少女との出会い
そこは、彼女にとっては空虚で、何も無いように感じられた場であった。
ある者にとっては時間の進行が現実世界の1/3になる場所、またある者にとっては永遠に欲するものが出現し続ける場所。見る者によって姿を変える、それがリリウムという場所であった。
リナリア・カリマは息を吐く。深く深く。そして独りごちる。
「どうしてここは、こうも何も無いのかしら。何も無さすぎて真っ白にも真っ黒にも見えてしまうわ。」
時を同じくして、リリウムに1人の少女が現れる。
「ふ、ふぇ!?えっ、なにっ、ここ、どこ...?」
突然現れ、1人で騒ぐ少女にリナリアは困惑していた。
「貴方は誰?何処から来たの?この無為な空間から生成されたのかしら。それとも転生者、、どちらにしても質問には答えてちょうだい。」
「わ、わたしの名前は夏葵..タチバナ・ナギ。さっきまで自分のお部屋にいたはずなのに、、ここはどこなの...?貴方は、誰...?」
ナギと答えた少女はリナリアの方を向き、質問を返す。
「申し遅れたわね、私の名はリナリア・カリマ。リナと呼んで。このリリウムの保有者、と言うべきかしらね。」
「り、リリウム...?」
「リリウムが分からないのね、ということは転生者かしら。リリウムというのは、この世界で各個人に与えられた、小さな世界、のような場所かしら。」
「小さな世界...。」
リナリアはナギに向き直り提案する。
「ナギ、しばらく私と一緒にいましょう、色々なことを教えてあげるわ」
「あ、ありがとう、リナ、、さん?」
リリウムを揺るがす幻想譚が始まる。
連載予定ではありますが、気分に任せてまちまちで投稿をしていきます。よろしくお願いします。