1:はじまりの初告白
−主人公たち−
文弥 当真 17歳 高校生
身長:176cm
体重:129kg
性格:かなり優柔不断
文弥 亜希子 16歳 高校生
身長:161cm
体重:48kg
性格:活発で兄思い
髪型:ショート
七目 奈津美 16歳 高校生
身長:156cm
体重:44kg
性格:天然系隠れ小悪魔
髪型:ロングのゆるパー
10月14日(快晴)
彼はその体型からは想像できなかったが
バク転が出来、
成績も県下で3位という秀才で
優秀な生徒だったが、
ただ一つ難点があるとすればデブで
ど近眼だった…。
そんな彼が告白した相手は、
幼なじみで
幼稚園の初恋からずっと
恋し続けてる
妹の親友でもあった。
妹の口利き援護も受け、
人生初の告白で”OK”をもらい
天にも登る気持ちで、
今までの努力が水の泡にならなくて済んだと
涙を流して喜んだ。
16:32
そう、彼の文武両道っぷりは、
一重に恋してる彼女の気を引くため以外の何者でも
なかったのだ。
ただ、体重だけは増え続け、
コーラ大好きとストレスからくるバカ喰い…
そして、母方からの遺伝だと思われた。
やっと童貞ともオサラバかぁ〜っと
浮かれていた時、
運命の
16:47
当真の携帯が鳴った。
チャルメラ〜〜ララ〜ラ♪
「文弥さんですか 当真さん?」
「…はい…僕ですけど…
お、おまえなぁ〜
兄貴に誰とか聞くな…アホかっ
ん? まてよ あき
外出たっけか?」
「あ〜 部屋からかけてるんだけどぉね…」
「”あ”え〜?」
妹の部屋の壁に近づくと彼女の声が
携帯とだぶって聞こえていた。
「なんだよいったい? なんでわざわざ…」
「あ〜 それは いいんだ…
どこからかけてるかなんて
問題じゃないのぉ じ、実はね…」
「早く言えよ 勉強すんだから
なんかあった??」
ガチャッ
当真は携帯で話しながら、妹の部屋を開けた。
「まどろこっしぃ〜から 直接話せよ…」
部屋はがらんとしていて
亜希子が見当たらない…。
「おぃ こら 悪ふざけはやめろ!」
ガラッ
押入れを開けた。
「なにやってんだぁ〜よ おまいは!」
亜希子は何かへまをやらかしたり
落ち込んだりすると、押入れに入り込む癖があった。
「あにきぃ〜 とりあえず
中 入る?」
「…入るか!
携帯切れよ 意味ねぇーだろ」
「あ。そ そうだね」
「用件はなんだ?」
暗がりの角で携帯の灯りが消え、
妹の顔はもう見えなくなった。
「あにき! すまない!
ごめんなさい!」
「だから! 何やらかしたんだ 言え〜
お前まさか、僕の大事な
……コレクションを
壊したとかじゃないだろうなぁ〜!?」
「………いや、あの、その…」
「え? まじ マジなの… 泣いちゃうぞぉ〜
どーしてくれるんだよぉ〜〜」
「ち、ちがうんだ。
その方がまだましだよぉ
あのね 気を落ち着かせて
パニックにならないように
いい?
はい、深呼吸してぇ〜」
スーハース〜ハァ〜〜
同時に深呼吸する兄弟…。
「………いいぞ言え…
心の準備はできた」
「ナッツ… なっちゃんの
ことです…」
「なっちゃん?
マイスィートハニーがどうしたって?
今度の日曜デートすんだぜ
知ってる? むっひっひっひ
いや〜お前のおかげだよ
兄思いの妹もって
幸せだよぼかぁ〜♪
だから、あれだ・・・正直に話せ
コレクション壊した。 ね?
今なら、無罪放免に処す。
ムホホホホ」
妹は勢いをつけ押入れから飛び出し、
兄にすがった。
「うわ! あぶねな〜もぅ〜」
「スマナイ すまん兄貴!
彼女のことは忘れてくれ
なっちゃんのことはぁ〜〜」
「ん〜?
日曜のデート 時間合わなくなったのかな?
それとも、な…なんだろなぁ…」
「簡単に言うと、今、兄貴が閃いた
良くないと思ってることと
同じかもしれない。 きっと 多分…
だけどぉ〜
もっと複雑怪奇…
これ以上はいぇんから
公園行って携帯するぅ〜」
妹はうろたえる兄を残し、ドタバタと
外へ走っていった。
「な、なんなんだよぉ〜
いったい…
こわいよぉ〜〜」
当真の額から濃ぃい油汗が滲んだ…。
押入れの奥の闇が、
徐々に彼を飲み込んで行った…。
いや、正確に書くと、
その巨体を揺らし
自ら押入れに入ってしまっていたのだった…。
似たもの同士の兄妹は、
押入れが大好きだった…。
そして、意味深な行動をとった妹 亜希子は、
息を切らし、
今、コンビニ前の公園に到着した。
ハァハァハァハァ アアア〜〜〜
『どしたらいいのぉよ〜』
亜希子も走って掻いた汗とは違う
汗を滲ませ、
顔を蒼くさせていた…。
『なんで…
なんで兄貴の告白
OKしたのぉ〜〜〜
ワォ〜〜〜ン』
犬の遠吠えかと思われた
心の叫びは、
思わず口をつき辺りの人々を驚かせた。
当真は押入れ奥でブツブツ言いながら、
妹の声を待っていた…。
手は振るえ、
身体中からダラダラダラダララ〜っと
脂汗を滴らせていたが、
かかってくるはずのない着信音に怯え、
運命を待つデブはますます
押入れに同化し闇に溶け、
運命を告げる妹も
肝心の携帯をベッドに落とした事に
気づいてはいなかった。
「あきちゃん…
私、あなたのことが好き
ごめんね ごめんね
もう、心が爆発しそうなの
ごめんね…」
チュ
17:11
彼女は兄の告白をOKしたその足で、
妹に告白していたのだ。
そう、七目 奈津美は亜希子に
恋していたのだ!
そして、ファーストキスを奪い
走り去った…。
亜希子は揺らして遊ぶ
パンダの遊具にへたれ込み、
奈津美の柔らかい唇を思い出した。
『あたし、あたしあたしぃ〜〜〜』
「どうしたらいいのよぉ〜〜」
遊具をブンブン揺らし叫び、
辺りの人がまたピタッと止りざわついた。
18:54
恋はメリーゴーランド
木馬の形は三角形
くるくる回る
ちょっと痛い三角形
それぞれをつつきもてあそぶ
運命の歯車
Love is a triangle nobbyhorse.
*設定協力X-Girlさん感謝♪