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白猫のにゃん子サマ

 屋敷の厨房にて、シャルロットは皿にミルクを入れ床に置いた。床には白い猫と、気絶した赤髪の魔法使いが横たわっている。


「にゃん子サマ、ミルクはいかが?」

「ほほぉ~。なんて気が利く娘なのじゃ。無理を言ってすまんのぉ~」


 にゃん子サマはシャルロットに礼を言うと、皿のミルクをペロペロと小さな舌で舐め始めた。

 こうして見るとただの猫に見えるが、ここへ魔法使いを運ぶ時に宙を飛んでいたので、普通の猫ではない。それに、喋っていることもおかしい。


「とりあえず、残り物のスープを温めるわね」

「ありがたや~。セオは身の回りの事がなにもできぬでのぉ。何か食べれば蘇るのじゃ!」


 赤髪の魔法使いは、空腹で瀕死状態だそうだ。

 一週間なにも食べておらず、にゃん子サマの勧めで食堂に行こうとしたところ、シャルロットと衝突事故を起こしてしまったのだ。


 シャルロットのせいで死にかけている訳ではないと分かると、正直ホッとした。

 しかし、食べる物もないとは可哀想である。


 この国で、魔法を生業にしているものは少ない。

 魔法を使える者も多いので、相当な実力者だったり、特別な魔法が使える者でないと、仕事にならないのだ。


 この人もきっと、シャルロットと同じように貧乏で大変なのかもしれない。


「にゃん子サマ。そろそろ温まるけれど、魔法使いさん、起きるかしら?」

「今、起こすのじゃ。セ──」


 にゃん子サマがフワリと宙に浮かんだ瞬間、厨房の扉が開かれた。


「にゃん子サマ、私の後ろに隠れてっ」


 この家の人間は動物が嫌いだ。

 シャルロットは慌ててにゃん子サマを背中に隠すと、厨房に入って来たのは義母だった。


 普段はこんな所に来るような人ではないのに、わざわざ来たと言うことは、きっとシャルロットに嫌みを言う為だろう。


「あらぁ? シャル。落ち込んでいるかと思ったけれど、食欲があるのね?」

「お、お義母様……」


 義母はシャルロットを馬鹿にするように鼻で笑い、厨房の中に足を踏み入れた。

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