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三人でデート?

「なぁ~んでセオがいるんだよぉ~。シャル。なんで?」


 ハルはセオを見るとひどく落胆していた。


「別にいいだろ? ついでに俺も案内しろよ」


 セオは、ハルを見下ろして威圧的に微笑んだ。

 今、隣にいるセオは、年上で高身長なイケメンモードなのだ。

 久しぶりに見たら、ちょっと緊張する。


「シャルもその方がいいよな?」

「もちろん。セオと一緒がいいわ」

「何々? 距離が近いな。……もしかして二人は恋人同士?」

「ち、違うわよっ」

「恥ずかしがっちゃって怪しいな。……まぁいい。パメラさんを失った俺の心を埋めてくれるのは…………シャルなんだ! 一緒に――って先に行くなよ!? 俺が案内するんだろ~?」


 セオはシャルの手を引き、さっさと街を歩きだしていた。後ろで騒がしいハルを無視し、シャルの耳元で囁いた。


「シャル。やっぱりアイツには関わるな。面倒臭い」

「うん。気を付けるわ」


 ハルは多分、悪い人ではない。

 でも、何となく煩わしいのよね。


 ◇◇


 ハルの案内で、シャルとセオは一番街を歩いた。


 ハルの働くロドリーゴ商会は装飾品を売るお店で、セオの作った魔石をアクセサリーに加工したりオーダーメイドで貴族のアクセサリーを作って売っているらしい。


「シャル。何でも好きなのをプレゼントしてやる。どれがいい?」


 ハルはずらりと並んだアクセサリーを前に、シャルに好きな物をプレゼントしてくれると言うが……どれも値札がない。

 いくら自分が働く店の商品とはいえ、下っ端のハルに高価な物を買わせてしまっては申し訳ない。


 シャルはこっそりセオに尋ねた。


「値札がないけれど、大体いくらぐらいするのかしら?」

「安くて……金貨が数枚。高いと数千枚ってのもあるだろうな」

「ええっ。ハルが破産しちゃうわ」


 二人でコソコソと話していると、ハルが割って入ってきた。


「何話してんだ? 決まったか?」

「いえ。私はいらないわ。いただく理由もないもの。気持ちだけで結構よ。ありがとう」


 シャルは丁寧に断ったつもりだったが、ハルは不満そうだ。


「ねぇ。私、それよりお城が見たいわ」

「俺も見たい」

「お前には聞いてない! じゃあ、一番街経由で城に行こうぜ。こっちだ」


 歩きなれた様子で、ハルはシャル達を先導した。

 貴族や王室御用達の一番街の通りをざっと歩き、シャルのリクエストで城門の近くまで行った。


 夕陽をバックに城を眺めてみたり、少し裏路地を入って出店と人がひしめく通りを歩いてみたり、シャルはこんなに自由に街を歩くのは初めての体験だった。


 シャルは心の中でハルに謝った。

 ハル、煩わしいだなんて思ってごめんなさい。

 あなたのお陰で王都を満喫しています。


 シャルが反省する横で、セオも王都の街を楽しんでいた。

 裏路地には色々な香辛料を売っている出店もあり、セオが全種類買い込んでいた。

 食べることに興味を持ったようで何よりである。

 実は、王都を散策するのはセオも初めてだったらしい。


 一通り楽しむと、ハルはまた一番街へとシャル達を案内した。


 王都一番街の名所、噴水広場を眺めながら、シャルはセオとハルと三人で夕食をいただいていた。

 まさか二階のバルコニー席でのディナーを予約していたとは。

 ハルは本当にデートのつもりだったのかもしれない。


 下っ端なのにこんなに高そうなお店の食事を三人分も払うことになるなんて……大丈夫だろうか。

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