」
そう言って食べさせてくれと言う。
「なぜ俺がそのような…」
「ええ、その服買ってあげたの誰か覚えてる?」
「むむむむむむ」
レェーネは仕方なくあーんと、口を開くウィルへとケーキを食べさせた。パク。そうしてウィルがケーキを食べるのを見て少しどくりと心臓が高鳴る。ぼー、とするとスプーンを落としてしまった。
「ちょ、大丈夫?新しいの貰ってくるね。」
そうしてウィルは席をたった。
今のは一体?
胸の高鳴りの答えはよくわからない。あやふやながらも心はそれを感じ取っていた。
新しいスプーンをとってきたウィルはさらに食べさせるように要求する。
「自分で食べればいいだろ?」
「ええー、君のせいでボクの休日半日減ったんだよね。」
「そうか、それはすまない。それより、慣れてるんだな。」
「何が?」
「デートだ。」
「まあ、ボクってモテるからねー。それより早くケーキちょーだい?」
ウィルは嘘をついた。そして、、レェーネがケーキを食べさせようとしたその時、
ガッ
クナイがスプーンに刺さり、テーブルに穴をあけた。
「あーあ、めんどくさいのがきたなぁ…はぁ」
そう言ってため息を着くウィルはレェーネの腕を引っ張り、抱き寄せた。次の瞬間レェーネのいた場所はクナイの雨が降る。
「ほう、なるほど。」
「せ、ん、ぱ、い!!」
建物の上から降りて来たのは茶色の髪がウェーブした美しい少女だった。
「私と言うものがありながらっ!!」
「いこう。」
ウィルに手を引かれ、姫抱きされて、建物の上へと飛んでゆく。建物から建物へと移っていった。
「ふぅ、ここまでくれば……」
「早くおろせ!」
レェーネがウィルを睨みつける。
「ええー、せっかく助けてあげたのに……あーあ。」
どさっ。
降ろされたレェーネはさっきの女性についてとう。
「美人だったぞ。」
「あれ、ボクのストーカー。本当にめんどくさい。はぁ。残念だけど今日はもう帰るね。次、会った時は…」
「うむ。次、会った時は本気で挑もう。楽しみにしているがいい!!」
そうしてウィルは少し微笑んで去っていった。レェーネが建物から降りようと後ろを振り向いた時。
「すみません、あなたは先輩とどう言う関係なんですか?」
その女性は武器を構えてそこにいた。




