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産廃水滸伝 ~産廃Gメン伝説~ 13 シロアリ塚  作者: 石渡正佳
ファイル13 シロアリ塚
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毀誉褒貶

 3月のおわり、人事異動が内示された。下馬評では伊刈と宮越は二人とも二年ぶりに県庁に呼び戻され、新設される二十四時間不法投棄監視班「チームグリーン」に配属されるのではないかと言われていた。

 残念ながら官庁の人事は閥で決まる。閥が人事権を独占しているからである。学閥でも閨閥でも閥ならなんでもいい。二人とも閥とは縁がなかった。閥に入っていなければ有能さは閥の支配(あるいは優越性)を脅かす有害さでしかない。閥に入る者は序列に従うのに対して、アウトサイダーは序列を無視し、序列に依る者たちを一跨ぎに飛び越えかねないからである。

 宮越は県庁の森林課に副主幹で戻った。林務は環境の隣接領域なので、犬咬市での経験が買われたと言えないこともない微妙な異動先だ。ただし、犬咬市での主幹昇格は帳消しになった。伊刈は市に残留し産対課に異動した。副主幹のままで昇格はなかった。伊刈が県庁に戻れなかったのは出版が人事のマイナス評価になったせいだという陰口も聞かれた。閥に入っていれば逆に最大限の評価を受けただろう。閥の内と外では同じことをしても評価がまるで違う。市庁を一年で辞めて税理士になるつもりだった喜多も三年目となり伊刈とともに産対課に異動した。仙道技監も産対課に呼び戻された。課長の昇格時期だったのに横滑りだった。この人も閥と縁がなかったのだ。不法投棄撲滅の手柄を独り占めにして環境部次長に昇進していた鎗田は退職して犬咬市環境衛生財団常任理事になった。仙道と伊刈の不法投棄対策の成果を横取りして市長に取り入り、ぎりぎりで閥に飛び入って天下り先を手に入れたのだ。閥の内と外の差別は退職時に一層明白になる。つまり天下りの有無である。天下り先は閥に独占されている。

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