表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使狩り  作者: 飛鳥
第1章
33/124

メール文化


 酒屋のボロい自販機に立ち寄って、春子さんに頼まれていたビールを購入した。

 自販機のショーケース部分に大量の蚊が入り込んでいて思わず身を引いた。本当ボロい自販機だ。いちおうビールの賞味期限を確かめてみたが、商品はちゃんと新しいものを入れてるらしい。

「――ん。」

 せせっこましいつり銭排出から小銭を引っ張り出し、財布に突っ込もうとしたところで気が付いた。そういや、有紗から千円返してもらってねぇな。別に構わんが。もしやと思ってケータイを見れば、いつの間にかメールが入っていた。ごめん、千円返すの忘れてた。いまどこにいるの? と有紗。

「もう遅いから、明日で構わねぇよ――っと」

 間違っても夜歩きだけはすんな、と追記して送信。絵文字ナシ。正しく男のメールだろう。俺としては、面倒なので電話連絡が好ましいのだが。

 うだうだとポケットに手を突っ込んで歩きながら考える。文字で会話するというのは実に厄介だ。面倒すぎる。たまにどっちの意味で読めばいいのか分からなくなる。あと待ち時間うぜぇ。絵文字の意味が解読できない。伊織の馬鹿に嫌がらせでギャル字の長文メール送られたことがある。メソポタミアに帰れと返信してやった。

 それに引き換え、電話連絡の実に分かりやすく簡潔なこと。スバラシイね。最高だね。みんなみんなキチンと電話で連絡し合うべきだね。

 と、そんなところで耳慣れたデスシャウト――タケルから電話だ。何か動きがあったんだろうか。

「おうもしもし、どうした」

『早く来い』

 一方的に通話が切断され、虚しい電子音を聞かされた。通話時間を見ると2秒で止まっている。

 タバコの煙は乾いていて、ポケットの中の缶ビールは冷たかった。

「…………簡潔すぎだろ」

 短文はメールで送れ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ