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中島戦記  作者: 大きな鯨
2/11

兵士との騒動

シリーズ化しました。

目次から、花と魔王を容易に見つける事が出来るようになりました。

「————!!」

「————!!」



 相変わらず兵士達は理解出来ない言語で叫び続けている。

 表情は険しく、俺を警戒しているようだった。


『ヤバイ! なんかヤバイ! ここ、トイレじゃないし、一体ここは……なんて考えてている場合じゃない! あの槍が本物だったらマジヤバイ! 

 ここは……そうだ、両手を上げよう。そしてゆっくりと膝を着くんだ……』


 恐らく、数多くの国で通用するであろう降服のポーズ。

 あの槍が本物じゃなくて、ただのドッキリだったとしても、グズグズとしていたら殺されるかもしれない。

 思いついた時には、体が先に動いていた。



「————!!」

「————!!」



 この体勢を見ても兵士達の怒号は鳴り止まない。



「ノー! ワタシニッポンジン! アナタガタノコトバ、ワッカリマセーン!」


「!」

「!」



 錯乱した脳が、「ノー」以外日本語なのにイントネーションを変える。

 中島も必死であったため、自分がおかしな事をやっていると気づかないでいた。

 思わず精一杯大声を出してしまったため、兵士達が驚き、怒号を止めこちらを凝視したまま固まってしまった。


『あ……ヤバイ。これ、余計に警戒させてしまったみたいだ……ん?』


 場が静かになった事で、遠くから音がしていることに気がつく。


 ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ


 慌ただしく音を立て、何者かがこちらに向かって来ている音のようだった。


『……増援だ』


 誰が聞いてもわかるような音に、中島は絶望を余儀なくされる。



「————!!」

「————!!」



 到着するなり、猛々しく吠える兵士達。その視線の先は、万歳の状態で膝をつく中島だ。


『終わった……。なんか知らんが、トイレに行っただけなのに、いろいろ終わった……』


 考える事を放棄した中島は、自分の最後を感じてしまった。

 力が抜け、そのまま倒れこむと、兵士達に取り押さえられる。


『まだ殺さないでいてくれるのか……』


 中島はそのまま縛りあげられた後、兵士に引かれ何処かへ連行されてしまうようだ。

 一切抵抗はせず、兵士達のなすがままついて行く。


 一体これからどこに連れて行かれるのだろうか? 一連の出来事を踏まえれば不安しかない。

 しかし、なす術なく連行されている状況とは裏腹に、中島は今の現状を把握する時間に恵まれたようだ。


 見渡せば、日本ではないだろう建物の作り。洋館、もしくは城であった。

 建物内部は、日本式西洋建築のような名残も無い。アンティーク調で彩られた内装と、少し古めかしさを残す展示物。

 どれもこれも、日本っぽさのかけらもない。


 そして、諦め切れない脳内で、ふつふつと浮かび上がる信じ難い仮説が、色濃く真実味を帯びて他の可能性を塗り潰してゆく。

 そんな突拍子も無い仮説を振り払うためには、中島は情報を整理し、可能性を模索していくしかなかった。


『……まずは、自分がどこに居たかだ』


 先程兵士達と騒いでいた場所の事を思い出す。


『あそこにはベッドがあった……誰かの寝室だったのだろうか? ……最初に騒いだのは女性……姿はメイドのようだったな。ベッドメイキング中だったんだろう』


 状況をを垣間見るに、ベッドメイキング中のメイドを襲った変質者となる。

 そこに居たのが、ドレスを着た人じゃなくて本当に良かった。


『そこから、兵士達に連れられて、階段を下りているな。……投獄か』


 自分の未来を悟り諦める。

 これからされるであろう事に怯え、体は強張り、いっそ一縷の望みに賭けて暴れてしまおうか? などと、自暴自棄になりかけていた。



「————」

「————」



 だが、中島は兵士達の会話する姿に違和感を感じ、無謀な衝動を刈り取られてしまう。

 兵士達は、チラチラとこちらを見ながら談笑しているのだ。

 時折俺をからかうような仕草まで見受けられる。


『もし本当にヤバイ事しでかしたのであれば、もっと兵士達はピリピリしていてもいいはずだ。

 きっと、メイドのおばさんを襲った血気盛んな変態って感じに見られているんだろう。もしかしたら……』


 そんな安易な希望に縋るくらいしか、中島の選択肢は残されていなかった。

 拷問の末に死を覚悟していたが、もしかしたら、奴隷として生きる道があるかもしれない。


『誰か……誰でもいいから……大成功のプラカードを持って来てくれ……』


 そんな中島の心は荒れに荒れまくっていた。

中島戦記は、花と魔王に課した条件を取り払い、自由気ままに書くつもりです。

大筋の台本はありますが。細かい事は決まってません。

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