出会いと別れ
白い羽の生えた少女は、京太に気付いた。
「誰!?」
京太は、慌てて謝罪をした。
「驚かせてゴメン。
悪気は、なかったんだ」
羽の生えた少女は、水面を飛び、京太に近づいて来た。
「貴方は誰?
私は【フーカ】、この森に住んでいるの」
「初めまして、僕は京太、君は天使なの?」
「うん、そうだよ、
でも正確には、人と天使のハーフかな」
「え!?」
「私の祖先の中に、天使と交わった人がいたらしいんだけど、
それが、先祖返りで私に色濃く出たんだって」
「なら、君は人間の世界で生まれたんだ」
「そうだよ、でもお母さんが、『人の街は危険だからこの森で暮らしなさい』って言ったの」
「人の街が危険?」
「うん、私に背中に羽が生えた後から、沢山の人が家に来るようになって
大変だったの。
そしたら、お母さんが、このままだと危険だからって此処に連れて来られたの」
――それって誘拐される危険があった・・・って事かな・・・それとも、亜人だから・・・
考えても仕方が無いと思い、話題を変えた。
「今は、誰と住んでいるの?」
「1人だよ、でも【ハク】がいるから寂しくないよ」
「ハク?」
「うん、ここにいるよ」
フーカは、ハクを呼んだ。
すると、湖からホワイト バイパーが姿を現した。
「フーカ様、御用でしょうか?」
「『様』っじゃない! フーカだよっ!
それに、その姿だと遊べないよぉ!」
「ああ、そうでした」
そう言うと、ハクは人の姿に変化した。
「ええっ!!!」
ハクの姿は、真っ白は美少女だった。
「ハクって女の子だったの?」
「はい、まだ183歳ですから」
「え・・・・・それって、女の子なの?」
「女の子です! 私達は200歳で大人とみなされますから
今の私は人間で言うと15歳です」
――蛇の年齢なんて分からないよ・・・・・
そう思うと、フーカの年齢が気になった。
「フーカも、もしかして・・・・・」
「私は、14歳だよ」
その年齢を聞き、京太は『ホッ』とした。
「良かったぁ、普通だ」
「それ、どういう意味!?」
「ああ、ごめん、気にしないで」
「まぁいいわ、それよりどうして此処に人間がいるの?」
京太は、この森の狐人族の里に行く途中だと告げた。
フーカは、その話を聞き、京太に提案をした。
「私が案内してあげるよ、だから連れて行って」
「え、案内してくれる人は、いるからいいよ」
フーカは落ち込んだ。
「私だって・・・いろんな所に行ってみたいのに・・・・・」
そう言いながら、上目遣いで京太を見た。
「僕にどうしろと?」
「私を仲間に入れてよ」
京太は、どうしようか悩んだが、本人の意思を尊重した。
「わかった、一緒に行こう」
フーカは、喜んだ。
しかし、京太は、大切な事を聞いた。
「この場所から、離れると両親と連絡が取れなくなるんじゃないの?
それに、僕達が旅をするのは、人間の国だけど、それでもいいの?」
フーカは、両親の事を聞かれると、俯いてしまった。
「お父さんの顔は知らないんだ・・・
それに、お母さんは、ここに私を置いたまま消えちゃったよ」
――捨てられた・・・のか・・・
「わかった、もう聞かないよ、一緒に行こう」
「うん、ありがとう!」
フーカは、笑顔で答えた。
その様子を見ていたハクが別れの挨拶をする。
「フーカ様、良かったね。
みんなと仲良くね」
ハクは、フーカに仲間が出来た事を喜んだ。
しかし、フーカは、思いもよらない事を告げる。
「何を言っているの?
貴方も来るのよ」
「え!?」
「ねぇ、京太いいでしょ、1人も2人も変わらないでしょ」
「そうだね、でも本人が行くと言わないと駄目だよ」
その言葉を聞き、フーカはハクの方を向いた。
「・・・・・・」
「ハク、返事してよ!」
ため息を吐いた。
「わかりました、ご一緒します」
こうして、天使と人間のハーフのフーカと、ホワイト バイパーのハクが仲間になった。
野営地に戻り、2人を紹介する。
ただ、此処に来るまでの間、フーカは空を飛んでいたのだ。
「フーカとハク、ここで知り合ったんだけど、これから一緒に行動する事になったから
皆、仲良くしてね」
「・・・・・」
ソニアが質問をして来た。
「京太、聞きたいのだけど、彼女は天使?」
「ああ、ハーフだけどね」
「ハーフ?」
「人族と天使族のハーフだよ」
「って事は、もう1人も人ではないわよね」
「うん」
そう答えると、京太は、ハクに元の姿に戻って貰った。
「「でたぁぁぁ!!」」
突然現れた10メートルを超えるホワイト バイパーに、ソニアとセリカは驚いた。
しかし、クオンとエクスは、フーカとハクに近づいて行った。
「綺麗な羽ですね」
「ありがとう」
「主、これに乗って行きましょう」
「構わないわよ」
2人の安全な様子を見て、他の人達も近づいた。
皆が、挨拶を交わし、落ち着いた所で狐人族の里に向けて出発した。
モイラの案内で森の中を進んで行くと、人の通るような道を見つけた。
「もうすぐ里に着きます」
ここに来るまでに、森の中に入ってから4日が過ぎていた。
その間に倒した魔獣や魔物は、街の近くの森に比べて、大きく強かったが
ソニア、クオン、エクス、ハクの4人が率先して倒したおかげで
被害を出す事も無く進むことが出来た。
その後もしばらく歩くと、到頭、集落らしき場所に到着した。
「ここが狐人族の里です」
モイラは、先に集落の中に入っていった。
京太達が集落の入り口で待っていると、モイラが、1人の老人を連れて歩いて来た。
「ようこそ、狐人族の里へ、儂は、この村の代表の【ゼル】と申します。
この村を訪れた理由も、モイラから聞きました。
我が同胞の為に、ご尽力して下さり、ありがとうございます。
今宵は、この村でお寛ぎ下さい」
ゼルは、挨拶を終えるとお付きの人を呼び、宿に案内をさせた。
「こちらの家をお使い下さい」
「有難う御座います」
「私は、【コナー】と申します。
御用がありましたら、遠慮なく、お申し付け下さい」
そう言って、家から出て行った。
その日の夜は、歓迎の宴が開かれ、村は大いに賑わった。
その宴の最中にゼルと話し合い、翌日も滞在させて貰える事になった。
翌日の早朝、村の主たる者達が集められ、ノルンを引き受ける者を探した。
しかし、思った以上に立候補した者が多く、反対の意味で頭を悩ませることになっていた。
「どうしたものかのぅ・・・」
悩んだゼルは、ノルンをゼルの屋敷で預かり、各家が持ち回りで面倒を見る事に決まった。
村も者達も、関わりが持てる事を喜び、その案に賛成をした。
その頃京太は、ヒルダ、パティと話をしていた。
「私とヒルダもここに残るにゃ、
村長の許可も取ったにゃ」
「わかった、ではここでお別れだね」
「そうにゃ、助けてくれてありがとうにゃ」
「うん、感謝しているにゃ」
2人と話し合った後、サリーと話しあった。
「サリー、寂しくない?」
「寂しいと感じています。
ですが、ノルンも同属の元に戻りたいと言っていましたし、
私もその方が、良いと思います」
「わかった、後悔は無いんだね」
「はい、この里を出たら、今迄以上に京太様にお仕えしたいと思っておりますので
宜しくお願い致します」
そう言って頭を下げた。
「う、うん、これからも宜しく」
翌日、旅立つ前に、皆はノルン達と別れの挨拶をした。
「ノルン元気でね」
「またね!」
皆から送られる言葉に、ノルンは、1つ1つ頷いた。
最後にサリーが、ノルンを抱きしめる。
「ノルン、これからは、里の人と仲良くするのですよ。
それと、あまり我儘を言わない様に」
「サリー、ありがとう。
いっぱい、助けてくれてありがとう!」
笑顔で答えるノルンを、サリーは、もう一度強く抱きしめた。
京太達は、手を振りながら狐人族の里を後にした。
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